STEAMライブラリー

ゲーム感覚で「素数」と「結晶」を夢中でタンキュー!~tanQ株式会社~

*この記事は経済産業省「STEAMライブラリー未来の教室」のコンテンツ事業者様に、教材の詳しい内容や使い方のアドバイス、STEAM教育に対する思いなどを取材する連載企画です。

tanQ株式会社(以下、tanQ)は、「学びをエンタメに」という想いのもと、小学生向けの教育コンテンツを開発しています。tanQが開発した教材では、経済や化学、歴史などの幅広いテーマを、ボードゲーム形式で学ぶことができます。

今回は、「素数」と「結晶」がテーマの2つのコンテンツをご提供いただきました。一見難しそうなテーマですが、アニメーション・ゲームで楽しく学ぶことができます。

このコンテンツの使い方や込められた想いについて、tanQの塩屋様と岩城様に、弊社代表の田中悠樹がお話を伺いました。

塩屋純一様プロフィール


東京大学経済学部を卒業後、総合商社にて情報産業ビジネス/ベンチャー投資事業に従事。
教育はもっと楽しくアップデートできる余地があるのではと考え、2015年に起業。ボードゲームマニアでもある。

岩城信二様プロフィール


東京工業大学化学専攻を卒業後、AIエンジニアとして物流や都市計画事業に従事。2019年よりtanQ株式会社に参画した。副業でマジシャンとして活動していることあり、tanQではシステム統括は勿論のこと、マジシャン講師としても活躍中♪

tanQ株式会社

「学びをエンタメに」を掲げ、ボードゲーム販売事業と、小学生向け通信教育サービスを提供しています。tanQの教材は、ゲームを通してワクワクしながら、自然と学問を自分ごととして学ぶことができるものとなっています。

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コンテンツについて

タイトル素数のタンキュー
学年小1〜3、小4〜6
キーワード算数、数字、素数、ゲーム、遊び
URLhttps://www.steam-library.go.jp/content/120

「素数のタンキュー」概要

数字がモンスターとして登場し、無機質に見えがちな算数をもっと楽しくワクワク学べる教材です。数字を使った楽しいワークから始まり、算用数字の発明〜現代での応用(暗号技術)まで、楽しいアニメーション・ゲームで学ぶことができます。ゲームはモンスターになった数字達を合体させて新たな数字を召喚するものとなっており、計算に苦手意識を持っている児童も楽しく取り組めるものになっております。

タイトル結晶のタンキュー
学年小1〜3、小4〜6
キーワード化学、宝石、結晶、ゲーム、遊び
URLhttps://www.steam-library.go.jp/content/119

「結晶のタンキュー」概要

様々な結晶がモンスターとして登場し、子どもたちにとって身近な結晶(宝石)を楽しくワクワク学べる教材です。 結晶の構造・生成から、結晶はなぜ美しいのか…といった哲学的な内容まで、楽しいアニメーション・ゲームで学ぶことができます。ゲームはモンスターになった結晶たちの特性(硬さ・重さ)を使ったバトルゲームや、飽和・冷却による結晶化を体験する戦略的ゲームになっており、理科に苦手意識を持っている児童も楽しく取り組めるものになっております。

 「素数」「結晶」をテーマにした背景は?

(田中)なぜ「素数」と「結晶」を今回のテーマにされたのでしょうか?なかなか渋いところを題材にされているな、と思ったのですが…笑。

(岩城)素数については、掛け算の新しい捉え方として、数字は、数字と数字との合体であると表現したくてテーマにしました。掛け算でつまずいて、数字にトラウマができる子は多いと思います。僕たちは学問を楽しんでほしいのですが、楽しいと思うまでのハードルが高く、乗り越えられない子があまりにも多いですよね。そのハードルを下げて、楽しいと思える段階に持っていきたいという思いがあります。だから、子どもたちにとって一番のハードルである掛け算を乗り越えてもらうという意味で、数字のベースとなる素数をテーマにしました。

あとはSTEAM的な観点で、数字がどう現実社会に使われているかを表現するために、素数が良いテーマだったからです。素数は暗号化技術と関連があり、実は数字が社会に役立っていることを伝えられます。

(田中)なるほど。結晶の方はなぜテーマに選んだのですか。

(塩屋)結晶は、子どもは石ころが好きだし、女の子は宝石が好きというところから入りました。だから結晶のコンテンツは、子どもが好きなものから化学物質の難しい話に連れて行く、という構成になっています。素数の方は、一見とっつきにくいけれど、本当は簡単なんだよ、っていうコンテンツなので、結晶と逆パターンですね。

とっつきやすさと学びの深さを意識したコンテンツ

(田中)今回コンテンツを制作する上で、意識されたことはございますか?

