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【STEAM教育についてインタビュー】〜水産資源の持続可能性を探究するカリキュラム〜株式会社COMPASS 未来教育部 部長 木川 俊哉 氏

インタビュイー

木川 俊哉

株式会社COMPASS 未来教育部 部長

株式会社COMPASSは、生徒一人ひとりの習熟度に合わせて最適な問題を出題するAI型教材Qubena(キュビナ)を開発し、アダプティブラーニングによる知識・技能の習得を支援している。現在Qubenaは全国の公立・私立の小中高等学校、学習塾で利用されている。

また以前から教科学習で得た知識・技能を活用したワークショップを開催しており、今回STEAMライブラリーのコンテンツ事業者に採択された。

経済産業省「未来の教室」が2021年2月末より公開を開始した「STEAMライブラリー」のコンテンツ事業者である株式会社COMPASSの木川 俊哉氏に、教材の内容やSTEAM教育について取材させていただきました。

コンテンツテーマ:「水産資源の持続可能性×水産業におけるテクノロジー活用」

田中
田中
本日はよろしくお願いします!
始めに、御社のSTEAMライブラリーのコンテンツ(教材)について教えてください。
木川氏
木川氏
水産資源の持続可能性を探究するカリキュラムで、日本・世界の水産業の課題について養殖を切り口に解決していくような内容になっています。生徒にとって「わかるけど興味ない」とならないように、自分の目標や理想を叶えることに繋がるようにしました。最終的な目指したいゴールは、大切な水産資源を持続可能な形で利用し豊かな暮らしを次世代に繋げるためには、学校で学ぶことが大いに役立つということを理解してもらうことです。

全8コマあり、「課題と出会う→養殖の学習→企業努力やSDGsを学ぶ→学校の学びとの繋がり」という単元構成になっています。1コマ1コマは、「動画を見る→ワークシートへ落とし込む→グループワークで思考を深める」というのが基本の流れになっています。

田中
田中
COMPASSさんはなぜ水産資源を扱うことにしたのでしょうか?
木川氏
木川氏
COMPASSという会社が何を目指しているかというお話をさせていただきます。弊社は教育において教科学習の習熟とそれを用いた実践といった学びのサイクルを回していくことが重要だと考えています。ただ、実際の教育現場では後者の実践を行うための時間がなかなか取れないという課題があるため、弊社で開発したQubena(キュビナ)というAIドリルを用いて主に知識・技能の習得の効率化をするお手伝いをしています。そうすることで生まれた時間で実践を行う。すると、教科に対する興味が高まり普段の学習に生きてくるという、学びのサイクルを回すことを目指しているんです。

今回のGIGAスクール構想によって一人一台端末が配られ、教科の知識・技能の部分の学びがこれまでよりもスピーディに履修できるようになると、探究的な学びを行う時間が増えると思っています。そういう時に地方にフォーカスがあたることが多くて、注目されつつあるアグリテックに次ぐテーマをとして、水産業のテクノロジー化に目をつけました。気候変動によって食生活が脅かされていることや、徳島県で牡蠣の養殖を行う株式会社リブルさんとの繋がりもあり、今回のテーマに至りました。

田中
田中
なるほど。御社の教材に取り組む上で、先生方が準備することはありますか?先生方は授業のために一生懸命準備などを行うと思うので、教えていただけると嬉しいです。
木川氏
木川氏
今回のコンテンツの大きな特徴の一つとして「先生方の準備がほぼ必要ない」ということが挙げられます。ワークシートの中にも導線を組んでいて、生徒にまかせて授業ができるようになっています。一方で、逆に導線はいらないという先生もいらっしゃると思っているので、その場合は動画視聴後に自由に生徒に問いを投げかけてもらえればと思います。その場合は、先生方が事前に内容を理解していただく必要が出てくると思います。
田中
田中
ベースは準備はいらないけど、選べるということなんですね。
木川氏
木川氏
こういうテーマが好きな先生は、既に取り組んでいると思うんです。そういう先生は、細かい導線は無視してオープンに学ばせていただければと思います。
今までやったことなかったけどやってみたいという先生のために、丁寧すぎるくらいに資料などは用意しています。指導案を読む、動画を用意する、という準備はやっていただいて、あとは授業中に先生が一緒に考える、というスタンスでもいいくらいです。先生が必ずしも答えを知っている必要はないと思っています。
田中
田中
対象の学年についてはいかがですか?
木川氏
木川氏
中高生が対象ですが、中2、3、高1くらいがちょうどいいかなと思います。
田中
田中
この学習を通じて、子ども達にどのような変容が見られるとお考えでしょうか?
木川氏
木川氏
STEAMライブラリーではないのですが、経済産業省の未来の教室で麹町中学校に教科学習で得た知識・技能を活用した探究学習のワークショップを行っていました。ワークショップの前後でアンケートを取ったところ、「今回の学習が自分の将来に役立つ」「今回の学習が社会の問題解決に役立つ」と答えた子がすごく増えたんですよね。

