オープンキャンパスの満足度を高める「探究相談ブース」の設置と、その効果
2025年度入試から総合型選抜・学校推薦型選抜がさらに拡大する中、多くの大学がオープンキャンパスの在り方を見直しています。従来の学部説明や模擬授業だけでは、探究学習に取り組む高校生のニーズに応えきれていないという課題が浮き彫りになっています。そこで注目されているのが「探究相談ブース」の設置です。本記事では、探究相談ブースがもたらす効果と、成功させるための具体的な運営方法について詳しく解説します。

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なぜ今、オープンキャンパスに「探究相談ブース」が必要なのか
高校の新学習指導要領により、2022年度から「総合的な探究の時間」が本格化しました。現在の高校生は、全員が何らかの探究活動に取り組んでいるという状況です。文部科学省の調査によると、2024年度の大学入試において、総合型選抜・学校推薦型選抜で入学した学生の割合は全体の47.8%に達しています。
従来のオープンキャンパスの限界
これまでのオープンキャンパスは、主に以下のようなプログラムで構成されていました。
- 大学・学部の概要説明
- 模擬授業・体験授業
- キャンパスツアー
- 在学生との交流会
- 入試説明会
しかし、探究学習に取り組む高校生からは、「自分の探究テーマと大学での学びがどう繋がるのか分からない」「探究活動をどのように入試でアピールすればよいか相談したい」といった声が多く寄せられています。従来型のプログラムでは、こうした個別のニーズに対応することが困難でした。
高校生が求めている情報とサポート
最新の調査では、オープンキャンパスに参加する高校生の78.3%が「探究活動に関する相談をしたい」と回答しています。具体的には以下のような相談ニーズがあります。
- 探究テーマと学部・学科の関連性:自分の探究テーマが、どの学部・学科での学びに繋がるか
- 探究活動の評価基準:大学が探究活動のどこを評価するのか
- 活動の深め方:今の探究活動をさらに発展させる方法
- 大学での研究との接続:入学後、探究テーマをどのように発展させられるか
- 志望理由書への活かし方:探究活動を志望理由書でどうアピールするか
探究相談ブースの効果的な設置方法
探究相談ブースを成功させるためには、単に相談スペースを設けるだけでなく、戦略的な設計と運営が必要です。ここでは、実際に成果を上げている大学の事例を基に、効果的な設置方法を解説します。
1. 相談員の選定と研修
探究相談ブースの成否は、相談員の質に大きく左右されます。効果的な相談員の構成は以下の通りです。
- 教員(30%):学問的な視点からアドバイスができる教員
- 入試担当職員(30%):評価基準や入試制度に詳しい職員
- 在学生(40%):実際に探究入試を経験した学生
特に重要なのは、探究入試で入学した在学生の活用です。高校生にとって、年齢の近い先輩からの体験談は非常に参考になります。相談員には事前研修を実施し、以下の点を徹底します。
- 探究学習の基本的な理解
- 大学のアドミッション・ポリシーとの関連付け
- 傾聴スキルとアドバイス方法
- プライバシーへの配慮
2. ブースの物理的な設計
相談しやすい環境づくりも重要な要素です。成功事例では、以下のような工夫が見られます。
- プライバシーに配慮した半個室型:周りを気にせず相談できる環境
- 資料展示スペース:過去の探究活動の優秀事例を展示
- デジタルツールの活用:タブレットで研究室の紹介動画を視聴可能
- 待合スペースの設置:順番待ちの間も情報収集ができる環境
3. 事前予約システムの導入
探究相談は一人あたり20〜30分程度の時間が必要なため、事前予約システムの導入が効果的です。予約時に以下の情報を入力してもらうことで、より充実した相談が可能になります。
- 現在取り組んでいる探究テーマ
- 興味のある学部・学科
- 相談したい内容(複数選択可)
- これまでの探究活動の概要(任意)
この情報を基に、最適な相談員をマッチングすることで、相談の質を高めることができます。
探究相談ブース導入による具体的な効果
実際に探究相談ブースを導入した大学では、以下のような効果が報告されています。
1. オープンキャンパス満足度の向上
A大学の事例では、探究相談ブース導入前後で以下の変化が見られました。
- 全体満足度:78.2% → 91.5%(13.3ポイント向上)
- 「大学への理解が深まった」:71.5% → 88.9%(17.4ポイント向上)
- 「志望度が上がった」:65.3% → 82.7%(17.4ポイント向上)
特に、探究相談ブースを利用した高校生の94.2%が「非常に満足」または「満足」と回答しており、個別相談の重要性が明確に示されています。
2. 出願率の向上
B大学では、オープンキャンパス参加者の追跡調査を実施した結果、以下のデータが得られました。
- 探究相談ブース利用者の出願率:42.3%
- 非利用者の出願率:23.7%
