少子化時代を勝ち抜く、大学の「個性」の作り方。探究入試がその試金石となる
日本の18歳人口が急速に減少する中、大学は生き残りをかけた競争の真っ只中にいます。文部科学省の推計によると、2040年には18歳人口が約88万人まで減少し、現在の約3分の2の規模になると予測されています。このような厳しい環境下で、各大学が生き残るために最も重要なのは、他大学にはない明確な「個性」を確立することです。そして、その個性を最も効果的に表現し、実現できる入試形態こそが「探究入試」なのです。

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少子化時代の大学が直面する3つの現実
現在、日本の大学は以下の3つの厳しい現実に直面しています。
1. 定員割れの危機が現実化
日本私立学校振興・共済事業団の調査によると、2024年度の私立大学の約53.3%が定員割れを起こしています。この数字は年々上昇傾向にあり、もはや「どこかの大学の問題」ではなく、すべての大学にとって切実な課題となっています。
2. 学生の価値観の多様化
Z世代と呼ばれる現在の高校生は、単に偏差値や知名度だけで大学を選びません。自分の興味・関心に合った学びができるか、社会にどのような貢献ができるか、将来のキャリアにどうつながるかを重視します。従来の画一的な大学像では、もはや学生の心を掴むことはできません。
3. グローバル競争の激化
オンライン教育の普及により、国内だけでなく海外の大学とも競争する時代になりました。語学力のある学生は、国内大学に限定せず、より魅力的な教育機会を求めて海外大学も選択肢に入れています。
なぜ今、大学に「個性」が必要なのか
大学の個性とは、単なる「特色」や「強み」ではありません。それは、その大学でしか実現できない独自の教育価値であり、学生の人生を変える可能性を持つ唯一無二の学びの場としての存在意義です。
個性がもたらす3つの競争優位性
- 差別化による選ばれる理由の明確化:「なぜこの大学でなければならないのか」という問いに明確に答えられる
- ミスマッチの防止:大学の個性に共感する学生が集まることで、入学後の満足度が向上
- 教育の質の向上:個性に基づいた一貫性のある教育により、より深い学びを提供できる
個性化に成功した大学の事例
例えば、国際教養大学(AIU)は「すべての授業を英語で実施」「1年間の海外留学必須」という明確な個性を打ち出し、開学から20年足らずで国内トップクラスの就職実績を誇る大学となりました。また、立命館アジア太平洋大学(APU)は「学生の半分が留学生」という環境を作り出し、真のグローバル教育を実現しています。
探究入試が大学の個性を映し出す鏡となる理由
探究入試は、単なる新しい入試方式ではありません。それは、大学の教育理念や求める学生像を最も明確に表現できる入試形態です。なぜなら、探究入試では以下の要素を通じて、大学の個性を具体的に示すことができるからです。
1. 評価基準に大学の価値観を反映
探究活動の何を評価するかは、大学が何を重視しているかを如実に表します。例えば、社会課題解決を重視する大学なら、探究テーマの社会的インパクトを評価基準に含めることができます。一方、学術的深さを重視する大学なら、研究手法の妥当性や論理的思考力を重点的に評価できます。
2. 入学後の学びとの接続性を示せる
探究入試では、高校での探究活動と大学での学びがどうつながるかを具体的に示すことができます。これにより、受験生は入学後の自分の姿をイメージしやすくなり、大学選びの重要な判断材料となります。
3. 大学の教育資源を活用した選抜が可能
探究入試では、大学の教員が直接評価に関わることで、その大学ならではの専門性や教育方針を反映した選抜が可能になります。これは、外部委託の共通テストでは実現できない、大学の個性を活かした選抜方法です。
大学の「個性」を作り、探究入試で表現する5つのステップ
ステップ1:自大学の強みと社会的使命を再定義する
まず、自大学が持つ教育資源、研究実績、地域性、歴史などを棚卸しし、それらを組み合わせて独自の価値を創出します。重要なのは、「他大学にはできないこと」を明確にすることです。
- 建学の精神を現代的に解釈し直す
- 地域の課題と大学の専門性を結びつける
- 産業界との連携を活かした実践的教育を構築する
- 国際的なネットワークを活用した独自プログラムを開発する
ステップ2:求める学生像を具体化する
大学の個性に基づいて、どのような資質・能力・意欲を持つ学生を求めるかを明確にします。抽象的な表現ではなく、具体的な行動や思考の特徴として表現することが重要です。
