STEAMライブラリー

STEAMのアートって? 対話型鑑賞と光空間のプログラミング|パナソニック株式会社

*この記事は経済産業省「STEAMライブラリー未来の教室」のコンテンツ事業者様に、教材の詳しい内容や使い方のアドバイス、STEAM教育に対する思いなどを取材する連載企画です。

パナソニック株式会社は、多様な家電、空調から食品流通、電気設備まで、日々のくらしの中の様々な空間に対応した商品やサービスを提供する会社です。今回は、その照明に対する専門的な知見を生かした「STEAMのアートって? : 対話型鑑賞と光空間のプログラミング」というコンテンツを提供してくださっています。

このコンテンツの魅力や制作の背景について、パナソニックの渡邉様と高田様に、弊社代表の田中悠樹がお話を伺いました。

高田和豊様 プロフィール

2002年 松下電器産業(株)入社。現在パナソニックホールディングス(株)テクノロジー本部主幹研究員。2016-2019年MIT Media Lab/ Lifelong Kindergarten Group客員研究員。人工知能分野における人の認知機能のモデル化や認知状態の推定、創造性教育に関する研究に従事。博士(工学)。

渡邉健太様 プロフィール

パナソニック(株)エレクトリックワークス社ライティング開発センター所属。入社より一貫して照明技術の研究開発に従事。2018年より光の新しい価値を生み出す新事業を提案開始し、複数の新事業企画、商品企画を担当。

パナソニック株式会社

パナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、家、街、社会で、日々のくらしやビジネスに貢献する製品・ソリューションをご提供しています。また、その活動を知っていただくための体験施設や展示会、スポンサー活動などにも取り組んでいます。多様なくらし空間に対応し、お客様の「くらしの質」を豊かにすることを目指し、事業を展開されています。

コンテンツについて

タイトル STEAMのアートって? : 対話型鑑賞と光空間のプログラミング
学年 小4〜6、中学、高校
キーワード プログラミング、光、アート、IOT、対話
URL https://www.steam-library.go.jp/content/147

コンテンツの目的

本コンテンツでは、「対話型鑑賞」と「光のプログラミング」を組み合わせることで、感性を軸とした創造的な学びのプロセスを学び、誰もが自分の感性に自信を持って創作や探究活動に取り組めるようになることを目指します。また、学びの中だけに留まらず未来の自分たちに繋げることで、更なる探究のモチベーション向上に繋げます。

STEAMライブラリーにコンテンツを提供したきっかけ

(田中)今回コンテンツの提供は初めてということですが、どうしてコンテンツを提供しようと思われたのですか。

(渡邉)光で新しい文化を作りたいという思いを実現させるためです。私たちは、昨今の社会のトレンドから、今までとは違う新しい光の使い方が生まれるのではないかと考えています。そのような社会のウェーブを起こす方法として、教育のプラットフォームであるSTEAMライブラリーは相性が良いと考えました。

なぜ「対話型鑑賞と光空間のプログラミング」?

▲照明とプログラミングでアートを(導入 / 光のティンカリング より)

(田中)光で新しい文化を作ろうとなったときに、なぜこのテーマを選んだのでしょうか?

(渡邉)照明を題材にしたのは、特に身近にある光が照明だと思ったからです。難しすぎる光の話は避け、感覚的に「いいじゃん!」って思ってもらえるようなプレイフルなテーマを選びました。

(高田)プログラミング教育では、子どもたちが主体的に「作りたい!」と思えるものが少ないことが課題だと感じています。そこで、子どもたちが生まれてからずっと生活の中にあるものなら「もっとこうしたい!」という思いが出てくると考え、照明を選びました。照明であれば、子ども達の主体的な思いを元に試行錯誤しながら学習を進めることができ、同時に暮らしを見つめ直すことができます。そのようなSTEAM学習のコンテンツを作成することで、学校教育に貢献できると思いました。

はじめに問うべきキークエスチョン

▲プログラミングには論理とともに「創造性」が大切だという(導入 / 光のティンカリング より)

(田中)このコンテンツの導入で使えるような、子どもの興味を惹く問いがあれば教えてください。

(渡邉)暮らしの中に光はたくさんあるので、それに引っ掛けていただけることが一番だと思っています。「テレビのリモコンで『色温度』を変えられるって知ってる?」とか、ヨーロッパと日本の夜の街の写真を見せて街頭の色が全然違うことに気付かせるとか。スーパーは売り場によって照明の色が違うことも、いいかもしれませんね。

(高田)「照明が白とオレンジで揃えられているのはどうしてだろう」とかも、いいかもしれないですね。テクノロジー的には他の色にもできるのですが、色が揃えられているんです。

色温度・・・色味を表す指標の一つ。K(ケルビン)という数値で表され、ケルビンの数値が高いと青白い光(=昼光色)に近く、明るく活動的な空間に向き、一方、低くなると光はオレンジ(=電球色)がかり、落ち着いた空間によく使われます。
参考:「電球色」「昼白色」「昼光色」とは?LEDライトの種類と正しい選び方(Panasonic)

制作する上でこだわったポイント


▲(3コマ目 対話型鑑賞スライド より)

(田中)制作する上でこだわったポイントなどはありますか?

