探究学習

探究学習のまとめ・表現の12パターンを解説

これから探究学習の授業を作っていきたいけど、どこを目指せばいいかわからない、どんな成果物をつくればいいのかわからない。

私たちStudyValleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、高校の先生や塾の先生方へ、探究学習を効果的に行えるICTツールの提供や、コンサルティングサービスを行っています。

その中で、先生方から冒頭のようなご相談をよくいただきます。

そこでこの記事では探究学習のまとめ・表現12パターンをまとめました。

探究学習はプロセスが大事ですが、どこを目指すのか、という「まとめ・表現」というゴールが明確になれば、プロセスもおのずと良いものになっていきます。PBLの成功例としてよく取り上げられるアメリカの高校ハイテックハイでは、発表会(『まとめ・表現』にあたる)をとても重視し、発表会をどうするかということから逆算してPBLを設計しています。

また、最後には「まとめ・表現」を入試にも活用できる「eポートフォリオ」についても触れています。ぜひ、探究学習を設計するときの参考にしてください。

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高校探究学習のまとめ・表現12パターン

①レポート、論文

設定した課題に基づいた調査結果などを、文章や図表等を使ってレポート、論文形式でまとめ、表現する方法です。

ポイント

レポートや論文は、読みやすいように形式がある程度決まっています。特に、事実(結
果)と意見(考察)を区別して書くようにしましょう。

簡潔な表現を心がけ、読みやすさにも配慮します。また、レポートを読んだ人が、その内容を再現できるような内容、表現が理想です。

論文にはある程度決まった構成や表記ルールがあります。学校側から書き方のガイドラインを示してあげると生徒が書きやすいでしょう。また、大会へ応募する、入試に使いたいなどの目的がある場合はフォーマットに条件がある場合もあるのでよく確認してください。

レポートの構成例

②新聞

得た情報を再度構成し、自分の考えを分かりやすく伝えるために、目的や取材対象に応じて新聞形式にまとめる方法です。

ポイント

ポイントは3つあります。

1つ目に、主張したいトピックを明確にすること。これまでの探究活動を振り返って主張したい点を明らかにしましょう。書くべきテーマが複数ある場合は書くべき内容の優先順位を決めておきましょう。

2つ目に、読者が理解しやすい記事のまとめ方にすること。調査内容の5W1Hを正確に伝えることが大切です。そのために、本文は重要度の高い文から書きましょう。長文になるようなら、リード文で要約したり、見出しは要点だけを10字弱にまとめたりすると、より理解しやすくなります。そして、トップ記事は一番目立つ上か、右上に載せましょう。

3つ目はビジュアルを工夫すること。写真をトリミングして大きく載せたり読んでほしい記事に囲みをつけたりすると良いでしょう。イラストや図、表やグラフを活用することも有効です。

③ポスター

ポスター形式にまとめ、ポスターセッションとして発表する方法です。ポスターセッションには、発表者と聞き手が濃いコミュニケーションを取ることができるメリットがあります。

ポイント

ポイントは2つあります。

1つ目は、ポスターの表現方法を工夫すること。タイトルは真っ先に見られるため、相手の心に訴える言葉を使いましょう。文章も易しい言葉を使い、グラフではマーカーや太文字などで大事なポイントを強調することも大切です。また写真やイラストは多用しすぎず、重要なものだけを載せましょう。

2つ目は、ポスターセッションを進める運営上の留意点を把握すること。具体的な留意点は、以下の通りです。

また、生徒以外の参加を促せば、より対話的な深い学びにつながります。

④プレゼンテーション

リサーチした内容や実験結果を報告する際に、パワーポイント等を使って発表する方法です。文字だけでなく写真や図表、動画等を使って表現できるため、効果的な発表が可能です。

ポイント

ポイントは3つあります。

1つ目は、1枚のスライドに必要以上の情報量を載せないこと。聞き手が内容を理解しきれない可能性があるからです。

2つ目はビジュアルを工夫すること。文字の大きさや色の使い方など見やすさに配慮しましょう。写真や図表を適宜挟むのも効果的です。

スライドの工夫の例
・1スライドは1トピック10行以内、1分以内で説明できるようにする
・フォントサイズは20pt以上
参考:伝わるデザイン高校生のための研究発表の手引き

3つ目は聞き手の立場に立ったプレゼンすること。ハキハキと通る声で発表することはもちろん、余裕が出てきたらボディーランゲージやアイコンタクトを行うなど、聞き手に訴えかける発表をしましょう。

⑤ウェブページ

インターネットを通じて、探究学習の成果を発信する方法です。随時更新することで、最新の学習成果を提供できます。世界に公開されるため広く海外からもフィードバックを受けることが可能です。

ポイント

1つ目は、多くの人の目に触れるものだけに、より正しい情報発信を心掛けること。
情報源の信頼性を確保するために、官公庁や研究機関の情報などを参考にするといいでしょう。

2つ目は、個人情報や著作権、肖像権などの取り扱いにも配慮すること。もしどうしても使用したい個人情報や写真、図表がある場合は発信元に確認しましょう。

3つ目は公開範囲をよく検討すること。一般公開とすると、幅広い人に見てもらえるメリットがある一方、思わぬ誹謗中傷などを被る可能性もゼロではありません。校内だけ、関係者だけに公開するなど公開範囲の検討は必須です。