ステップ3:探究入試の評価基準を設計する
求める学生像に基づいて、探究活動のどの側面を評価するかを決定します。評価基準は以下の要素を含めて設計します:
- テーマ設定力:大学の専門分野との関連性、社会的意義、独自性
- 探究プロセス:計画性、実行力、困難への対処、協働性
- 成果の質:論理性、創造性、実現可能性、発展性
- 自己省察力:学びの深さ、成長の自覚、今後の展望
ステップ4:高大連携プログラムで個性を体現する
探究入試を単なる選抜の場とせず、高校生が大学の個性を体験できる機会として活用します。例えば:
- 大学の研究施設を活用した探究活動支援
- 教員による探究テーマ相談会の開催
- 在学生メンターによる探究活動サポート
- 探究成果発表会での専門的フィードバック
ステップ5:入学後の教育との一貫性を確保する
探究入試で入学した学生が、その探究心を大学でさらに発展させられる環境を整備します。これにより、入試から卒業まで一貫した個性ある教育を実現できます。
探究入試を通じた個性化の成功事例
事例1:地域課題解決型大学の挑戦
ある地方国立大学は、「地域の課題を解決する実践知の創造」を個性として打ち出し、探究入試では地域課題に取り組んだ経験を重視しています。評価では、課題の地域性、解決アプローチの実現可能性、地域住民との協働経験などを重点的に見ています。その結果、地域に根ざした意識の高い学生が集まり、卒業後の地元定着率も向上しています。
事例2:学際的研究を推進する総合大学
都市部の私立総合大学では、「文理融合による新たな知の創造」を個性とし、探究入試では複数分野にまたがるテーマに取り組んだ学生を高く評価しています。入学後は学部横断型のプログラムに参加でき、従来の学部の枠を超えた学びを実現しています。
事例3:グローバル×ローカルを追求する大学
中規模私立大学では、「グローカル人材の育成」を掲げ、探究入試では地域の課題をグローバルな視点で捉えた活動を評価しています。英語でのプレゼンテーション能力も重視し、入学後は海外提携校との共同プロジェクトに参加する機会を提供しています。
Study Valley TimeTactで実現する個性ある探究入試
大学の個性を反映した探究入試を効果的に実施するには、適切な評価システムとデータ管理が不可欠です。Study Valley TimeTactは、各大学の個性に合わせた探究入試の設計から実施、評価まで、以下の機能で総合的に支援します。
1. カスタマイズ可能な評価基準設定
TimeTactでは、大学独自の評価観点や配点を自由に設定できます。例えば、「地域貢献度」「国際性」「イノベーション性」など、大学の個性を反映した評価軸を設定し、それぞれに重み付けを行うことが可能です。
2. 探究プロセスの可視化機能
高校生の探究活動の過程を時系列で記録・可視化できるため、成果だけでなくプロセスも含めた総合的な評価が可能になります。これにより、大学が重視する「学びの姿勢」や「成長の軌跡」を評価に反映できます。
3. 高大連携活動の一元管理
出張講義、探究支援プログラム、相談会などの高大連携活動の実績をデータベース化し、参加学生の探究入試出願時に参照できます。これにより、大学との関わりの深さも評価に含めることができます。
4. AIによる評価支援機能
大量の探究レポートやポートフォリオを効率的に評価するため、AIが初期スクリーニングを支援します。ただし、最終的な判断は必ず人間が行うことで、大学の個性を反映した質の高い選抜を実現します。
5. 入学後の追跡調査機能
探究入試で入学した学生の入学後の成績、活動実績、満足度などを追跡調査できる機能により、探究入試の効果検証と継続的な改善が可能になります。
まとめ:個性なき大学に未来はない
少子化時代において、大学が生き残るためには明確な個性の確立が不可欠です。そして、その個性を最も効果的に表現し、実現できるのが探究入試です。探究入試は単なる入試方式ではなく、大学の教育理念を体現し、求める学生と出会うための重要な接点となります。
各大学は、自らの強みと社会的使命を見つめ直し、独自の個性を確立する必要があります。そして、その個性を探究入試という形で具体化することで、真に自大学にふさわしい学生と出会い、質の高い教育を提供することができるのです。Study Valley TimeTactは、そんな大学の挑戦を技術面から全面的にサポートし、個性ある大学づくりに貢献します。
今こそ、探究入試を通じて大学の個性を確立し、少子化時代を勝ち抜く強い大学を作る時です。
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。