探究学習

フィールドワークを成功させる計画・準備・実行ガイド

フィールドワークを成功させる計画・準備・実行の全手順

探究学習において、フィールドワークは生徒たちに「リアルな学び」を提供する貴重な機会です。しかし、「どこから手をつけていいか分からない」「安全管理が不安」「成果が出るか心配」といった声が多くの教員から聞かれます。本記事では、フィールドワークを成功に導くための計画から実行、振り返りまでの全手順を、実践的なチェックリストとともに詳しく解説します。これを読めば、初めてフィールドワークを企画する先生でも、自信を持って実施できるようになります。

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なぜフィールドワークが探究学習の「要」となるのか

教室での学習だけでは得られない、フィールドワークならではの教育効果について理解することが、成功への第一歩です。

フィールドワークがもたらす5つの学習効果

  1. 五感を通じた深い理解:現場の雰囲気、匂い、音など、教科書では伝わらない情報を体感
  2. 実社会との接点:地域の人々や専門家との出会いが、学びに真実味を与える
  3. 予想外の発見:計画外の出来事や偶然の出会いが、新たな問いを生む
  4. 協働的な学び:グループでの行動を通じて、協調性や役割分担を実践的に学ぶ
  5. 主体性の育成:自ら行動し、情報を集める経験が自信につながる

フィールドワークで陥りがちな3つの失敗パターン

多くの学校が経験する失敗パターンを知ることで、同じ轍を踏まずに済みます。

  • 「見学」で終わってしまう:受動的な見学会になり、探究的な学びにつながらない
  • 準備不足による混乱:事前学習が不十分で、現地で何をすべきか分からない
  • 振り返りの不足:体験だけで終わり、学びが深まらない

これらの失敗を防ぐためには、綿密な計画と準備、そして適切な実行管理が不可欠です。

【STEP1】計画段階:目的設定から実施計画まで(実施3ヶ月前〜)

フィールドワークの成否は、計画段階でほぼ決まります。ここでは、実施3ヶ月前から始めるべき準備について説明します。

1-1. 明確な目的と学習目標の設定

「なぜフィールドワークを行うのか」を明確にすることが最重要です。以下の観点から目的を整理しましょう:

  • 探究テーマとの関連性(どのような問いに答えるためか)
  • 期待する学習成果(知識・スキル・態度)
  • 教科・科目との連携可能性
  • 生徒の発達段階への適合性

1-2. 訪問先の選定と交渉

適切な訪問先の選定は、フィールドワークの質を大きく左右します。

訪問先選定のチェックポイント

  1. 探究テーマとの関連度:生徒の問いに対する答えが得られるか
  2. 教育的配慮:高校生の受け入れ経験や理解があるか
  3. 安全性:施設の安全管理体制は整っているか
  4. アクセス:移動時間と費用は適切か
  5. 受け入れ体制:担当者の協力度、説明の分かりやすさ

1-3. リスク管理と安全対策

生徒の安全確保は最優先事項です。以下の点を必ず確認しましょう:

  • 保険加入状況の確認(学校保険の適用範囲)
  • 緊急連絡体制の構築(保護者・学校・現地)
  • アレルギーや持病を持つ生徒への配慮
  • 天候による中止基準の設定
  • 交通手段の安全性確認

【STEP2】準備段階:事前学習と役割分担(実施1ヶ月前〜)

充実した事前学習が、フィールドワークの成果を大きく左右します。

2-1. 事前学習プログラムの設計

単なる知識の詰め込みではなく、「問い」を深める事前学習を行います。

効果的な事前学習の構成

  1. 基礎知識の習得(2〜3時間)
    • 訪問先の概要理解
    • 関連する社会課題の学習
    • 専門用語の理解
  2. 問いの設定とブラッシュアップ(3〜4時間)
    • 個人の問いの設定
    • グループでの問いの共有と深化
    • 仮説の構築
  3. 調査計画の立案(2〜3時間)
    • インタビュー項目の作成
    • 観察ポイントの整理
    • 記録方法の決定

2-2. 生徒の役割分担と準備

全員が主体的に参加できるよう、明確な役割分担を行います。

基本的な役割分担例

  • リーダー:全体の進行管理、時間管理
  • 記録係:写真撮影、メモ作成
  • 質問係:インタビューの実施
  • 資料係:配布資料の管理、データ収集
  • 連絡係:教員や訪問先との連絡調整

2-3. 必要な持ち物と事前準備チェックリスト

当日の混乱を防ぐため、詳細なチェックリストを作成します。

必須持ち物リスト

  • □ 筆記用具(予備も含む)
  • □ メモ帳・ワークシート
  • □ カメラ・スマートフォン(撮影許可確認済み)
  • □ ICレコーダー(インタビュー用)
  • □ 身分証明書(生徒手帳)
  • □ 緊急連絡先カード
  • □ 交通費・昼食代
  • □ 雨具(天候に応じて)
  • □ 常備薬(必要な生徒のみ)

