探究学習

探究学習で「図書館」を使いこなそう。学校・地域・大学・国会図書館の利用法とメリットを解説

探究学習で重要になるのは「情報の収集」です。

指導要領の探究プロセスの中で「情報の収集」は2番目に位置付けられています。

指導要領より

■探究の過程を経由する。
①課題の設定
②情報の収集
③整理・分析
④まとめ・表現

「情報の収集」において、インターネットは手軽で便利ではありますが、信頼性や専門性に欠ける場合があり注意も必要。そこで身近にあり、信頼性の高い情報源として探究の強い味方となるのが図書館です。

この記事では、探究学習を進める際に頼りとなる学校図書館、地域図書館、大学図書館、国立国会図書館の使い方、メリット、また利用の仕方のコツについて紹介します。

・学校図書館は探究学習のスタートとして最適です。司書さんと一緒に探究学習を作っていけるメリットもあります。

・地域の図書館は地元の資料が豊富で、人気のテーマ「地域探究」の情報収集にぴったりです。

・大学図書館には専門的な蔵書や論文が揃っており、キャンパスを訪れることで生徒の進学意欲が高まるという、嬉しい効果もあります。

・国立国会図書館には国内で発行された本や雑誌、新聞、論文などが原則すべて閲覧できます。また直接行かなくても資料を閲覧できるサービスも充実しています。

さて、では詳しくそれぞれの図書館の使い方とメリットを紹介します。

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学校図書館の使い方・メリット

はじめに学校図書館の使い方とメリットを紹介します。

学校の学習内容に則した資料が充実

学校図書館は教科に関する資料が充実しているため、生徒がすでに知っている教科書の知識からその周辺へ知識を広めていくことに適しています。

また、生徒の学習レベルに適した蔵書が揃っているため、無理なく知識を吸収できます。いきなり学外への施設に行くのではなく、校内を利用するということからも、心理的なハードルも少ないでしょう。

司書さんと一緒に探究学習を作っていける

学校司書、司書教諭などの司書さんとともに、探究学習を作ることができるのも学校図書館の魅力のひとつです。

教師や生徒が探究学習のテーマや課題に応じて、司書さんに資料を提供してもらうというのが学校図書館利用の一般的なイメージだと思います。

しかし司書さんは図書館のプロフェッショナル。司書さんを「情報リテラシーの専門家」と捉えなおし、情報のプロの立場から探究学習の授業づくり、進め方まで一緒に考え、参加してもらうことも検討してみてはいかがでしょうか。

参考記事:探究学習について書かれた論文11選。カテゴリ別に紹介【調べ方も】(『図書館の活用に関する論文』参照)

地域図書館の使い方・メリット

つぎに地域図書館の使い方とメリットを紹介します。

地元の資料が充実していて地域探究に便利

「地域」をテーマにした探究は、生徒自身が生活している場所ということもあり関心を持たれやすく、人気があります。地域図書館には、その地元の自然や歴史の資料が豊富に揃っていますので、「地域探究」の資料探しに最適です。 もちろん学校図書館よりも幅広いジャンルの蔵書があることも大きなメリットです。

インターネット検索で蔵書を確認できるところも

インターネットから図書館ネットワークにアクセスすることで、蔵書の検索・予約が可能です。事前にインターネットで閲覧したい蔵書を所有しているかどうか調べておけば、効率的に情報収集ができます。

また、図書館ではピンポイントに書籍を調べるだけでなく、そのテーマに関する「棚」を見ることで、新たな発見も生まれます。 図書館は、社会科学、人文科学、自然科学、総記、その他など体系立てて棚が作られています。テーマに沿って棚のスペースが絞られていくので、その棚にある書籍のタイトルをざっと確認して俯瞰するだけでも、そのテーマ、課題の傾向が掴めます。

学校図書館と違い、さまざまな人が利用する図書館は書籍のバリエーションも豊富です。それだけに、生徒が予想もしなかった書籍との出会いがあるかもしれません。

他の図書館の蔵書を取り寄せ可能な場合もある

図書館によっては、他の図書館の蔵書を取り寄せることが可能な場合もあります。これは図書館内に在庫がない書籍でも、市内・区内の図書館から貸出しが受けられるサービスで、図書館間の相互協力によって成り立っています。

大学図書館の使い方・メリット

最後に大学図書館の使い方とメリットを紹介します。 利用には事前申し込みが必要となる場合もありますが、平成17年度の文部科学省の調査では大学図書館の97.7%は学外者による利用が可能です。

専門書が充実している

大学図書館には専門書が充実しているという特徴があります。特にその大学の学部学科に関連する資料を多く所有していますので、実践中の探究テーマを扱っている学部を持つ大学図書館へ訪問できると、より専門的な情報収集が可能になります。

