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キャリア教育の実践例・校種別おすすめ7選!必要性、実施方法まで解説!

キャリア教育に力を入れたいけど、何から手を付けていいかわからない
効果を上げているキャリア教育の実践例を知りたい

この記事では、そんな先生方へキャリア教育の実践事例を解説します。

キャリア教育とは、将来のキャリアを形成していくために必要な能力や態度の育成を目標とする教育的働きかけのことです。変化が激しく、働き方や雇用環境が多様化する社会を生きていくために、今必要性が高まっています。

キャリア教育の必要性、キャリア教育8つの実施方法、校種・学科別に分類した7つの事例について紹介していますので、ぜひご覧ください。

目次
・キャリア教育とは「職業観の育成」である
・キャリア教育はいつ行う?
・キャリア教育は「土台」、職業教育は「専門性」を育てる
・キャリア教育が求められる3つの理由
・キャリア教育の実施方法6つ
・キャリア教育をより効果的にするために学習方法やゴールを選択する
・キャリア教育7つの実践例
・まとめ

キャリア教育とは「職業観の育成」である

キャリア教育とは、一言でいうと「職業観の育成」を意味します。すなわち、キャリア教育は,子ども・若者がキャリアを形成していくために必要な能力や態度の育成を目標とする教育的働きかけです。

このキャリア教育は小学校から始まり、中学校、高校と成長していく過程で、発達の段階に合わせて実施されていきます。具体的な教育内容は社会見学、ボランティア活動、職場体験、インターンシップなどです。

キャリア教育はいつ行う?

「キャリア探究」「進路探究」などという言葉もあるように、総合的な学習の時間や、総合的な探究の時間を活用して、キャリア教育を行う例が見られます。

参考記事
>【解説あり】キャリア・進路の探究学習事例5つを紹介

高卒進学率が高い普通科高校、工業系、水産系、農業系などの専門高校では伝統的に進路指導が熱心に行われてきました。近年では、前述のキャリア環境の変化もあり、高卒就職、大卒就職に限らず、早い段階からキャリア教育を行う重要性が高まっています。

キャリア教育は「土台」、職業教育は「専門性」を育てる

キャリア教育は、しばしば、職業教育と混同されます。

職業教育は「一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育」です。

キャリア教育は、専門知識よりも、キャリア選択や社会に出るにあたって必要となる知識や態度の育成を目的としています。

キャリア教育は、職業教育に比べると、専門知識よりも、ベーシックで、働くための「土台」となる社会的・職業的自立のために必要な知識や態度の育成が重要視されているのです。

キャリア教育が求められる3つの理由

経済産業省で紹介されている必要な理由は以下の3つです。

• 子どもたちが将来を考えるきっかけにするため
• 子どもたちがなぜ学ぶのかを学ぶため
• 子どもたちが自立できる力を身につけるため

引用:キャリア教育支援ガイドブック 経済産業省

そしてこれらが必要となった理由には産業・経済の構造的変化,雇用の多様化・流動化といったキャリアを取り巻く社会環境の変化が大きく影響しています。

キャリアを取り巻く社会環境の変化に伴い、現代は、自分の将来を考えるのに役立つ、理想の大人のロールモデルが見付けにくくなっており、たとえ見つかったとしても、10年後には時代遅れになっている可能性もあります。子どもたちにとって、自らの将来に向けて希望あふれる夢を描くことが容易ではなくなっているのです。

そのような時代を生きる子どもたちに、将来を考えるきっかけや、学ぶ重要性を伝え、希望をもって、自立的に自分の未来を切り拓いていくために、変化に対応していく力と態度を育てることがキャリア教育の目的なのです。

キャリア教育の具体的な実施方法

キャリア教育にはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、キャリア教育のパターン6つと、効果的に実施するための実施方法について紹介します。

キャリア教育の実施方法6つ

以下に、代表的なキャリア教育の実施方法6つをまとめました。

体験学習 地域の伝統や農業ボランティアなどを行い、体験を通じてキャリア能力の育成とキャリアのイメージの育成を図る
職業体験 体験学習よりも、実践的な就労体験を通じてキャリア能力を育成する。企業体験とも。
取材・フィールドワーク 地域の方や企業の方へ取材を通じてキャリアのイメージ育成を図る
調べ学習 テーマを決めてインターネットや書籍で調査を行う。手軽に様々なキャリアについて知ることができる
自己分析 価値観マップやライフプラン作成など。知識のインプットではなく、自己分析によってキャリアを考える
外部講師を招いた講演 企業の方、OBOGなどを招き、講演をしていただく。活躍している人の声を直接聞ける

