探究学習

「ロジックツリー」は作り方が大事!学校で活用できる3つの種類、探究学習への活用を詳しく紹介

探究学習で生徒が考えをまとめるのが苦手
意見はたくさん出るようになったが、ちゃんと整理されずになんとなくで答えを作っている
ロジックツリーを活用したいので手順やポイントを知りたい

私たち Study Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、高校の先生や塾の先生方へ、探究学習を効果的に行えるICTツールの提供や、コンサルティングサービスを行っています。

先生方とお話する中で、冒頭のようなご相談をよくいただきます。

ロジックツリーは、道筋を立てて論理的思考を行うために使われるフレームワークです。樹木が枝葉をつけていくように作成されることからこの名が付きました。

探究学習の場では情報の整理や分析に役立つとされていて、ベン図やマトリックス表とともに使われることがよくあります。

この記事ではロジックツリーの種類、作り方、メリット、作成のコツを詳しく解説します。

目次
ロジックツリーとは
ロジックツリーの種類3つ
・Whyツリー
・Howツリー
・Whatツリー
ロジックツリーが作成できるICTツール
ロジックツリーのメリット
1. 問題を発見しやすくなる
2. 行動に移す優先順位が見えてくる
ロジックツリーの作り方3ステップ
1. テーマを決める
2. 要素をMECEに書き出す
3. 分解を繰り返す
ロジックツリーを作るときの3つのコツ
1. 中心となる問題を左端に書く
2. ブレインストーミングを活用する
3. 具体的な解決策が導かれているかチェックする
まとめ

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ロジックツリーとは

ロジックツリーは課題解決を助けるフレームワークの一つであり、論理的思考を行えることからビジネスシーンでも用いられます。

わかりにくい事柄を段階構造で一つずつ分解していくことで、「何が問題なのか」「どこに課題解決の糸口があるのか」などが見える化されるのが特徴です。

ロジックツリーは主軸となるテーマを左側に置き、そこから右側に向かって具体的な要素へと枝分かれさせていきます。

ロジックツリーの種類3つ

ロジックツリーには大きく分けて3つの種類があります。

ロジックツリーの種類3つ
Whyツリー
Howツリー
Whatツリー

学習する内容や目的によって選ぶようにしましょう。

Whyツリー


(図1「利益が少ない」という問題に対するWhyツリーの例:ロジックツリーの作り方を解説より引用)

Whyツリーは原因追及ツリーと言われる問題の原因を追求するときに使われるロジックツリーです。現在の課題をテーマに設定し、どのような原因があるのかを右側へ枝分かれさせていきます。

例えば「地球温暖化」が課題であるなら、そこから「二酸化炭素の放出」「途上国の工業化」「化石燃料による発電の効率の悪さ」などが挙げられるでしょう。

Whyツリーを使うときは、まず大きな原因を取り上げ最終的に複数の細かい原因を集めていきます。

探究学習への活用
Whyツリーは課題を設定するときに役立ちます。課題を徹底的に洗い出し、自分がどの課題を探究すべきか?を見つけることができます。

探究において、決められた期間内にどの課題に取り組むかとてもは重要です。テーマに対して最もインパクトがある課題は?限られた時間の中で答えまでたどり着けそうな課題は?基準はいくつか考えられますが、適切な課題を選ぶには、まず課題を洗い出すことが必要です。

ブレインストーミングではなくロジックツリーを使うメリットは、課題同士の関係性がツリー形式ですぐにわかることです。それによって全体の中でクリテティカルな課題を選ぶことができるようになりますし、もし課題の答えが早く導ければ、それに関連する課題に取り組むこともできます。

Howツリー

(図 2 「利益を増やす」という目標に対するHowツリーの例:ロジックツリーの作り方を解説より引用)

Howツリーは問題解決ツリーと言われる、問題解決策の洗い出しと優先順位を付けるときに使われるロジックツリーです。

Whyツリーと基本的な構造は変わりませんが、一番右側の枝葉で問題解決するためにすべきことの優先順位が見えるようになってきます。

先ほどの「地球温暖化」の例でいうなら「環境に優しい認証マークの商品を使う」「冷暖房を節約する」などが出てくるかもしれません。

原因を知り具体的にどのようなアクションを起こせば良いかまでたどり着くのが探究のゴールの一つです。そのためHowツリーは、探究学習の中ではぜひとも取り入れたいロジックツリーです。

