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探究指導

生徒の自走を促すフィードバック術とは

「先生、何したらいいですか?」にどう答える?生徒の自走を促すフィードバック術

探究学習の現場で最もよく聞かれる言葉の一つが、「先生、何したらいいですか?」という生徒からの質問です。主体的な学びを目指す探究活動において、このような依存的な問いかけにどう応じるべきか、多くの教員が悩んでいます。単に答えを与えてしまっては生徒の成長を妨げ、かといって突き放してしまっては学習意欲を削いでしまう。本記事では、生徒の自走を促し、主体的な探究者へと成長させるための実践的なフィードバック術をご紹介します。

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なぜ生徒は「何したらいいですか?」と聞いてしまうのか

生徒が指示を求める背景には、教育システムや学習環境に根ざした複数の要因があります。これらを理解することが、効果的な指導の第一歩となります。

正解主義の学習文化の影響

従来の教育では、「正解」を求められる場面が圧倒的に多く、生徒は「間違えたくない」という意識を強く持っています。探究学習では正解が一つとは限らないにもかかわらず、生徒は無意識に「先生が求める正解」を探してしまいます。この正解主義の呪縛から抜け出せないことが、自ら考えることを躊躇させる大きな要因となっています。

失敗への恐怖と評価への不安

探究活動も最終的には評価の対象となることから、生徒は「失敗したら成績が下がる」という不安を抱えています。特に、評価基準が不明確な場合、生徒は安全策として教員の指示に従うことを選びがちです。自由に探究することよりも、確実に評価される道を選ぶという防衛的な姿勢が、依存的な態度を生み出しています。

自己決定の経験不足

多くの生徒は、これまでの学習において自分で決定する機会が限られていました。時間割も学習内容も決められたものをこなすことに慣れているため、突然「自由に探究しなさい」と言われても、何から始めればよいか分からないのは当然です。選択肢が多すぎることによる「決定疲れ」も、指示を求める要因の一つです。

探究プロセスの不透明さ

探究学習はプロセスが複雑で非線形的です。調査、仮説立て、検証、考察といった各段階で何をすべきか、次に何が来るのかが見えにくいため、生徒は不安になります。ゴールまでの道筋が見えないことへの不安が、教員への依存を強めてしまうのです。

生徒の自走を促す5つのフィードバック術

では、「何したらいいですか?」という問いに対して、どのように応じれば生徒の自走を促せるのでしょうか。以下、実践的なフィードバック術をご紹介します。

1. 問いを問いで返す「リフレクティブ・クエスチョニング」

生徒の質問に対して、すぐに答えを与えるのではなく、考えを深める問いを返すことが効果的です。これにより、生徒は自分で考える習慣を身につけていきます。

  • 「君はどう思う?」「なぜそう考えたの?」という基本的な問い返し
  • 「もし〇〇だったらどうする?」という仮定の問い
  • 「他にどんな方法があると思う?」という選択肢を広げる問い
  • 「この方法のメリット・デメリットは何だと思う?」という分析を促す問い

重要なのは、問い返した後に十分な思考時間を与えることです。沈黙を恐れず、生徒が自分の考えをまとめるまで待つことが大切です。

2. スモールステップに分解する「ブレイクダウン法」

大きな課題に圧倒されている生徒には、課題を小さなステップに分解して示すことが有効です。ただし、すべてを教員が分解するのではなく、生徒と一緒に考えることがポイントです。

  • 「この課題を達成するには、まず何が必要だと思う?」
  • 「最初の一歩として、何から始められそう?」
  • 「今週できることを3つ挙げてみよう」
  • 「この大きな目標を、小さな目標に分けてみよう」

生徒自身が課題を分解することで、見通しを持つ力計画を立てる力が育まれます。

3. 選択肢を提示する「オプション提供法」

完全に自由にさせるのではなく、複数の選択肢を提示して、その中から生徒に選ばせることも効果的です。これにより、決定の練習をしながら、徐々に自律性を高めていけます。

  • 「方法としてはA、B、Cがあるけど、どれが君の探究に合いそう?」
  • 「この本とこの論文、どちらから読んでみる?」
  • 「インタビューとアンケート、どちらの方法で調査する?」
  • 「これらの中から、興味のあるものを2つ選んでみて」

