STEAMライブラリー

世界の社会課題と出会い、探究していくきっかけを作る~NPO法人クロスフィールズ~

*この記事は経済産業省「STEAMライブラリー未来の教室」のコンテンツ事業者様に、教材の詳しい内容や使い方のアドバイス、STEAM教育に対する思いなどを取材する連載企画です。

NPO法人クロスフィールズ(以下、クロスフィールズ)は「社会課題が解決され続ける世界」をビジョンに掲げ、様々な活動に取り組む非営利組織です。

今回、クロスフィールズには国内外のNPOや社会的企業とともにVR( バーチャル・リアリティ ) 映像 /360 度映像を活用し、社会課題への理解を深めるコンテンツを提供していただきました。

360度映像で自分の好きな場所を主体的に見られること、社会起業家のインタビューから生の声を聞けることが特徴です。探究のきっかけづくりやSDGsや社会課題のテーマにご関心がある方は、ぜひお読みください。

参考:2021年取材記事
>【STEAM教育についてインタビュー】NPO法人クロスフィールズ 高橋 智也氏

プロフィール


藤原 未怜様
学生時代は子どもの人権に関わるNGOでのインターン等を経験。卒業後は民間IT会社で医療分野を担当し、2019年にクロスフィールズ入団。2020年6月〜11月には認定NPO法人カタリバへの出向を経験し、現在は「共感VR」事業をメインに担当

特定非営利活動法人クロスフィールズ
クロスフィールズは「社会課題が解決され続ける世界」を目指し、様々な活動を行うNPO法人です。2011年より社会課題解決の現場に企業の社員が飛び込み、現地の NPOや社会的企業とともに課題解決に取り組む新興国「留職」プログラムなどを展開してきました。
団体ミッションのひとつに「社会課題を自分事化する人を増やす」を掲げ、2020年より国内外における社会課題の現場を疑似体験する「共感VR」事業を開始し、教育現場と企業に展開しています。

コンテンツ紹介

タイトル子ども兵の問題を解決するために自分たちにできることを考える 〜世界平和の実現を目指す認定NPO法人テラ・ルネッサンスの活動を事例に〜
学年中学、高校
キーワード社会起業家、360度映像、アフリカ、社会課題、子ども兵、紛争、国際問題、平和構築、ウガンダ
URLhttps://www.steam-library.go.jp/content/117
タイトル360度映像で世界を探究する ~カンボジアとタンザニアの暮らしから探究テーマを考える~
学年中学、高校
キーワード探究学習、カンボジア、グローバル、タンザニア、360度映像、教科学習
URLhttps://www.steam-library.go.jp/content/83

本記事で紹介されている上記2つのコンテンツ以外にも、以下の7つのコンテンツを展開されています。

【高校の探究担当の先生へ】
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「Time Tact」を提供しています。

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テーマ設定の背景「社会課題の自分事化」

(田中)今回テーマを設定する上で意識されていたことはなんですか?

(藤原)どのコンテンツも、私たちのミッションでもある「社会課題の自分事化」をテーマに作成しました。自分事化するために、社会課題と自分とのつながりを感じることを大切にしています。つながりを感じることで、自分の行動が社会にも影響を与えられる感覚を持ってもらいたい。そこが一番の狙いです。

例えば「子ども兵の問題を解決するために自分たちにできることを考える」コンテンツでは、紛争の原因と自分のつながりを見つけていきます。

なぜ紛争が起き、なぜ子供が巻き込まれているのか。また、その要因に考えられることはなにか。そういった問いを深めるため、授業では下の写真から紛争が生まれる原因になっているものを考えるようなクイズも取り入れています。

答えは写真に写っている全てです。そしてここから、紛争と自分のつながりを考えていきます。

その後、社会企業家の鬼丸さんのインタビュー動画を流すことで、社会課題についての考えを深めます。

普段自分が使っているものが原因のひとつとなり、紛争が起こっている。そんな想像を膨らませることが、社会課題を自分事化する入り口になります。

(田中)なるほど。遠くに見えて、実は近いということに気づくと、社会の問題が自分ごとになるんですね。

360度映像を取り入れることで、関心が持てるポイントが無限大に


【CF_子ども兵_コマ1】カンボジア360度映像 より引用

(藤原)10コンテンツの全てに360度映像を取り入れたことも特徴です。360度映像を使うことで、生徒は当事者が見ている世界を擬似体験することができます。

生徒が関心を持つポイントは様々です。映っている人に注目する人もいれば、部屋に飾ってあるものに関心を持つ人もいます。制作側としては特定の導線をあえて作らず、一人ひとりが擬似体験から気づいたポイントを深堀りできるようにしました。こうしたことで、どんな生徒でも自ら発見したポイントから探究を始めていけると考えています。

