STEAMライブラリー

【STEAM教育についてインタビュー】うちゅう株式会社 宇宙 星太郎 氏

インタビュイー

 

宇宙 星太郎

STEAMライブラリーのコンテンツ事業者であるうちゅう株式会社共同創業者CCO(チーフクリエイティブオフィサー)/一般社団法人 教育ソリューション研究協議会 研究員

宇宙をテーマにした教育・エンタメ分野に強い関心を持ち、2016年株式会社うちゅうを創業。東京や大阪で3つのうちゅう教室を継続的に展開、名古屋や北海道、九州でも単発イベントを複数実施している。子供たちに対して挑戦・失敗・学びを得るアクティブラーニング形式の教育を提供している。

 
 
 
 
経済産業省「未来の教室」が2021年2月末より公開を開始した「STEAMライブラリー」のコンテンツ事業者であるうちゅう株式会社の宇宙星太郎氏に、教材の内容やSTEAM教育について取材させていただきました。
 

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コンテンツテーマ

  • 「人類は宇宙で生き抜くことはできるのか?(小学生版)」
  • 「人類は宇宙で生き抜くことはできるのか?(高校生版)」
  • 「ロケットを飛ばしてみよう!(ロケット特化編)」
 
田中
田中
本日はよろしくお願いします! 始めに、御社のSTEAMライブラリーのコンテンツ(教材)について教えてください。

星太郎氏
星太郎氏
宇宙をテーマにしていますが、宇宙の知識を身に付けるというよりも、宇宙で暮らすために必要なものを考えたり、宇宙食をきっかけに食事の役割について学べたりするような教材になっています。例えば「1食分のメニューを考えよう」というテーマから持続可能な食生活について学ぶ、というイメージです。 全10コマを「地球外への移住」「宇宙の利用」「宇宙の探究」という3つの大テーマに分類しています。 大テーマ1において、コマ①で地球からの脱出ということでロケットについて学びます。ロケットの仕組みや必要性などですね。その後、宇宙食をきっかけにした食の理解、宇宙での建設、宇宙生活を豊かにするためのIoTなどを学べるようにしました。全てのテーマをやってください、というよりも先生が好きなテーマを自由に選べるような構成にしてあります。 大テーマ2の「宇宙の利用」については、人工衛星について扱っています。 大テーマ3の「宇宙の探究」では、専門的な内容が多いので知識の教授にならないように工夫しました。皆が興味を持って取り組めることやただの調べ学習にならないようにすることを意識し、アウトプット(チーム発表や図鑑の制作、しくじり大賞の決定など自分なりの表現をする)の場を設けました。最後には「宇宙の生命」として宇宙人なんかも扱っています! 10コマとは別に最後のロケット特化編は、学校の先生がぎりぎりできるかできないかという難しい内容になっています。やる気のある先生(モデルロケット協会の資格を取得)や講師派遣として僕らが授業をするイメージで作成しています。

田中
田中
宇宙の謎面白そうですね!内容がかなりぎっしり詰まっている印象ですが、1コマは何分で作られているのでしょうか?

星太郎氏
星太郎氏
当初は1コマ45〜50分の想定で作っていましたが、2、3時間になるかもしれないですね。ただ、どれを扱うかは先生に選んでいただくスタイルなので、使われない授業も含んでいます。例えばコマ5ではゲーム形式になっているのですが、全てやろうとすると1コマ5時間くらいになってしまうかもしれませんが、ゲームを絞るなら2時間で終わる…という風に、先生の裁量に任せた設計にしています。

田中
田中
ありがとうございます。STEAMライブラリーの教材を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

星太郎氏
星太郎氏
今回の教材は、うちゅう株式会社が宇宙をもとに小・中・高校生むけの教材を作っている会社なので、その宇宙分野における教材作成に関する知見と協議会が得意とする“子どものみらいのために、学びのいまを 考える”キャリア教育を柱とした“教育ソリューション事業”のノウハウを掛け合わせて作成しています。 昔でいう新大陸のように、宇宙はこれから人類が発展していく上で新しく開拓されていく場所(フロンティア)になっていき、宇宙を通した産業(第4次産業)が一般的になっていくと考えています。つまり、10年、20年後には宇宙は生活の一部になっていくので、宇宙という新しい場所で活躍できる「宇宙人材」の需要が出てくるわけです。宇宙人材は、専門的な知識だけでなく問題解決能力やコミュニケーション能力などが必要になってくるので、そういう人材を増やしたいという思いでコンテンツを開発しています。

田中
田中
皆にとって身近な宇宙になるのですね!そうすると、地学の先生以外、例えば英語の先生もこのコンテンツを使いたいとなると思うのですが、専門性のない先生方に必要な準備があったら教えていただきたいです。

星太郎氏
星太郎氏
先生方の知識に頼らず、生徒が主体的に学ぶことを目指しています。またゲーム性が強いので特に先生自体が専門的に勉強して準備するものはなく、指導案・ワークシートを活用しながら取り組むだけで楽しい内容になっています。例えば英語の先生であれば、異文化との触れ合いやコミュニケーションといった武器を生かしていただきながら、取り組んでいただくだけで十分です。「多数決以外でカレーの具材のコンセンサスをとりましょう」「スマートフォンをカタカナを使わずに説明してください」という風に、中身はそれほど「宇宙!」っていう内容ではないんです。

田中
田中
なるほど!つまり、指導案やワークシートを活用すれば、子ども達が自分達で学べるスタイルになっているので、先生方が準備するものは特にないということですね。

星太郎氏
星太郎氏
そうですね。元々小学生を対象に教材を開発していたので、知識を教えることを目的としていないんですよね。ただ、聞かれた時に答えられるように、大テーマ・小テーマに応じて指導案に参考URLを載せています。誰でも取り扱えるテーマがある一方で、深掘りしたい子のためにマニアックな要素も散りばめていて、タイムマシンの理論的なことやエコロジカルフットプリントなんかも参考URLには載せています。

田中
田中
物理についても学べそうな教材ですね!この教材を作成する上で、受験勉強などに活かせる力はありますか?

