探究学習

CSR活動入門!定義、種類、メリット・デメリット、海外事情まで完全解説

CSRやらないと、とは思うけど、具体的な中身はよく知らない。寄付かな?
数字で計測できて、事業の強みも生かせるCSRはある?
海外企業のCSR活動は?

私たち Study Valleyは、企業パートナーを探している学校と、CSR活動を行う企業をEdTechツールでマッチングし、子供たちに深い学びを提供するお手伝いをしています。

そこで企業担当者の方から、上記のような質問をよくいただきます。

企業活動でCSRは国内外で非常に注目されています。会社のイメージ向上も兼ねて、力を入れている企業も多い反面、具体的に何をすればいいか分からず戸惑っている企業も少なくありません。

そこでこの記事では、CSRの定義と主な活動内容、メリット・デメリットなどについて紹介します。

この記事を読めば、CSR活動の道筋が見えてくるので、ぜひ最後までお読みください。

この記事の内容
CSRは企業の強みや特性を活かして社会に対して責任ある対応をすること
CSRが重視される背景は、企業活動によって起きた数々の問題
海外のCSR事情
意味のあるCSR活動を
CSR活動の主な種類
・環境に優しい商品の開発
・法律の遵守と社員のコンプライアンス教育
・社員が安心して働ける職場作り
・地域社会への貢献
・教育CSR
・寄付
企業がCSRに注力するメリット
・企業のブランディングにつながる
・クライアント・取引先との関係が良くなる
・社員のモチベーションが上がる
企業がCSRに注力するデメリット
・コストが増えるケースが多い
・社員の負担が重くなるリスクがある
・定量評価しにくい

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CSRは企業の強みや特性を活かして社会に対して責任ある対応をすること

CSRとは、Corporate Social Responsibirity の略称で、企業の社会的責任と訳されます。

企業は利益を上げるためだけにビジネスをするのではなく、企業の強みや特性を踏まえ、社会の一員として果たすべき責任があるという考えです。

とりわけ、顧客、取引先、従業員なども含めたステークホルダーへ配慮し、良好な関係を築きながら経営を行うことがCSRの目的の一つです。

具体的には以下のような観点でCSR活動が行われます。

・法令順守
・地域貢献
・環境保全
・人権の尊重

CSRが重視される背景は、企業活動によって起きた数々の問題

CSRが重視されるようになった大きな要因に、多発する企業の不正や事件があります。自社の利益を優先するあまり、過去にさまざまな出来事が起こりました。

・食品の産地偽造(BSE問題化の牛肉偽装事件など)
・検査データの改ざん(耐震偽装事件など)
・生産活動による環境破壊・・・四大公害病(水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく))など
・反社会勢力との癒着

これらの問題は現在もなくなっていませんし、会社の中においても、サービス残業やセクハラ、パワハラなどの問題がたびたび取り上げられています。

持続可能な社会の実現に向けて、企業が社会の一員である責任を果たすCSRの重要性がより高まっています。

海外のCSR事情

CSRは海外でも非常に重要視されています。特に欧米諸国はCSR活動に熱心で、ユニークな取り組みも見られます。

海外で行われているCSR活動の一例
・殺処分予定の動物を引き取ったら、ワクチン接種費を支給
・テロなどの非常事態下における宿泊所の無料提供
・アンケートの回答数に応じて企業から寄付が行われる

これらユニークなCSR活動の実践は、社会貢献だけではなく、企業のイメージアップにも一役買っています。日本の企業としても大いに参考になるのではないしょうか。

意味のあるCSR活動を

とはいえ、CSR活動というのは、なんでもいいからただ実行すればいいというものではありません。

うわべだけの環境保全活動やSDGsへの取り組みは「グリーンウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」と呼ばれ批判されています。