誰しもが一度くらいは「学校の勉強って何の役に立つの?」って思ったことがあると思うんですよね。それが、今回の僕らの水産資源のコンテンツを通じて、今までよりは「学校で習うことが自分達の生活と紐づいているんだ」と感じてもらえるのではないかと思います。人それぞれ興味が異なるので、なかなか難しいところですが。

田中
田中
なるほど。STEAMライブラリーのコンテンツも食に興味がある子は御社のコンテンツ、宇宙に興味がある子はうちゅうさんのコンテンツ、みたいに分けられたら理想的ですね!
木川氏
木川氏
今回STEAMライブラリーは24事業者あると思うので、学年全体で取り組んで、田中さんがおっしゃったように自分で興味のあるコースを選べると主体的に取り組めそうですね。
田中
田中
コンテンツが偏らずにたくさんある、というのはSTEAMライブラリーの魅力ですね。先生にとっては「どれやったらいいんだろう」って悩みの種になるかもしれませんが…(笑)
木川氏
木川氏
1つのクラスでも、アンケートをとってグルーピングするのはいいかもしれませんね。そうすると他にも面白そうなコンテンツがたくさんあるので、僕らのコンテンツを選んでもらえるようにがんばらないとですね…(笑)
田中
田中
食生活を扱っていて身近ですし、中身を見ると面白いので是非見てもらいたいです!
木川さんが子どもの頃に1人1台端末が配られてSTEAMライブラリーのようなものがあったら、人生がどのように変わっていたと思われますか?
木川氏
木川氏
普段の授業って答えが決まっているものが多いのに対して、探究の活動には答えがないというのが重要だと思っています。答えがあることに慣れすぎてしまうと、答えがないことに挑戦することはとてもハードルが高くなってしまうと思うんです。

ただ、社会に出て仕事をすると答えがない状況の方が多いじゃないですか。答えを探しても見つからないので、とりあえずやってみて、うまくいかなかったから次はここを改善して…っていうサイクルを回していくやり方に慣れるのに僕はすごく時間がかかりました。こういうのにもっと慣れていれば、社会に出てからのスタートも全然違ったんじゃないかと思います。実際STEAMライブラリーもかなり手探りで進めていますし(笑)

田中
田中
本当にそうですよね、うちも手探りです(笑)
木川氏
木川氏
そういう力って、探究で身についていくんじゃないかなって思っています。
田中
田中
STEAMライブラリーのコンテンツ制作を通して、我々も探究力がついてきていますね(笑)
それでは最後の質問になりますが、STEAMライブラリーの機能として今後期待することがあれば教えてください。
木川氏
木川氏
各省庁のデータやRESAS(経済産業省の地域経済分析システム)との連携ができるといいな、と思っています。他のコンテンツでも都道府県別の人口とか年齢とかを調べる機会があると思うのですが、生徒さんがそれらのデータをインターネットで調べるのって結構大変なんですよね。汎用性のあるベーシックなデータだけでも、リンク集みたいな形になっていて簡単に調べられるといいなと思います。
田中
田中
確かにそういうリンク集みたいなものがあると便利ですね・是非取り入れましょう!
今回は貴重なご意見をお聞かせいただきありがとうございました。
インタビューはZOOMで行われました

田中悠樹 (インタビュワー)

STEAMライブラリーのシステム構築事業者である株式会社 StudyValley代表取締役
2011年にゴールドマンサックス証券テクノロジー部に新卒入社。株式会社リクルートホールディングスでは海外のVCを担当。2020年に株式会社StudyValleyを設立。オンライン学習サービス「アンカー」や業務・学習支援ソフト「TimeTact」の開発や運営を行う。創業1年目でSTEAMライブラリーのシステム構築事業を受託。

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