探究学習

【徹底解説②】探究論文の具体的なフォーマットとは【表示方式編】

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大学入試に探究の論文を使わせてあげたいが、自分も大学で論文を書いていたのはずいぶん前で、指導できる自信がない

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その中で、先生方から冒頭のようなご相談をよくいただきます。

そこで、この記事では探究論文を書くときの基本的なフォーマットを、ご紹介します。今回は論文執筆における「表示(表記)」の仕方についてご紹介します。

この記事でわかること
論文表示のルール
引用について
注釈について
図表・グラフについて
引用文献・参考文献の書き方について

なお、前編はこちら。論文の基本的構成(要約→目次→序論→本論・・・といった構成と書くべき内容、文体など)ついて詳しく解説しています。合わせてお読みください。
>【徹底解説①】探究論文の具体的なフォーマットとは【構成編】

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論文表示のルール


論文の構成には一定の形式(フォーマット)があることは、前回の【徹底解説①】探究論文の具体的なフォーマット(形式)とは【論文構成編】で解説しました。

実は論文には、構成だけでなく、引用・注釈・参考文献・図表の入れ方などの表示方式にも、一定のフォーマットが存在します。基本的な論文の形式を学んでおけば、どのような分野の論文でも読んだり書いたりできるようになります。

引用について


論文における引用の表記は、とても重要です。この引用表記が正しくできていない論文は盗用とみなされる場合もあるので、とても注意して書く必要があります。

どういう時に引用表記をつけるのか?

自分以外の人が書いた文献・インターネットからの情報・新聞や雑誌の記事など、論文を書くために参考にした情報を論文中に記載するときには、すべて引用表示を付けなければいけません。

引用の表示方法

引用文献表記の仕方は、以下のような表記の仕方が基本です。

●引用文献の作者の姓と引用文献の出版年を[]または()で囲みます。作者の姓と出版年の間に句読点(、)を入れる場合もあります。

例)[伊藤 2010]もしくは(伊藤 2000)
例)[伊藤、2010]もしくは(伊藤、2000)

引用文献の記載先

すべての引用文献は、論文の「参考文献」のパートに記載します。参考文献の書き方は後ほど紹介します。

注釈について

論文の文章の中で、何らかの特別情報を記載したい場合には、注釈を付けることになります。

注釈とは

注釈とは、文章に書かれている言葉に説明が必要なときに用いる注意書きです。読み手が理解できない可能性のある言葉や専門用語等を説明するときに、注釈が必要となります。

注釈の表示方法

注釈を入れる必要がある場合は、論文の該当部分で以下のような表記をします。

注1
*1

該当の言葉1

基本的には数字表記で、注釈が増えるごとに数字も増えていきます。

注釈内容の記載先

注釈内容を書く場所は、次の2つのうちのどちらかです。

注釈を入れた同じページの下の部分―「脚注」と言います。
注釈を入れた論文の本文が終わったすぐ後―「後注」と言います。

どちらにするのかという判断は、特に指示がない場合には、脚注を採用することをお勧めします。その方が読みやすいからです。

図表・グラフについて


図表やグラフの論文中での記載方法について説明します。

図表・グラフの番号について

図表やグラフを論文中に記載する場合には、それぞれの図表に番号をつけます。
番号のルールは、第X章にあるY番目の図(あるいは表かグラフ)という意味で、

図X-Y
表X-Y
グラフX-Y

という書き方をします。

例えば第1章の1番目の図を「図1-1」、第1章の2番目の図を「図1-2」、第1章の3番目の図を「図1-3」と表記します。そして、第2章の1番目の図を「図2-1」、第2章の2番目の図を「図2-2」と表記し、章が変わるとこれが繰り返されます。

つまり、以下のような形で図表やグラフが番号付けされます。

●図1-1(第1章の1番目の図),図1-2, 図1-3…図2-1(第2章の1番目の図), 図2-2,図2-3…
●表1-1(第1章の1番目の表),表1-2, 表1-3…表2-1(第2章の1番目の表), 表2-2,表2-3・・・
●グラフ1-1(第1章の1番目のグラフ),グラフ1-2, グラフ1-3…グラフ2-1(第2章の1番目のグラフ), グラフ2-2,グラフ2-3…

図表・グラフの出典表記について

図表やグラフを論文に採用する際、自分で計測したものでなく、他の機関が発行しているデータを利用する場合があるかもしれません。そのときには、次の2つの作業が必要になります。

1. 該当の図表やグラフの下にデータの出典元を明示すること。
2. 参考文献のパートに、データの出典元の詳しい情報をのせること。

1については、該当の図表やグラフの下に次の情報を書くようにしましょう。

●著者名. 書名.出版年.データが掲載されているWEB サイトのアドレス, (入手日付).
(例)経済産業省. 通商白書2020. 2021.https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2021/pdf/2021_zentai.pdf (2021-10-27)