例えば、以下のような行為をすると、かえって世間から反感を買う可能性があります。

・実体を伴わない、もしくは成果を伴わない活動
・具体性がないスローガンを掲げているだけ
・一部のエコ活動を誇大に宣伝

CSRの意味を正しく理解し活動しなければいけません。

CSR活動の主な種類

CSRの概念は理解できたと思いますが、具体的にどんな活動があるのでしょうか?企業の強みや事業を活かして適切なCSR活動を行えば、社会へのインパクトを最大化できます。

ここでは、CSR活動の主な種類を6つ紹介します。

・環境に優しい商品の開発
・法律の遵守と社員のコンプライアンス教育
・社員が安心して働ける職場作り
・地域社会への貢献
・教育CSR
・寄付

どの活動が、一番会社のCSRにマッチしているか考えながら読み進めてください。

環境に優しい生産体制、商品開発

環境負荷の少ない生産体制、エコフレンドリーな商品の開発は、最もポピュラーなCSR活動の一つです。具体例を挙げますね。

・生産工程の省エネ化
・廃棄物のリユース・リサイクル
・ゼロ・カーボン商品の開発

省エネやリユースなどは環境への貢献のみならず、企業にとってもコスト削減メリットも生じる可能性がある取り組みです。

一般消費者のエコ意識も高まりもあり、環境へ配慮した商品は販促効果を生む場合もあります。

こうした環境に配慮した取り組みは消費者の目に留まりやすく、評価やイメージアップにつながりやすい取り組みといえます。

ただし、取り組みによってはコストが増えてしまいます。そのため、自社の財務状況と照らし合わせて、最も効果が期待できる施策を設けることをおすすめします。

法律の遵守と社員のコンプライアンス教育

当然ですが、法律を守ることはCSRを果たすうえで必須です。特に重要なのが、社員のコンプライアンス教育です。

コンプライアンス教育とは、法令遵守はもちろん、企業として倫理観をもって守るべき社会的ルールの周知・徹底を指します。

コンプライアンス教育の不足により、以下のような問題や事件が過去にたびたび起こっています。

・個人情報の取り扱いルール不徹底による顧客データの流出
・サービス残業の常態化
・パワハラ・セクハラなどの容認
・粉飾決算などのデータ改ざん

・誇大広告

このように、会社が違法行為に陥いることのないように、社員のコンプライアンス教育に取り組むことが大切です。

社員が安心して働ける職場作り

社員が安心して働ける環境作りも、立派なCSR活動です。具体例を挙げますね。

・長時間労働の削減
・育休・産休の奨励
・多様な人材の採用

社員の満足度が上がれば経営にも良い影響があります。厚生労働省の調査によると、従業員満足度を顧客満足度と同じく重視する企業は、そうでない(顧客満足度のみを重視する)企業と比較して、売上高や営業利益率が増加傾向にある割合が高くなっています。

引用:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保(厚生労働省)

一方、パワハラやサービス残業が横行するなど社員を大切にしない会社は、たとえサービスが良くても、クライアントや取引先から「ビジネスパートナーとして信頼していいのか」と疑問を持たれますし、中長期的に世間の評価も下がるでしょう。

企業と社会が長期的に発展するために、根幹を支える社員が安心して働ける職場作りは必須といえます。

地域社会への貢献

地域社会への貢献は、具体的には以下のような活動があります。

・ボランティア活動(清掃活動、地元行事への参加など)
・会社施設の開放(学生の職場体験受け入れなど)
・雇用創出(積極的な地元採用など)

特に地元に密着した中小企業は、地域への貢献活動が、会社の評判や売上にさえ大きく影響する可能性もあり、CSR活動として投資価値の高い選択肢といえそうです。

教育CSR

「企業は人なり」と言われることからもわかるように、企業にとって、そして社会にとっても、未来を担う人材の育成、つまり「教育」の重要性は疑う余地もありません。

教育CSRとは、この「教育」を通じて企業価値を社会に還元する活動のことです。

具体的には、以下のような取り組みが当てはまります。

・学校での出前授業
・職業体験の受け入れ
・工場・事業所見学の実施
・授業で使える教材や資料の作成

小学校、中学校では「総合的な学習の時間」、高校では「総合的な探究の時間」が設けられ、「SDGs」「キャリア・進路」「国際理解」など、生徒の興味・関心に基づきさまざまなテーマが学ばれています。