(高田)自身の感性を言葉にするプロセス(対話型鑑賞)と作るプロセス(光のプログラミング)の二つをしっかり入れることを意識しました。このような創造的な学びのプロセスは、どの学年でも実践できるものであると思います。

(渡邉)「楽しい!」と感じてもらえることを大事にしています。授業構成にもこだわり、自然と興味や問いをもちながら進められるように構成を組みました。ロジックの話もコンテンツに入っているのですが、それは興味のある人が自主的に学ぶ際に使っていただければと思います。

コンテンツの使い方について

必要に応じて一部だけを使っても

(田中)コンテンツの使い方についてお聞かせください。

(高田)基本は1コマ〜5コマですが、内容で区切って一部を使っていただいても良いと思います。言語化と試行錯誤のプロセスに大きく分かれていますので、その2つは分けて使えると思います。また、3コマ目の対話型鑑賞というコマもこれだけで使えるかもしれません。

6コマ目の「アルゴリズムの基礎知識」と7コマ目の「光のプログラミング」は、アルゴリズムとプログラミングについての基礎知識がない方向けのコンテンツになっています。そこも切り抜いて使っていただいても良いと思います。

▲(6コマ目光のプログラミングスライドより)

使う時期は学期始めの方が良い

(田中)このコンテンツを使うおすすめの時期があれば教えてください。

(渡邉)小学校から高校まで幅広く活用できますが、今回のライブラリのコンテンツは高校一年生の始めを想定して作成しました。早い時期に授業を行うことで、その後の学習にいい影響が出たというご報告をいただきました。受験が本格化する前の方が良いというのもありますね。また、プログラミングや社会で使われている技術への興味につながると思うので、それらを学ぶ前もおすすめです。

(高田)私も年度の初めがいいと思います。対話型鑑賞はコミュニケーションが濃密になるので、まだ互いに打ち解けられていないような時期にやると仲良くなれたり、まとまりが生まれたりします。また、対話型鑑賞は正解のない解釈が出てくるので、正解を求めるような学習と組み合わせて授業を行うことは避けたほうがいいかもしれません。

実際に学校で教材を使った時の反応


▲授業の様子(導入 / 光のティンカリング より)

(田中)高専でこの光の授業をされたようですが、生徒や先生の反応はどのようなものでしたか?

(渡邉)主体的に学習することの大切さや、学校の勉強が社会に繋がっていることを実感してもらえたようです。別の教科学習でも、導入で実際に市役所に行って課題を聞き出すなど、課題設定を行いながら授業を進めるようになったと聞きました。

(田中)高専以外にも教材などを使って授業をされたことはありますか?

(渡邉)はい、小学校から高校まであります。やはり学年が上がるほど対話学習や創作のクオリティが上がるように感じています。しかし、創作活動のスピードや発想のユニークさは小学生の方が得意だったりしますね。総じて、このコンテンツは小学生から高校生までどの学年でも学びになるはずと思っています。

▲5コマ目 制作/発表/まとめスライド より)

(高田)言語化と抽象化が学びの中心なので、もっている単語の数が多い高校生の方が説明のレベルは高いです。しかし、小学生でも一生懸命言語化したり抽象化したりしようとする姿が見られたのは、面白かったですね。

お二人が実際に探究されていること

(田中)お二人がご自身で探究されていることはありますか?

(渡邉)生活全部が探究かなと思います。お酒の味わい方を体調や感覚器官などと絡めて探究したり、光の使い方について探究したりしています。お店に行くと、必ず照明を見ちゃいますね(笑)光の楽しさや自由さをどうやったら伝えていけるかについては、これからも探究し続けると思います。

(高田)私はバイオロジー(生物学)について探究しています。バックグラウンドはAI機械学習なのですが、この分野はこの先どうなるかが大体見通せているのに対して、バイオロジーは人類を変えてしまうくらいの力を秘めているのが面白いなと思っています。そして、どうすれば子どもたちにもバイオロジーやケミカルに興味を持ってもらえるかを考え、活動しているところです。

先生へメッセージ

(田中)最後にこのコンテンツを使用される先生方へコメントをお願いします。

(渡邉)楽しんでいただきたい、これに尽きます。そして、光の面白さや光と社会との繋がりに気付くきっかけになれば嬉しいです。

(高田)学年だけでなく、学校によっても使い方が変わると思うので、使い方はぜひご相談ください。情報の時間、探究の時間、夏休みの学習など様々な場面でご活用いただけると思います。少しでも使ってみたいと感じられたら、ご連絡いただきたいです。

まとめ

高田様、渡邉様、本日はありがとうございました。
身の回りに溢れる光について学ぶことは、生徒が学ぶ楽しさや日常に溢れる技術について見つめ直すきっかけになるのではないでしょうか。ぜひこのコンテンツを活用してみてください!

>紹介したコンテンツ
STEAMのアートって? : 対話型鑑賞と光空間のプログラミング