星太郎氏
星太郎氏
大学進学に関する部分だと、生物や化学にも関わる内容も含まれています。宇宙食の授業では、生物の学習に家庭科の内容が入りこんでくるので、副教科へのモチベーションが上がってくるかもしれませんね。人工衛星編では模型作成で芸術、宇宙飛行士編だと国語も関わってきます。将来的には、宇宙飛行士編に体幹トレーニングなど保健体育も加えたいなど夢が広がっています。

田中
田中
副教科も関わってくるとなると、色々な先生たちが取り組みやすくなりますね!最後の質問になりますが、もしご自身が学生の頃にこのコンテンツや探究学習に出会っていたら、どう変わっていたと思われますか?

星太郎氏
星太郎氏
宇宙が子どもに影響を与える側面として、理学的側面と工学的側面があると思っています。理学的側面で言うと、人間は小さく、はかないことを実感させられると思うんです。 10億年という月日が誤差であったり、100億光年という距離の単位で物事を考えたり…学校生活がうまくいかない子にとって宇宙という未知の世界、不思議な世界が居場所になったりするんですよね。工学的な側面で言うと、逆に人類の強さを感じられると思っています。人類が思い描いたことを達成する力ってすごくて、人類初、飛行機が飛んだのが100年ちょっと前ですが、それから月に行くまでにたった60年くらいしかかかっていないんです。僕自身、宇宙に行くまでの歴史を学ぶことで、何十万人と言う人材や何兆円というお金を費やして、仲間と一致団結して夢を叶えていくたくましさを感じることができたんです。 「人類って強いな/弱いな」っていう2つの側面を知れたおかげで僕の人生は豊かになったと思っています。

田中
田中
星太郎さんはいつ頃宇宙に興味を持ち始めたのですか?

星太郎氏
星太郎氏
3歳の頃からなので、ちょっと特殊かと…(笑) 月のうさぎの話を祖父に聞いて、双眼鏡や望遠鏡でよく月を見ていたのが最初です。プロジェクトXですばる望遠鏡の話を聞き、「倍率」という概念を知ったのは知的好奇心を刺激されました(笑)また、人生の節目節目に、しし座流星群や火星の超大接近、皆既日食・金環日食、はやぶさ帰還という大きな宇宙イベントがあったりして、宇宙に興味を持ち続けているという経緯もあります。 あと僕は3歳くらいまでは自分は賢いと思っていて天狗だったのですが、4歳の時に賢い友達に出会って、無知の知を知り謙虚になりましたね(笑)競えるような対象じゃなかったので、自然界にともに立ち向かう仲間という価値観を身に付けるきっかけになりました。

田中
田中
面白いですね!星太郎さんが興味をもったような宇宙のイベントって、直近で何かありますか?先生方が「しし座流星群見た?」みたいに、導入で使いやすいと思うんです。

星太郎氏
星太郎氏
今は火星探査がアツくて、去年だけでアメリカ・中国・U A Eがそれぞれ3機打ち上げているんですよね。蓄積した技術が搭載されているはずなので、今まで見られなかった火星の新しい姿が見られるようになると思います! あと、民間が宇宙に行く機会が増えていくと思います。日本は安全基準で厳しい面もあるでしょうが、近い将来日本も行けると信じています。また、トヨタや日揮が宇宙産業に参入してきましたよね。今まで関係ないと思われていた企業が宇宙産業に参入、というニュースは増えてくると思います。

田中
田中
それ面白そうですね!2021年は宇宙トピックが溢れる1年になりそうですね。 弊社も2021年はうちゅうさんの素晴らしいコンテンツをしっかりお届けできるように頑張ります!

星太郎氏
星太郎氏
STEAMライブラリーのサイトも順調に進んでいますね!先日御社が構築中のサイトも拝見させていただき、大変楽しみにしています!

田中
田中
ぜひSTEAMライブラリー<スタディバレー号>に一緒に乗っていただけたら、月までお届けしますので(笑)

星太郎氏
星太郎氏
最後に宇宙ネタありがとうございます(笑)引き続きコンテンツの作成頑張りますので宜しくお願いします!

【インタビューはzoomで行われました】
 
 

田中悠樹 (インタビュワー)

STEAMライブラリーのシステム構築事業者である株式会社 StudyValley代表取締役
2011年にゴールドマンサックス証券テクノロジー部に新卒入社。株式会社リクルートホールディングスでは海外のVCを担当。2020年に株式会社StudyValleyを設立。オンライン学習サービス「アンカー」や業務・学習支援ソフト「TimeTact」の開発や運営を行う。創業1年目でSTEAMライブラリーのシステム構築事業を受託。

 
 
 
 

STEAMライブラリーとは

経済産業省「未来の教室」が運営する、STEAM教育を通じてSDGsに掲げられる社会課題の解決手法を学べるオンライン図書館

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代表:田中
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。