学校の先生だけではカバーしきれない多様なテーマが存在するため、企業を始めとする外部組織の協力が期待されています。

そこで、企業ならではの強みを活かして学校教育に参加すれば、子供の成長に大きく貢献できるでしょう。教育CSRは、未来の人材に投資するという意味で注目されています。

Study Valleyでは探究学習支援ツール「TimeTact」によって、企業パートナーを求めている学校と、教育CSR活動を行いたい企業をマッチングしています。学習の成果や成長がシステム上で可視化されるため、CSRで難しいKPI設定も容易です。企業の強みを生かして学校教育に参加したい、教育CSRにご興味がある、という企業担当者の方はお気軽にお問合せください。

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寄付

ここまで様々なCSR活動を紹介してきました。企業の強みを生かして行うCSR活動は会社の武器にもなる一方、そこまでリソースを割けない企業もあるでしょう。

そのような企業のCSR活動の選択肢として「寄付」があります。

NPOやNGOなどに資金を提供することで、間接的に社会貢献活動へ参加することができます。金額をフレキシブルに設定できる点もメリットです。「CSR活動に時間を割く余裕がない」「何をしていいかわからない」という会社にとって、寄付は最も取り組みやすいCSR活動といえるでしょう。

デメリットは、会社の強みを活かしにくいこと。理想的なCSR活動は、自社の事業や強みを生かす形で社会に貢献することです。サービスや商品を開発したり、教育CSRのように強みを生かした活動を行うわけではないので、CSR活動で企業の独自色を出すことは難しくなります。

会社を持続的に発展させるために、寄付だけでなく他のCSR活動にも目を向けることを検討しましょう。

企業がCSRに注力するメリット

CSRの具体的な内容は理解できたと思いますが、会社にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、企業がCSRに力を入れるメリットを3つ紹介します。

・企業のブランディングにつながる
・クライアント・取引先との関係が良くなる
・社員のモチベーションが上がる

企業のブランディングにつながる

CSRに力を入れるメリットとして、企業のブランディングにつながることが挙げられます。

東京商工会議所の調査によると、CSRが企業イメージを向上させると答えた企業は、大企業の63.3%。

個別に企業の例をみていきましょう。

例えばトヨタ自動車だと、交通安全への取り組みとして2005年に富士スピードウェイに専用施設「トヨタ交通安全センター モビリタ」を設けました。毎年数千人のドライバーの安全講習を実施しており、安全意識の高い自動車メーカーの地位を確立しています。

また大手出版社の集英社は、「読書推進活動」や「集英社こどもみらい会議」など、読書を軸にした教育サポートで有名。そのため「子どもの読書に適した本を買うなら集英社」と考える保護者も珍しくありません。

このように、CSRに力を入れると自社のブランディングにつながります。

クライアント・取引先との関係が良くなる

クライアントや取引先との良好な関係を築けるのも、CSRの大きなメリットです。

例えば、コンプライアンスの遵守による健全な取引の徹底は取引先に安心感を与えます。

逆に「SDGs」を始め社会問題への意識がこれまで以上に高まる中、CSRへの取り組みが遅れることは逆にクライアント・取引先との関係においてリスクになりかねません。

環境負荷の高い製品を作り続けること、環境への配慮を欠くことは一般消費者を含めたクライアントからの低評価や、最悪の場合、不買運動にもつながりかねないのです。実際に2018年には有名ファッションブランドの在庫償焼却の是非をめぐって世界的な不買運動が起こっています。そうなると当然、取引先との関係も悪化してしまいます。