探究学習への活用
課題設定のあと、その課題にはどのような解決策が考えられるか、網羅的に把握するのに使えます。解決したい課題を起点に解決案を書き出していきます。解決案からさらに細かく分解していきます。

Whatツリー


(図3 会社の売上を分類したロジックツリーの例:ロジックツリーの作り方を解説より引用)

Whatツリーは要素分解ツリーと言われる、問題の発生個所を知るために使われるロジックツリーです。

原因や解決のための優先順位を探すのではなく、単体ではわかりづらい要素を細かく分析して右側の枝葉の要素について比較・検討することが目的です。

探究学習への活用
探究学習においては、Whatツリーは情報の整理や分析に役立ちます。
例えば「高校生でもできる地球温暖化対策」というテーマであれば、「家庭における二酸化炭素排出」からスタートし、「冷暖房」「照明」「待機電力」「お風呂・シャワー」「洗濯」「料理」など家庭における炭素排出を伴う設備や家事などを書き出していき、それをもとに削減対象や方法を考えることが考えられます。

ロジックツリーが作成できるICTツール

ロジックツリーは紙や黒板に書くこともできますが、Webアプリやパソコンにインストールして使えるICTツールもあります。ICTを使うと、編集がしやすい、オンライン授業にも対応できる、データ化して共有がしやすいなどのメリットがあります。

ここではロジックツリーが作成できるICTツールを二つ紹介します。

XMind

有料版と試用版があります。パソコン上にアプリケーションをダウンロードして使います。
試用版でもメジャーなロジックツリーの作成が可能です。

画像のようにシンプルながら、色分けができ見やすいロジックツリーを作成できるのが特徴です。作成したロジックツリーは、XMind専用のファイル、またはPDF等で共有することができます。

なお、ロジックツリー以外にもウェビングマップ(マインドマップ)やフィッシュボーン(特定要因分析)の作成も可能です。

Mindmeister

こちらはアプリケーションのインストールなしで、ブラウザ上で使用可能なロジックツリーです。

ベーシックプランが無料で使用できます。無料で3つまでロジックツリーが作成でき、作成したロジックツリーは共有・コラボ・インポートが可能です。デザイン性にすぐれ、カラフルで見やすいロジックツリーが作成できます。

ロジックツリー2つのメリット

ロジックツリーには、大きく分けて2つのメリットがあります。

ロジックツリー2つのメリット
問題を発見しやすくなる
行動に移す優先順位が見えてくる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.問題を発見しやすくなる

一つ目のメリットは問題を発見しやすくなることです。

特にWhatツリーで要素を分解していけば、どこに問題があるのかが見えるようになります。ロジックツリーを作ったあとはマーカーで色をつけるなどすればさらに見えやすくなるでしょう。

問題がわかれば、生徒たちもそこを解決するための調査や体験学習を進めることができます。

2.行動に移す優先順位が見えてくる

ロジックツリーを活用する2つ目のメリットが、行動に移す優先順位が見えてくるということです。

特にHowツリーで要素を分解していけば、課題を解決するための具体的な手段が見えていき優先順位をつけられます。

実現不可能な要素は取り除き、実現できるものを集めていくのが基本です。
そのあとは短期間かつ最大の効果を得られるアクションを突き詰めていきましょう。

ロジックツリーの作り方3ステップ

ロジックツリーの作成は大きく3つのステップに分けられます。

ロジックツリーの作り方3ステップ
1.テーマを決める
2.要素をMECEに基づき書き出す
3.分解を繰り返す

詳しく見ていきましょう。

1.テーマを決める

ロジックツリーは、テーマを決めるところからスタートです。設定するテーマによってツリー全体の大きさや理論の展開方法が変わってきます。

大きすぎるテーマからスタートすると想像以上に時間がかかる場合があります。先生は、事前にロジックツリーのたたき台を作ってみて、どのくらい話が膨らみそうか、シミュレーションしておいた方がいいかもしれません。そうしておけば、ツリー全体の規模や各階層の構造を予測しやすくなります。