(塩屋)「とっつきやすさ」と「深み」の両立が一番力を入れたところです。子どもが先を競うように見てくれる動画というのがまず必要だろうと考えました。だから、例えばYouTubeにアップしたとしても、きちんと再生されるようなビジュアルで作ることに一番腐心しました。字幕やクイズ形式を取り入れ、とにかくゲームに見えるように気合を入れて作りました。その上で、動画を見ると新しい知識や気づきが次々と起きるような、深さも大切にしました。

▲遊び感覚で素数を学ぶことができる。(4コマ目:数字を合成しよう!より)

実際に使った子どもたちの様子

(田中)コンテンツを子どもたちに試してもらったことはありますか?

(岩城)はい。弊社で試してもらったり、オンラインのクラスで素数の方をやってもらったりしました。年長さんも参加していたのですが、やってもらうと年長さんがすぐに掛け算の答えを言えるようになっていました。それを見て、「あ!このコンテンツは大丈夫だな」と思いました。

(田中)すごいですね。年長さんでも掛け算ができるようになると知ったら、学校の先生も使ってみたくなりますよね。

(岩城)そうですね。絵合わせで学ぶだけなので、とっつきやすいと思います。掛け算の概念まで理解できているかはもう少し検証が必要ですが、入り口としては良いのではないでしょうか。

(田中)逆に、実際に使ってもらう中で引っかかったポイントなどはありましたか?

(岩城)基本はやりやすかったですが、例えば二桁の掛け算ができる子どもの場合、最初の説明がまどろっこしく感じるかもしれないと思いました。全く知識がない子も振り落とさず、楽しく掛け算を理解してもらうというところに重点を置いているので、学習が進んでいる子には前半が少し退屈かなという懸念はありますね。

(塩屋)難易度が坂道になっているので、自分の高さに来ると面白いけれど、それまでは結構まどろっこしいというのはあるかもしれないです。

コンテンツを活用するタイミング

(田中)コンテンツを使うのは、どの学期が良いでしょうか?

(塩屋)遊びに寄せているので、周りの子どもたちと友達になってほしい1学期や、長期休み明けで勉強から離れていた時のアイスブレイクとして使っていただけると思います。見た目がゲームっぽいのを逆手に利用してほしいという感じですね。これを見せられて「えー…」ってなる子はいないと思うので。そこは自信がありますから!

個々のコンテンツで言うと、素数の方は九九を習う前後、小2の1学期あたりが良いと思います。

(岩城)あとは小1の2学期でも良いかなと思っていて、数字の大小だけわかれば動画を理解できます。

(塩屋)九九が一番スイートスポットだとは思いますが、そこ以外ではどのタイミングでもお使いいただけるかと思います。結晶の方は特定のカリキュラムに沿っているわけではないので、いつでも良いです。数の比較だけやってあれば理解できると思います。

(田中)なるほど。ただ、コンテンツの中にディスカッションが入っていると、いきなり小1の1学期にやるということは難しいのかな?と思いましたが、いかがでしょうか。

(岩城)ディスカッションをするのに何年生の何学期まで待たないとダメだというのは、あまりないと考えています。弊社はオンライン授業を行っていますが、小1から小3の会員がおり、小1でも問題なく話し合っているのを見ています。

ただ今回のコンテンツにある、「よい子指数とは」というディスカッションは少し難易度が高いです。IQならぬよい子指数というものが発明されたけれど、果たしてそんなものがあって良いのかというテーマです。

(塩屋)これは、結構タフだよね。

(岩城)スーパータフです。でも、これは弊社の授業で一度検証しています。よい子指数といっても、どのようなことを指標化するのかを例文なしで進めたら、子どもたちはちんぷんかんぷんでした。そこで、「学校の成績が良い」のような例を挙げると、子ども達にもスッと入って、ディスカッションしやすいということを確認しました。

▲「よい子指数」について議論するコマ。(5コマ目:数字の恩恵と葛藤より)