一般的な「講義」以外にもキャリア教育の方法はあります。子どもたちのキャリアの選択肢が無数にあるように、キャリア教育の方法にも正解はありません。

可能であれば、教科書や先生の知識や経験だけに頼るのではなく、学校外での体験や、外部講師による講演など、積極的に校外のステークホルダーを活用することで、より幅広く、キャリアについて考えるきっかけを作ることができます。

また、「モチベーション曲線」や「マンダラート」といった自己分析ツールを使って、自分の価値観や現在地を把握し、これからのキャリアを考える土台を作ることも重要です。

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キャリア教育をより効果的にするために学習方法やゴールを選択する

単に講義をして終わり、ではなく、目的に応じた学習方法やゴールを選択することで、キャリア教育をより効果的に行うことができます。

例えば、グループワークやグループディスカッションを取り入れたり、学習のゴールとして、学んだことをポスターにまとめたり、スライドを作成して発表する、などです。

学んだことが定着することはもちろん、「グループで協働する」、「わかりやすくまとめて発表する」ということ自体が、社会で働くうえで重要な事柄であり、広い意味でのキャリア教育の実践ともいえるでしょう。

参考記事
探究学習の整理・分析方法14パターンを解説
「KJ法」のやり方とは?取り入れるメリットや学習効果を高めるコツ、探究への活用も紹介
「ロジックツリー」は作り方が大事!学校で活用できる3つの種類、探究学習への活用を詳しく紹介
探究学習のまとめ・表現の12パターンを解説

キャリア教育7つの実践例

次に、学年別に7つの実践事例とそのポイントについて解説します。分類に関しては上記に記したキャリア教育の方法を参照しています。

小学生・中学生・高校生・工業科・特別支援の事例をまとめました。

キャリア教育の実践例7つ
小学校|地域を教材に1~6年生まで一貫したキャリア教育
中学生|志を育てる教育・あこがれから夢へ、そして志へ
中学生|「夢現ノート」でキャリア能力育成
高校生|進学の目的意識を高める「Will Project」
高校生|ファームステイを通じて働くことを探究
工業科|就業しながら学ぶ「デュアルシステム」
特別支援|福祉就労を目指しソーシャルスキルを学ぶ

小学校|地域を教材に1~6年生まで一貫したキャリア教育(高千穂町立高千穂小学校)

タイトル 児童の実態や地域の教育資源の分析を踏まえたキャリア教育の構想 – 全体計画・年間指導計画の作成を通して –
分類 体験学習、取材、調べ学習、発表
期間 1年間で70時間
実施校 高千穂町立高千穂小学校
対象学年 小学1年生から6年生まで

概要

地域社会を題材に、体験活動を通じて地域の「よさ」と同時に「課題」にも目を向けて学習します。学年に応じて、社会形成能力の育成や自己管理能力、課題対応能力といったキャリア能力の育成を図ります。

例えば第5学年では、自分たちの郷土「高千穂の自慢」について、取材活動やPR活動への参画、郷土料理づくり等の体験活動を通して、地域の魅力や課題について探究します。地元の素晴らしい文化や抱えている問題について知ることで、他者や地域と関わることの意義について考えるきっかけになります。

ポイント

・地域と関わる活動を教材にすることによって、地域の一員としての自覚と社会貢献活動への興味を刺激できること

・1年間の活動と小学校6年間の活動に一貫性と発展性があること

詳細:IV 実践事例(小学校の取組)
6年全体の流れや全体計画、年間指導計画などが掲載されています。

中学生|志を育てる教育・あこがれから夢へ、そして志へ(萩市立萩東中学校)

タイトル 志を育てる教育 ~あこがれから夢へ、そして志へ~
分類 外部講師を招いた講演会、職業体験、体験学習、発表
期間 不明
実施校 萩市立萩東中学校
対象学年 中学2年生

概要

保護者や地域の方々を学校に招き、面接練習や体験活動の報告会を実施することで、キャリアに関する理解を深めます。

はじめに県内の官公庁・学校・企業を対象とした接遇マナー等の研修講師を招き、マナーについて学習します。

次に、地域の方をお呼びし、面接練習の形式で、体験先へ動機や体験してみたいことを語ります。その後、76事業所において職場体験を行い、最終的に生徒や保護者、地域の方々に対して発表会を行います。

この四段階の活動を経て、社会人としての礼儀やマナーを学ぶとともに、職業に対する考えや、自分の生き方について考える機会を提供します。

ポイント

・面接練習や職業体験ができるためキャリアのイメージをより明確にできる
・教科との関わりが大きくないことで、勉強の不得意な子でも取り組みやすい

詳細:志を育てる教育 ~あこがれから夢へ、そして志へ~

中学生|「夢現ノート」でキャリア能力育成(読谷村立読谷中学校)