選択肢を提示する際は、それぞれの特徴やメリット・デメリットも簡単に説明し、生徒が判断できる材料を提供することが重要です。

4. 成功体験を振り返る「過去の成功活用法」

生徒が過去に成功した経験を思い出させ、そこから学んだことを現在の課題に応用させる方法です。自信を持たせながら、自走の糸口を見つけさせることができます。

  • 「前回うまくいったとき、どんな工夫をしたか覚えてる?」
  • 「あのプロジェクトでは自分で決められたよね。今回も同じようにできそう?」
  • 「君が得意な〇〇の力を、この課題にどう活かせるかな?」
  • 「以前克服した困難と、今回の困難の共通点は何だろう?」

過去の成功体験を活用することで、生徒は「自分にもできる」という自己効力感を高めることができます。

5. 仲間との対話を促す「ピア・コンサルテーション」

教員に依存するのではなく、仲間同士で相談し合う文化を作ることも重要です。生徒同士の対話を通じて、お互いに学び合い、自走する力を育てます。

  • 「この問題について、グループの仲間と話し合ってみたら?」
  • 「〇〇さんも似たような課題に取り組んでいるから、意見交換してみては?」
  • 「クラスで同じ悩みを持っている人を探して、一緒に解決策を考えてみよう」
  • 「他の人のアプローチを聞いて、参考になることはないかな?」

ピア・コンサルテーションを促すことで、教員への過度な依存を防ぎ、生徒同士の協働的な学びを実現できます。

フィードバックを効果的にする環境づくり

個別のフィードバック術だけでなく、学習環境全体を自走を促すものに整えることも重要です。

心理的安全性の確保

生徒が安心して挑戦できる環境を作ることが前提条件です。失敗を恐れず試行錯誤できる雰囲気、質問することが歓迎される文化、お互いを尊重し合う関係性が必要です。「間違えても大丈夫」「プロセスを大切にする」というメッセージを、言葉と態度で示し続けることが大切です。

明確な評価基準の提示

何が評価されるのかを事前に明確に示すことで、生徒の不安を軽減できます。特に、「プロセス」も評価対象であることを伝え、結果だけでなく試行錯誤の過程も価値があることを理解させます。ルーブリックを活用し、生徒自身が自分の進捗を確認できるようにすることも効果的です。

定期的な振り返りの機会

週に一度など、定期的に振り返りの時間を設けることで、生徒は自分の学習を客観的に見つめ直すことができます。「今週何を学んだか」「次週の計画は何か」を言語化させることで、自己管理能力が育ちます。

Study Valley TimeTactが支える教員の指導力向上

生徒の自走を促すフィードバック術を実践するには、教員自身のスキル向上と適切なツールの活用が欠かせません。Study Valley TimeTactは、教員の指導力向上を多面的にサポートします。

フィードバックテンプレートの提供

TimeTactには、様々な場面で使えるフィードバックのテンプレートが豊富に用意されています。「問いかけ集」「励ましの言葉集」「思考を深める質問例」など、すぐに活用できる実践的なリソースにより、経験の浅い教員でも効果的なフィードバックが可能になります。

生徒の学習履歴に基づく個別対応

TimeTactは生徒一人ひとりの学習履歴や特性を記録・分析し、その生徒に最適なフィードバック方法を提案します。過去の成功体験、つまずきポイント、学習スタイルなどのデータに基づいて、より効果的な声かけができるようになります。

教員間の実践共有プラットフォーム

優れたフィードバック事例を教員間で共有できる機能により、学校全体の指導力が向上します。「この問いかけで生徒が動き出した」「この方法で自走が始まった」といった成功事例を蓄積・共有することで、組織的な指導改善が実現します。

AIによる指導アドバイス

生徒の質問内容や学習状況を分析し、AIが最適なフィードバック方法を提案します。「この生徒には選択肢を提示する方法が効果的」「今は問い返すより、スモールステップに分解すべき」といった具体的なアドバイスにより、教員の判断をサポートします。

まとめ:生徒の自走は教員の成長でもある

「先生、何したらいいですか?」という問いに対して、すぐに答えを与えない勇気を持つことが、生徒の成長への第一歩です。リフレクティブ・クエスチョニング、ブレイクダウン法、オプション提供法、過去の成功活用法、ピア・コンサルテーション。これらのフィードバック術を駆使することで、生徒は徐々に自走する力を身につけていきます。

同時に、このプロセスは教員自身の成長でもあります。生徒の自走を支援することで、教員は「教える人」から「学びを促進する人」へと役割を進化させることができます。Study Valley TimeTactは、そんな教員の挑戦を技術とノウハウで支え、より豊かな探究学習の実現に貢献します。

生徒の「何したらいいですか?」を、「自分で考えてみます」に変える。その変化の瞬間こそが、探究学習の真の成果なのです。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。