【STEP3】実行段階:当日の運営と臨機応変な対応

綿密に準備をしても、当日は予想外のことが起こります。柔軟な対応力と、生徒の主体性を引き出すファシリテーションが求められます。

3-1. 出発前の最終確認(当日朝)

  • 健康状態の確認(体調不良者への対応)
  • 持ち物の最終チェック
  • 行程と注意事項の再確認
  • 緊急時の対応方法の周知

3-2. 現地での効果的な学習活動

「見る・聞く・考える・記録する」のサイクルを意識した活動を促します。

現地での活動ポイント

  1. 観察の視点を明確に
    • 事前に設定した観察ポイントを意識
    • 予想外の発見も大切に記録
    • 五感を使った観察を促す
  2. 積極的な質問を促す工夫
    • 最初の質問は教員がモデルを示す
    • 生徒の質問を褒めて勇気づける
    • 追加質問で深掘りを促す
  3. その場での振り返り
    • 移動時間を活用した簡単な共有
    • 印象的な場面の言語化
    • 新たな疑問の発見

3-3. トラブル対応マニュアル

よくあるトラブルと対応方法を事前に整理しておきます。

  • 体調不良者が出た場合:付き添い教員の役割分担、医療機関リスト
  • 交通機関の遅延:代替ルート、訪問先への連絡方法
  • 悪天候の場合:中止判断基準、代替プログラム
  • 生徒間のトラブル:グループ変更、個別対応の方法

【STEP4】事後学習:体験を深い学びに変える(実施後1週間以内)

フィールドワークの真価は、事後学習で決まります。単なる体験で終わらせず、探究の深化につなげる方法を解説します。

4-1. 情報の整理と共有(実施後3日以内)

記憶が新鮮なうちに、収集した情報を整理します。

  1. 個人での振り返り(1時間)
    • 印象的だった場面の記録
    • 収集したデータの整理
    • 新たに生まれた疑問の整理
  2. グループでの情報共有(2時間)
    • 各自の発見を共有
    • 共通点と相違点の分析
    • グループとしての学びの整理

4-2. 分析と考察の深化

収集した情報を分析し、当初の問いに対する答えを探ります。

効果的な分析の手法

  • KJ法:情報をカード化し、グルーピングして整理
  • マインドマップ:情報の関連性を視覚化
  • SWOT分析:訪問先の強み・弱み・機会・脅威を整理
  • 因果関係図:問題の原因と結果の関係を整理

4-3. 成果のまとめと発表準備

学んだことを他者に伝えることで、理解が深まります。

  • レポート作成(個人またはグループ)
  • プレゼンテーション資料の作成
  • ポスター発表の準備
  • お礼状の作成(訪問先への感謝)

Study Valley TimeTactで実現する効率的なフィールドワーク管理

フィールドワークの計画から実施、振り返りまでの全プロセスを管理することは、教員にとって大きな負担です。Study Valley TimeTactは、この複雑な管理業務を効率化し、教員が生徒の学びに集中できる環境を提供します。

TimeTactのフィールドワーク支援機能

  • 計画管理機能:スケジュール、タスク、提出物を一元管理
  • 安全管理機能:緊急連絡先、健康情報、保険情報をセキュアに管理
  • 協働作業支援:生徒間の情報共有、役割分担の可視化
  • 記録・振り返り機能:写真、動画、音声、テキストを統合的に記録
  • 評価支援機能:ルーブリックに基づく評価、成長の可視化
  • 外部連携機能:訪問先との連絡、資料共有をスムーズに

導入校の声

「TimeTactを使い始めてから、フィールドワークの準備時間が半分になりました。生徒の安全管理も徹底でき、保護者からの信頼も高まっています」(公立高校 探究主任)

「生徒たちがリアルタイムで記録を共有できるので、グループ学習が活性化しました。振り返りの質も格段に向上しています」(私立高校 理科教諭)

まとめ:フィールドワークを探究学習の「宝」にするために

フィールドワークは、適切に計画・実施すれば、生徒たちに忘れられない学びの体験を提供し、探究活動を大きく前進させる「宝」となります。本記事で紹介した全手順を参考に、ぜひ充実したフィールドワークを実現してください。

成功のポイントは、「準備8割、実施2割」の意識を持つことです。綿密な準備があれば、当日は生徒たちの主体的な学びを見守り、サポートすることに専念できます。そして、事後学習での丁寧な振り返りが、一過性の体験を深い学びへと昇華させるのです。

Study Valley TimeTactは、フィールドワークの全プロセスをサポートし、先生方の負担を軽減しながら、生徒たちの学びを最大化します。テクノロジーの力を借りて、より質の高い探究学習を実現しましょう。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。