生徒に大学図書館はハードルが高いと思われるかもしれません。しかし実際に大学の研究に近いレベルの探究学習を行っている学校もあり、その成果でAO入試に合格する生徒もいます。

ハイレベルな探究に挑戦している生徒たちには、大学図書館を利用できるよう取り計らってあげることも検討してみてはいかがでしょうか。

学術論文にもアクセスできる

大学図書館は、教員や研究員、卒業生の書いた論文を所持している場合があります。先行研究や関連テーマの論文を読んでみることは、情報収集だけでなく、探究の準備段階でのテーマ・課題選びの参考にもなります。

進学を意識して学習意欲を高められる

大学図書館は、大学のキャンパス内にあります。生徒にとって、実際に大学を訪れて大学生と同じように図書館を利用し、また、そこで学ぶ大学生の様子を間近に見ることは、とても良い刺激になります。進学を意識し、学習意欲を高めることにも繋がるでしょう。

入場には条件がある場合も。事前確認しよう

大学図書館の利用方法については、各大学によって異なっています。

誰でも自由に入館できる場合もあれば、本人確認ができる身分証の提示が必要な場合、事前の申し込みが必要な場合もあります。閲覧を希望する資料名をあらかじめ提示しなければならない場合もあります。

傾向として、国立大学は一般利用が認められているところが多いようです。しかし私立は利用の際にお金がかかったり、卒業生のみの利用が認められるなど、大学によってケースが異なります。利用したい大学図書館のホームページにアクセスしたら、テーマ・課題に沿った蔵書があるかどうかだけではなく、利用条件もしっかり確認しましょう。

また、開館のスケジュールにも注意が必要です。大学が長期にわたって休みとなる夏休み(8月初旬~9月末)、冬休み(12月末~1月初旬)、春休み(2月上旬~4月上旬)の期間は、開館日時が不定期となる場合があります。比較的、大学図書館が空いているのは授業の少ない土曜日です。日曜日・祝日は休館しているところが多いので気をつけましょう。

国立国会図書館の使い方・メリット

東京本館(国立国会図書館公式サイトより)

探している本や資料が見つからない場合、プロの研究者の方々も多く利用する国立国会図書館の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

国立国会図書館は永田町の国会議事堂横にある国立の図書館です。分館として、京都にある関西館、上野にある国際子ども図書館もあります。

国内で発行されたすべての出版物を閲覧できる

関西館(国立国会図書館公式サイトより)

国立国会図書館の最大の特徴は「納本制度」です。これは国立国会図書館法により定められた制度で、日本国内で発行されたすべての出版物を国立国会図書館に納入することを義務づけています。

つまり国立国会図書館を利用すると、国内で発行された本や雑誌、新聞、論文などがすべて閲覧できるということです。 また、古文書や浮世絵、歴史的音源や映像など普通の図書館では扱っていないような資料があるもの国会図書館ならではです。

ちなみに、国立国会図書館を利用できるのは原則満18歳以上ですが、学校のレポート作成や卒業論文執筆などの調査研究のために、国立国会図書館にしかない資料を利用する必要があると認められる場合には、満18歳未満の方も利用できます。

直接来館せずに利用できる様々なサービス

国際子ども図書館(国立国会図書館公式サイトより)

「たくさん資料があるのは分かったけど、東京や京都なんていけないよ」と思ったあなた。国会図書館は、来館せずに資料を利用できるサービスもあります。

・著作権処理が終わった資料をオンラインで閲覧できる「国立国会図書館デジタルコレクション」

・近所の図書館へ資料を送ってもらえる「他の図書館への資料の貸出し」サービス

・日本国内の様々なウェブサイトを収集した当時の状態で閲覧できる「インターネット資料収集保存事業」

など、探究学習に役立つサービスがたくさんあります。

まとめ

探究学習の情報収集に有効な、学校図書館、地域図書館、大学図書館のそれぞれの使い方、メリットについて紹介しました。

まずは学校図書館からスタート。司書さんの協力が得られれば、一緒に探究学習を作っていくこともできます。

地域図書館は地元の自然・歴史についての資料を多く所有しています。図書館同士が連携しているので、手に入りにくい書籍を借りることや、インターネット検索で蔵書の確認もできます。

大学図書館では、より専門的な蔵書にあたることで、探究学習の内容を深められます。また、生徒は大学図書館を利用することで、進学した自分の姿を想像しやすくなります。学習の意欲も高まることでしょう。

国会図書館では専門家の利用するほどの資料点数、またインターネットなどで遠方でも資料を閲覧できるサービスが充実しています。

図書館の利用には基本的にお金がかかりません。学校や生徒にとっても書籍を購入する金銭的負担がないうえに、幅広い文献にあたることができます。探究学習の情報収集の手段として、図書館をうまく活用してみてください。

ABOUT ME
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。