⑥制作、ものづくり

クリエティビティを発揮し、制作物で探究学習の成果を表現する方法です。

制作物への思いや表現の背景にある意図を整理するプロセスで、自らの取り組みを内省し学習の意義や価値に気付けます。

ポイント

制作の意図や目的を明らかにしましょう。生徒のスキルに合わせて制作物を決めることも大切です。

商品などの制作物の場合は、その制作物を通じて、企業とのコミュニケーションや地域での販売など活動範囲が広げることも魅力です。個人制作だけでなく協同制作にするのも良いでしょう。

⑦パネルディスカッションを行う

決められたテーマに従い、発信者が異なる立場でディスカッションする方法です。新たな知識を得られたり、深い思考力を養うことができます。

ポイント

ポイントは3つあります。

1つ目は、協調的な発言をすること。ディスカッションといえど、主張の押し付け合いは好ましくありません。お互いの良いところを取り入れ、最良の解決策を出せるように会をマネジメントすることが大切です。

2つ目は、根拠に基づいた発言をすること。予めディスカッションで交わされるであろう内容を想定し、論拠となるデータを準備しておきます。

3つ目は、簡潔で分かりやすい発言を心掛けること。ディスカッションの時間は限られているため、考えていることを全て話すのは難しい場合もあります。自分が一番伝えたいことを端的に言うことが重要です。

⑧シンポジウムを行う

決められたテーマに対し発信者が発言し、聞き手の質疑応答を通じて新たな考えを見つける方法です。新しい知識を得られ、思考を深められるというメリットがあります。

ポイント

ポイントは2つあります。

1つ目は、全員に積極的な参加を促すこと。モデレーターは疑問を投げかけることで、参加者の発言を活発にできます。シンポジストも参加者全員が考えるべき内容を提案しましょう。そうすれば、聞く側も質問や意見を言いやすくなります。

2つ目は、簡潔で理解しやすい発言を心掛けること。パネルディスカッションと同様、自分が最も主張したいことを端的に述べましょう。

⑨総合表現を行う

学習成果を演劇のような舞台芸術で表現する方法です。

舞台芸術などは、伝えたいことの抽象化、表現方法の検討と選択、衣装や音楽、舞台演出、シナリオ作成、演技など、様々な活動が行われます。さらに総合表現のプロセスで生徒がチームワークを発揮しながら学ぶことが期待されます。

ポイント

調査や専門家への取材などを通じて情報収集し、自分たちが訴えたいことを効果的に伝える表現方法を考えましょう。

専門家のアドバイスも参考にできると、より本格的な表現が可能です。

⑩地域社会に向けて報告会を開く

学習成果を学内だけでなく、地域社会にも発信する方法です。学外の人たちに向けた報告会を行うことで、より対話的な学びになり、達成感も得られます。

ポイント

報告会には探究について全く知らない人が見に来る可能性もあります。リサーチや研究の手法を具体的に丁寧に説明し、わかりやすい説明を心がけましょう。

⑪社会参加や社会参画を目指す

地域の環境保全に関わったり、一般講座を開講したりするなど、社会参画につなげる方法です。校外へ出ていくことはそれだけ責任も伴いますが、それだけに生徒のモチベーションアップ、自己肯定感の向上へつながります。

ポイント

普段から地域や行政とのコミュニケーションを密にしておくこと。スケジュール調整や工程管理はもちろん、地域社会で活躍する人とのつながりも意識すべきです。

⑫校外の大会やコンテストに参加する

大学や学会などが主催する自由研究や研究論文への応募を目指す方法です。

本格的なレポートや論文の書き方を学べる、参加や受賞がモチベーションにつながる他、同じ分野に興味を持つ学校外の仲間との出会いがあることも。

ポイント

応募条件をよく確認し、提出書類のフォーマットなどに間違いがないようにしましょう。外部の専門家にアドバイスを受けられる体制があれば理想です。

また順位がつくことはモチベーションアップというメリットもありますが、受賞できなかったことで逆にモチベーションが下がるデメリットもあります。受賞だけが参加する意義ではありません。

探究してきた過程を評価すること、大会へ参加しフィードバックを得られた経験が次の探究へつながることなどを意識し、生徒をフォローアップすることも大切です。

eポートフォリオについて

近年、高校での探究の成果をもって大学入試が受けられるAO型の入試、探究型入試が増加しています。そこで注目されているのがeポートフォリオです。

eポートフォリオはクラウド上に探究の成果をポートフォリオとして保存しておけるシステムで、以下のようなサービスが挙げられます。

eポートフォリオには、次のようなメリットがあります。

「まとめ・表現」を成果を残し活用する手段として導入も検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

まとめ・表現の12のパターンを紹介しました。

まとめ・表現12パターン
①レポート、論文
②新聞
③ポスター
④プレゼンテーション
⑤ウェブページ
⑥制作、ものづくり
⑦パネルディスカッションを行う
⑧シンポジウムを行う
⑨総合表現を行う
⑩地域社会に向けて報告会を開く
⑪社会参加や社会参画を目指す
⑫校外の大会やコンテストに参加する

探究というと、何を調べたか、どう答えを出したか、というところに目が行きがちです。しかし「まとめ・表現」も重要なプロセスの一つです。

「まとめ・表現」のプロセスを通じて単に情報をまとめたり、表現のバリエーションを知るだけでなく、受け取り手の視点でどうわかりやすく表現するか、という他者目線で考えることを学んだり、発表のフィードバックを受けることで対話的な学びが生まれ、深い学びに通じるなどの役割があります。

生徒にとっては最も達成感や自己肯定感が育まれるプロセスかもしれません。

生徒のみなさんの成長に貢献できる、最適なまとめ・表現のパターンが見つかれば嬉しいです。

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