2については、以下の引用文献・参考文献の書き方を参考にしてください。

引用文献・参考文献の書き方について


文献の種類別に標準的な書き方をご紹介いたします。

書籍の場合

●著者名. 書名. 出版地, 出版者, 出版年, 総ページ数, (シリーズ名, シリーズ番号). (ISBN)
(例) 西島章次. 現代ラテンアメリカ経済論. 神戸, 神戸大学研究双書刊行会, 1993, 288p. (神戸経済学双書, 18). (ISBN 4641199140)

ISBNとは・・・国際標準図書番号:International Standard Book Number)。固有の書籍出版物を発行形態別、1書名ごとに識別するユニークなコード。

書籍の一部分を引用・参考にした場合

●著者名. ”章の見出し”. 書名. 版表示. 出版地, 出版者, 出版年, pp.はじめのページ-おわりのページ, (シリーズ名, シリーズ番号). (ISBN)
(例) 井手文雄, “3 界面制御の技術”. 界面制御と複合材料の設計. 東京, シグマ出版,1995, p.12-43.(ISBN 4915666271)

雑誌の場合

●誌名. 出版地, 出版社, 出版年. (ISSN) 刊行頻度.
(例) 笑い学研究. 大阪府, 日本笑い学会, 1994. ( ISSN 2189-4132) 年刊.

雑誌の一部を引用・参考にした場合

●著者名. 論文名. 雑誌名. 巻数(号数), 出版年, pp.はじめのページ-おわりのページ.
(例) 森田 亜矢子. おかしみと可笑しみ 共生と笑いに関する試論. 笑い学研究. 26, 2019, pp.41-64.https://doi.org/10.18991/warai.26.0_41

電子書籍の場合

●著者名. 書名. 版表示. 出版社, 出版年. (オンライン), 論文が掲載されているWEB サイトのアドレス, (入手日付).
(例) 加藤伸吾. スペイン語力養成ドリル2000題. 白水社, 2021. (オンライン),https://www.hakusuisha.co.jp/book/b583710.html

電子書籍の一部分を引用・参考にした場合

●著者名. “章の見出し”. 書名. 版表示. 出版者, 出版年. (オンライン), 論文が掲載されているWEB サイトのアドレス, (入手日付).
(例) 平田潤. “第2章 米国経済の「ダイナミズム」はどこから来たか”. 図解 アメリカ経済がわかる本. 東洋経済新報社, 2013. (オンライン),https://bookwalker.jp/series/67104/ , (2021-10-27).

電子雑誌の場合

●誌名. (オンライン), 論文が掲載されているWEB サイトのアドレス.
(例) ニューズウィーク日本版. (オンライン),https://www.newsweekjapan.jp/

電子雑誌の一部を引用・参考にした場合

●著者名. 論文名. 誌名. 巻数(号数), 出版年, ページ, (オンライン), 論文が掲載されているWEB サイトのアドレス, (入手日付).
(例)小林廣美. 笑いと介護. 笑い学研究. 20, 2013, pp.62-69, (オンライン),https://doi.org/10.18991/warai.20.0_62 , (2021-10-27).

参考文献がインターネット上の新聞記事の場合

●“題名”. 新聞名. 種別. 出版日付. 更新日付. (オンライン), 記事が掲載されているWEB サイトのアドレス, (入手日付).
(例) “溶岩で孤立の犬4匹、姿消す. 現場に謎のメッセージ スペイン” . Jiji.com. 2021-10-27. (オンライン),https://www.jiji.com/jc/article?k=20211027042203a&g=afp, (2021-10-27参照).

参考文献を並べる順番について

参考文献を複数利用したときには、次のような順番で論文中に記載します。

1. 著者の「姓名」を「あいうえお順」に並べる。
2. 同一著者で複数の文献がある場合には、出版年の古いもの→新しいものという順番で記載する。
3. 日本語の参考文献と外国語の参考文献を使った場合には、最初に日本語の参考文献の著者名を「あいうえお順」で記載し、その後に外国語の参考文献の著者名(姓)を「アルファベット順」に並べて記載する。
4. ただし、論文の提出先によっては、参考文献をすべて作者の「姓」の「アルファベット順」に並べることを要求する場合もあるので、注意すること。

終わりに


ここまで2回に渡り、論文のフォーマット(形式)について説明してきました。

基本的に論文のフォーマットは、論文の提出先が求める形式に合わせる必要があり、それぞれの論文形式に従っていないと、審査してもらえない可能性があります。

論文を執筆するときには、論文の内容と同じくらい、そのフォーマットにも注意をして書いたほうが良いでしょう。

なお、前編はこちらです。論文の基本的構成(要約→目次→序論→本論・・・といった構成と書くべき内容、文体など)ついて詳しく解説しています。合わせてお読みください。
>【徹底解説①】探究論文の具体的なフォーマットとは【構成編】

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。