コマを抜き出して活用するのもOK

(田中)このコンテンツは、コマ単体で使うこともできるのでしょうか。

 (塩屋)問題ないです。二桁の掛け算が余裕という子は途中からでもできるので、順番でやらなければいけないというわけではないですね。コマを抜き出して使うのも大丈夫です。

▲コンテンツに出てくるコーキ(左下)。コーキは経験値を獲得し、「スーガク・レベル」を上げていく。(2コマ目:素数と合成数・もしもこの世に数字がなかったら?より)

(岩城)素数の9コマ目(数学の凄みに迫る!RSA暗号ガチ解説!)は結構難しいので、飛ばしても良いかもしれません。フェルマーの小定理とか…。

(塩屋)これは本当に100人のうち1人のためのコンテンツですね。本当に暗号化に興味がある人には、逃げずに向き合いたいと思ったので入れました。だから、1コマ目〜8コマ目がスタンダードです。そこをやる中で、本当に数学が好きな人は疑問が沸々と沸いているはずです。そこに逃げずに答えるとこういう話になるよっていうのが、最後のおまけのところです。大学の授業とかで、RSA暗号を作ってみようというテーマがあったりするので、そういうレベルです。

RSA暗号とは・・・桁数の大きな素数の因数分解が困難であることを利用した、暗号アルゴリズム。

「ゲームやります!」と子どもたちの興味を引いてほしい

 (田中)コンテンツを使う際に、先生がどのようなことを投げかけたら興味を引きやすいと思いますか。

(塩屋)それはもう、「ゲームやります!」と投げかけてほしいです。子どもは「よっしゃー!」「絶対勝つぞ!」となると思います。ゲームのルールには素数や化学物質の仕組みが入っているので、「ゲームやるぞ!」「わー!」というテンションのまま、学習を進められるはずです。

(田中)「ゲームやります!」とだけ伝えて、あとは動画を流せば自然に興味を引けるということですね。

(塩屋)そのためのポップで、キャッチーな動画なので笑。あのキャッチーさで目を背ける子はなかなかいないと思います。

(岩城)動画を信じて流してみてください。それで、質問・クイズが出るので、子どもに答えてもらい、また再生してもらえたら大丈夫です。それで本当に授業が進むということを一度試してみてください。

コンテンツを使う際のアドバイス

(田中)このコンテンツを使う際の、先生方へのアドバイスはありますか?

(岩城)子供に楽しんでほしいです。お勉強と思ってほしくないので、私たちがこの教材を使うにあたっては、子どもの間違いを指摘をしないことにしています。限度にもよりますが、基本的には全肯定で、「ゲームしてる感」に水を差さない方が結果はうまく行くことが多いというのが経験則としてあります。

あとは、黒板の前に先生がいるんじゃなくて、先生が生徒と同じ側にいる・参加者になることですね。前に立たないで、子供達と一緒に動画再生して、子どもたちと一緒に動画見て楽しんでください、というスタンスです。

(塩屋)前に立つと、わからないことを先生に聞くという姿勢で、子どもたちはたくさん質問してきます。でも、先生が子ども側に行くとその姿勢が変わって、「どうやってやるんだろうね」と一緒に考えるスタンスになります。

それから、コンテンツの一部のコマではカードゲームがあるので、カードを準備する必要があります。プリントアウトして切る作業が少し大変かもしれません。

(岩城)デジタルでゲームをするのも一つの手ですが、少し味気なく感じることもあります。そうすると、PDFを印刷して切ってカードを作っていただくことになりますが、その作業は大変だと思います。

(田中)確かに作業は必要ですが、カラーで印刷してカードを一セット作れば、それを他のクラスでも使えますよね。

(岩城)そうですね。基本的にはカラー印刷かデジタルでご利用いただいて、難しい場合は先着500名様にカードをお送りします!

カードをご希望の方は、STEAMライブラリーコンテンツページ右上の「事業者へお問合せ」からご連絡ください。

まとめ

tanQのコンテンツは、とっつきやすさと学びの深さが両方あることが魅力です。一見難しい「素数」や「結晶」というテーマでも、子どもたちが楽しみながら学ぶことができます。

細かく準備をしなくても、動画を流すと自然に子どもたちの興味を喚起できるため、ぜひ活用してみてください。

tanQ株式会社のSTEAMライブラリーコンテンツ一覧はこちら

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tanQ株式会社さんのテーマと関連するSTEAMライブラリーコンテンツを一部ご紹介します。参考にしてみてください。

 

ABOUT ME
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社StudyValleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。