CSRは、お客様やビジネスパートナーと良い関係を作る有効な手段といえます。

社員のモチベーションが上がる

会社がCSRに力を注げば、社員の士気が上がりやすくなります。なぜなら、社会の役に立っている実感を得やすいからです。

例えば、地域ボランティア活動に参加すれば、地域への貢献を肌で感じられるでしょう。

教育CSRのように、子供たちにどんな仕事をしているかを話せば、会社の存在意義を再確認する機会になります。

そして、社員のモチベーションが上がれば、社員のスキルアップや会社の生産性向上も期待できます。

このようにCSRは、社員の労働意欲と会社の業績につながっているといえます。

企業がCSRに注力するデメリット

企業がCSRを重視するメリットを解説しましたが、完璧というわけではありません。誤った施策を立てると、経営に悪影響が出てしまいます。

ここでは、CSRのデメリットを3つ紹介します。

・コストが増えるケースが多い
・社員の負担が重くなるリスクがある
・定量評価しにくい

コストが増えるケースが多い

CSRの活動内容によっては、コストが増えるケースがあります。多くのCSR活動では、短期で大きな収益を得ることは困難です。

メーカーの工場を例に考えてみましょう。環境に配慮した原材料だけで製品を開発しようと考えると、材料費が高くなる可能性があります。生産活動で懸念される環境破壊を防ぐために、専用の処理施設が必要なケースもあります。またボランティアも、人件費がかかる反面、活動そのものは利益を生みません。

大企業など資金力がある会社なら、負担は少ないかもしれません。しかし、中小企業やスタートアップだとCSRにリソースを割くことが難しい場合もあります。

社員の負担が重くなるリスクがある

社員の負担が増えがちなのも、CSRのデメリットといえます。

例えばCSR活動として、休日にボランティア活動を実施しているため、社員が負担に感じているケースが存在します。

また、CSRを意識した商品開発を行ったことで「本来の仕事ができない」「長時間労働になった」と社員から不満が続出した、という事例もあります。

社員の負担が増えてしまうと社員の満足度が下がり、会社全体としてマイナスの影響が出かねません。

CSRに力を入れる際は、社員の負担にならない範囲で行う、企業として取り組む意義をしっかり説明するなどすることが大切です。資金に余裕があるなら、設備投資や独立した部門でCSR活動に取り組むのも一つの手です。

定量評価しにくい

定量評価が難しいことも、CSRのデメリットです。

これまでに挙げてきた取り組み例のうち、定量評価できるのは一部です。CSR活動として人気のあるコンプライアンス研修や職場改善、地域ボランティア、寄付などは取り組みやすい反面、効果の計測に課題があります。

研修や職場改善はすぐに結果が出る性質のものではありませんし、寄付に関しても金額と社会へのインパクトは未知数です。

商品開発は売上や利益で計測可能ですが、コストが大きいのが難点です。教育CSRはEdTechツールの利用などで生徒のアンケートや成績などを可視化できれば計測が可能ですが、そのような体制が整っている学校を探してつながりを構築しなければならないというコストがかかります。

CSR活動の成果をIR情報に載せても、定量評価がされなければ株主評価につながりにくくなります。

まとめ

この記事では、CSRの定義と具体的な活動例、メリットデメリットについて解説しました。

繰り返しになりますが、企業は利益だけを追い求めていい組織ではありません。社会の一員として、果たすべき責任があります。

ただし、CSR活動であれば何をしてもOKではありません。前述の通り、うわべだけのCSR活動をしても社会から認められる可能性は低いです。

また、CSRにリソースを割きすぎると、社員の負担が増えたり収益が下がったりしてしまいます。

CSRを果たすためには、社会のニーズと自社の強み、リソースを正確に把握しなければいけません。もし、CSRの方向性に迷ったら、ぜひこの記事を参考にしてください。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社StudyValleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。