実際に行ってみてあまり分解が進まなくても、学習が進展したら書き加えられるように、枠だけを用意して、あとで記入できるようにしておきます。

2.要素をMECEに基づき書き出す

次に要素をMECE(ミーシー)を意識しながら書き出していきます。MECEは「抜け漏れをなくす」ための考え方です。

MECE(ミーシー)
・Mutually:お互いに
・Exclusive:重複せず
・Collectively:全体に
・Exhaustive:漏れがない

簡単に言えば、それぞれの要素を漏れなくダブらないよう階層化することです。もし重複があればロジックツリーの精度が低く、漏れがあるときは何か見落としがあるということを意味します。

生徒へ指導する際は難しい言葉に置き換えず、右に枝分かれさせる要素がダブらないよう漏れがないようにすることを伝えましょう。

慣れないうちは生徒に一度ロジックツリーを作成してもらい、あとで先生が確認して整理してあげる方法でも良いかもしれません。Webアプリケーションなどを使えば、整理も楽にできます。

3.分解を繰り返す

ロジックツリーはできるところまで繰り返し分解を行っていきます。まだ分解できる要素であるならば、それは不完全なロジックツリーです。

例えば「共生できる社会づくり」がテーマで「ボランティア」という要素が分解できたなら、そこから「教える活動」に分解できたとします。

では「教える活動」は何かを考えてみれば、また複数の活動(新しい居住者に地域の防災について教える、地域の子供たちに勉強を教える、生活困難者に福祉制度について教える・・・)に分解できるでしょう。

一番右端の枝葉まで到達したときに初めて、それぞれの行動について優先順位をつけていきます。探究学習ではその結果をもとに、実際の分析や調査につなげていくのが一般的です。

ロジックツリーを作るときの3つのコツ

ロジックツリーの作り方を説明しましたが、知っておきたいコツがあります。

ロジックツリーを作るときの3つのコツ
1.中心となる問題を左端に書く
2.ブレインストーミングを活用する
3.具体的な解決策が導かれているかチェックする

先生がコツを知っておけば、生徒が探究学習でロジックツリーを活用する際にアドバイスがしやすくなるでしょう。

ロジックツリーを作るときのコツは主に3つです。

1.中心となる問題を左端に書く

中心となる問題を左端に書くようにしましょう。ロジックツリーの基本的な構造は、どの種類であっても変わりません。

最初に設定するテーマによって、その後枝分かれが大きく変化します。

抽象的すぎるテーマに設定してしまうと要素が多くなりすぎるので、できる限り具体的な問題をピックアップすると階層化しやすくなるでしょう。

2.ブレインストーミングを活用する

ロジックツリーをつくるときは、状況に応じてブレインストーミングを活用しましょう。思いつくままに意見やアイデアを集められるブレインストーミングなら、ロジックツリーで気を付けたい要素の漏れを防ぎやすいからです。

また複数の参加者からの意見を集めてつくれば、一人の情報の偏った枝分かれを防げます。

集めた意見やアイデアをロジックツリーの各要素に並べていくことで、MECEを意識したフレームワークができあがります。

3.具体的な解決策が導かれているかチェックする

ロジックツリーを策せした結果、具体的な解決策が導かれているかチェックしましょう。ロジックツリーでの「具体的」とは行動や期日、達成目標などが盛り込まれているかどうかです。

実際に完成したロジックツリーの右端を確認して、解決策が具体的になっているかどうかを先生はくまなくチェックしましょう。

もし具体的でなければ、それは最初に設定したテーマがすでに抽象的である可能性があります。その際はテーマを決めるところから再考する必要があるかもしれません。

まとめ

ロジックツリーの種類に触れながら、具体的な作り方について紹介しました。

ロジックツリーは課題解決策やアクションの優先順位などが見える化される、といったメリットがある反面、正しく作成しなければ十分な効果が得られないフレームワークです。

そのため先生はただ探究学習の中でロジックツリーを作らせるのではなく、正しく作成されているかどうかを常にチェックしてあげましょう。

ロジックツリーが正しく運用できていれば生徒たちもやりがいを感じ、まとめや発表の際の材料として活用してくれます。

参考記事
第2章 今、求められる力を高めるための学習指導|文部科学省
授業改善リーフ第2集 学びのR|埼玉県教育局南部教育事務所
ロジックツリーとは?作成メリットや作成手順は?具体例もご紹介|リンクアンドモチベーショングループ
【ロジカルシンキング】MECE(ミーシー)とは? 基本概念とフレームワーク活用法|カオナビ
ロジックツリーの作り方を解説|Executive Link

 

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社StudyValleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。