探究相談ブースを利用した高校生は、利用しなかった高校生と比較して約1.8倍の出願率を示しています。これは、個別相談により大学と自分の探究活動との接点が明確になったことが要因と考えられます。
3. ミスマッチの減少
C大学では、探究相談ブース導入後に入学した学生の追跡調査を行いました。その結果、以下のような効果が確認されています。
- 1年次の退学率:2.8% → 1.2%(1.6ポイント減少)
- 学生の授業満足度:82.1% → 89.7%(7.6ポイント向上)
- GPA平均値:2.84 → 3.12(0.28ポイント向上)
探究相談を通じて、自分の興味関心と大学での学びを十分に理解した上で入学することで、ミスマッチが大幅に減少しています。
探究相談ブース運営の課題と解決策
探究相談ブースの運営には、いくつかの課題も存在します。ここでは、主な課題とその解決策を紹介します。
1. 相談員の確保と質の維持
課題:オープンキャンパスは土日開催が多く、相談員の確保が困難。また、相談員によって対応の質にばらつきが生じやすい。
解決策:
- 在学生アルバイトの積極的な活用(時給1,500円程度)
- 相談対応マニュアルの整備と定期的な研修会の実施
- 相談員同士の情報共有システムの構築
- オンライン相談の併用による負担軽減
2. 相談時間の長時間化
課題:一人あたりの相談時間が予定を超過し、待ち時間が長くなる。
解決策:
- 事前のオンライン情報提供により、基本的な情報は予め共有
- 相談内容別のブース分けによる効率化
- グループ相談セッションの併用
- フォローアップ相談の仕組み構築
3. 情報管理とプライバシー保護
課題:高校生の探究活動に関する個人情報の適切な管理が必要。
解決策:
- 個人情報保護方針の明確化と同意取得
- 相談記録のデジタル化とアクセス権限の設定
- 情報の活用範囲の明確化(入試評価には使用しない等)
Study Valley TimeTactを活用した探究相談の効率化
探究相談ブースの運営を成功させるためには、高校生の探究活動を可視化し、適切にサポートするシステムが不可欠です。Study Valley TimeTactは、この課題に対する効果的なソリューションを提供します。
TimeTactが提供する価値
1. 探究活動の体系的な記録
TimeTactは、高校生が日々の探究活動を簡単に記録・蓄積できるプラットフォームです。オープンキャンパスの探究相談時に、高校生が自分の活動履歴をタブレットで提示することで、相談員は瞬時に活動内容を把握できます。
2. 大学の研究分野とのマッチング機能
TimeTactには、高校生の探究テーマと大学の研究分野を自動的にマッチングする機能があります。これにより、相談員は客観的なデータに基づいて、最適な学部・学科を提案することができます。
3. 探究活動の評価指標の可視化
TimeTactは探究活動を多角的に評価する指標を持っており、高校生は自分の強みや改善点を客観的に理解できます。相談員もこのデータを参考に、より具体的なアドバイスが可能になります。
4. フォローアップ機能
オープンキャンパス後も、TimeTactを通じて継続的なサポートが可能です。高校生は相談内容を振り返り、アドバイスに基づいて探究活動を深めることができます。
導入事例と効果
D大学では、TimeTactを活用した探究相談を実施した結果、以下の効果が得られました。
- 相談時間の短縮:平均35分 → 22分(37%短縮)
- 相談の質の向上:満足度92.8%(従来比+14.2ポイント)
- フォローアップ率:68.5%の高校生が後日追加相談を実施
TimeTactの活用により、限られた時間でより多くの高校生に質の高い相談を提供することが可能になっています。
まとめ:探究相談ブースが変える大学の未来
オープンキャンパスにおける探究相談ブースの設置は、単なる一時的なトレンドではありません。探究学習が高校教育の中心となった今、大学は高校生の探究活動を理解し、適切にサポートする責任があります。
探究相談ブースの成功のポイントは以下の通りです。
- 質の高い相談員の確保と研修
- プライバシーに配慮した相談環境の整備
- 事前予約システムによる効率的な運営
- デジタルツールを活用した情報共有
- 継続的なフォローアップ体制の構築
探究相談ブースは、高校生にとって「自分の探究活動が大学でどう花開くか」をイメージできる貴重な機会となります。そして大学にとっては、意欲的で目的意識の明確な学生を獲得するための重要な接点となります。
Study Valley TimeTactのようなデジタルプラットフォームを活用することで、探究相談の質と効率を飛躍的に向上させることができます。オープンキャンパスの満足度向上、出願率の向上、そして入学後のミスマッチ減少という好循環を生み出すために、今こそ探究相談ブースの導入を検討すべき時期と言えるでしょう。
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。