気づいたことが社会課題につながっていなくても構いません。生徒のみなさんには、まず関心を持てるポイントを見つけて欲しいです。探究を深めていくと社会課題につながってくることも多くあると思います。

準備について「生徒と一緒に楽しむ姿勢で」

(田中)社会課題をテーマに授業を展開するためには、先生方も事前に調べておく必要があるのでしょうか。

(藤原)準備しなきゃいけないという先入観は手放して、生徒と一緒に学ぶ姿勢で先生方にも楽しんでいただきたいです。普段と異なる教材を使う先生方が、この教材を通して何を伝えたらいいか不安に思うのは当然だと思います。そのため、生徒と一緒に学ぶつもりで一緒に感想や考えを共有していただくと、結果的に生徒の学びが深まるのではないかと思っています。

コンテンツの使用例

(田中)このコンテンツは、どのような時期に使うことがおすすめですか。

(藤原)基本的には中高生向けに、総合的な学習・探究の時間で活用いただくことを想定しています。ただ、社会科の授業に挿入したり、数学・理科の授業に展開したりしていただくこともできます。

また、今は行きにくい海外の映像も多くあるので、校外学習のような位置付けで活用してくださった学校もあります。ダイアログ・ジャパン・ソサエティさんと作った多様性についての教材は、留学を予定している高校生向けに留学準備の授業として使ってくださった学校もあります。様々な使い方があると思いますので、学校の状況に合わせてご活用いただければ嬉しいです。

キークエスチョンとは

(田中)生徒の興味を引くために初めに投げるべきキークエスチョンはありますか。

(藤原)各教材のサムネイルに関心をもってもらうための一文(キークエスチョン)を記載しています。たとえば気候変動については、「このままだと台風が増える」など身近に感じてもらえるようなキークエスチョンにしているので、先生方にはこちらも参考にしていただけると嬉しいです。

藤原さん自身が探究されているテーマとは

(田中)子供に探究を教えるにあたって、大人も探究するべきでは?という話がありますよね。藤原さんご自身が今、探究されているテーマはございますか?

(藤原)最近は「健康」がテーマですね。 

コロナ禍で体を動かす機会が減ってから、意識的に体を動かしたり食事に気をつけたりしないと、どんどん不健康になってしまうと感じていて、健康について考えるようになりました。スマートウォッチで運動量や睡眠の質を確認して、どういう時に自分がどのような体調になるかを把握したりしています。何をどれだけ食べるとどれだけ体重が変化するかもわかってきて、体重に焦って無理な食事制限をすることもなくなったので、コロナ禍以前よりも健康になっていると思います。最近は運動に注力して、筋肉の仕組みを学んだりしています(笑)

社会と出会うきっかけを掴んでほしい

(田中)最後に、当コンテンツを使う学校の先生方に向けてコメントをお願いします。

(藤原)このコンテンツは社会課題をテーマにしていますが、社会課題に限らず様々な関心につながるフックがたくさんあります。

360度映像の中に興味をひくものがあるかもしれませんし、社会起業家のインタビューを聞いて「この人の考え方かっこいいな」「こんなふうに堂々と話せるようになりたい」と思う人もいると思います。そこから社会課題への関心につながればもちろん嬉しいですが、何に関心を持つかは生徒に委ねて、探究の一歩目を踏み出すきっかけとしてこの教材を使っていただけたら嬉しいですね。

社会課題を自分ごと化する人を増やす~NPO法人クロスフィールズのSTEAMライブラリーコンテンツ一覧はこちら

関連するSTEAMライブイラリーコンテンツ

社会課題に関連したコンテンツには以下のようなものもあります。一部ご紹介しますので参考にしてみてください。

スポーツを通じて社会課題を探究する 〜国際教養としてのスポーツ道徳〜(株式会社STEAM Sports Laboratory)
生分解性プラスチック【日本語版のみ】/生分解性プラスチックは人々のどのようなニーズに応えられるか?(ブリタニカ・ジャパン株式会社)
海とともに拓く日本の未来(株式会社日経BP ・国立大学法人長崎大学)
水産資源の持続可能性×教科学習の活用(株式会社COMPASS)
STEAMシリーズ:水(Water)(株式会社Barbara Pool)
介護用ロボット 【日本語版】/ 社会課題解決と高齢化社会のニーズにこたえるためのロボットの可能性(ブリタニカ・ジャパン株式会社)
音のバリアフリー~音で健康と福祉をもたらす社会づくり(ブレーン株式会社 × エリザベト音楽大学) など

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代表:田中
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社StudyValleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。