タイトル 夢現ノート
分類 自己分析
期間 不明:1週間のサイクルを複数回
実施校 読谷(よむたん)村立読谷中学校
対象学年 不明

概要

夢の実現のために、自分の予定を決め実行・行動したり振り返って修正したりする「自己調整力」「自己管理能力」を育てるためのノートのことです。

学校では振り返りと自己評価を、翌日、登校後に行います。「夢現ノート」は、登校後すぐに記録し、学習係が回収して担任に提出。帰りの会前に学習委員が全生徒に配布しています。

毎日の振り返りと、一週間の振り返りを蓄積し学期末の「キャリア・パスポート」での振り返りへとつなぐことで、「自立して学習することのできる生徒」の育成をめざしています。

ポイント

・生徒の自学自習を促すことでキャリア能力育成につながる
・目標を立て、振り返りまでセットで行うことで意識改革につながる
・授業の時間を大きく取らず、大きな準備が必要ない

詳細:「キャリア・パスポート」につなげる「夢現ノート」の取組事例

高校生|進学の目的意識を高める「Will Project」(秋田県立能代高等学校)

タイトル Will Project
分類 外部講師を招いた講演会、調べ学習、自己分析
期間 3年間。1年ごとに区切る。
実施校 秋田県立能代高等学校
対象学年 1年生から3年生

概要

社会人講話、ライフプランニング、全員インターンシップが大きな特徴です。

社会人講話は多種業種の社会人や保護者の方を呼び、1年で5回ほど行っています。実際の生の声を聞くことで、職業観や人生観について考えるきっかけにできます。

ライフプランニングは、1年の集大成として1年次と2年次において作成します。
将来の夢や志、志望理由書を作成し、クラス内で発表します。

ポイント

・ワークシートなどを通じて、自分自身を見つめ直す機会を提供できる
・進学の目的意識の向上を図ることができる
・外部講師を複数回招くことにより、多種業種を知ることができる
・3年間取り組むことで、生徒の内面にも大きな影響を与えられる

詳細:能代高校のキャリア教育を振り返る

高校生|ファームステイを通じて働くことを探究(広島県立安芸南高等学校)

タイトル NANIKAを解明しよう -ファームステイを通じて-
分類 体験学習、発表、調べ学習
期間 1年間
実施校 広島県立安芸南高等学校
対象学年 2年生

概要

ファームステイを含む北海道での研修旅行を中核に据え、「働く」ことを通じ、教科横断的に探究学習を行う。以下のように、事前準備(課題の設定)→ファームステイ→新聞のまとめ・発表の流れで実施する。

調べた内容に関する発表や相互評価を繰り返すことで、より正確な資料検索や効果的な発表方法を自ら工夫できるようになる。その結果、自己表現活動への意欲の高まりが期待できる。

なお、「NANIKA」とは、学校の略称「AKINAN」を逆さにしたことば。

ポイント

・研修旅行という学校行事を活用している
・ファームステイでは、「働く」とはどのようなことかを生徒が体験的に学べるため、勤労観の育成が期待できる
・県外で働く体験をすることは、他地域の特色を学んで地元と比較し、地元の産業や働き方を見つめ直すきっかけにもなる

詳細:第5章 学校における実践事例

キャリア探究の他の事例はこちらから
>【解説あり】キャリア・進路の探究学習事例5つを紹介

工業科|就業しながら学ぶ「デュアルシステム」(茨城県立日立工業高等学校)

タイトル デュアルシステム
分類 職業体験、発表
期間 約1年間
実施校 茨城県立日立工業高等学校
対象学年 2年次

概要

デュアルシステム(企業実習)は,学校の勉強と企業への就業を併行(dual)して体験できるシステムです。週一回(木曜日)は学校ではなく企業に通い,社員の方とともに実際に就業します。

毎年3月には成果発表会を行なっています。全校生徒,教員,保護者,企業担当者,総勢500名以上の前で自分のやってきたことを発表します。

ポイント

・実際の企業で,より実践的な技術・技能を身につけることが出来る
・学校だけでは体験できない,社会人としての意識が身に付く
・自分の適性を自覚し,進路決定に役立てることができる

詳細:デュアルシステム

特別支援|福祉就労を目指しソーシャルスキルを学ぶ(千葉県立東金特別支援学校)

タイトル 職場での人との接し方を考えよう~「悪口」と「注意」の受け止め方,対応の仕方について~
分類 グループワーク
期間 全12時間(1単位時間40分)
実施校 千葉県立東金特別支援学校
対象学年 高等部3年生

概要

進路先として、一般就労、ワークホームへの福祉就労を経て,将来的に企業で働くことをめざし、職場の人間関係の重要性や対応の仕方を学習します。

学習の進め方としては、自分たちで考え、意見を出し合いまとめる形式、及びソーシャルスキルトレーニングとしてロールプレイに対するシェイビング(好ましい行動に似通った行動が見られた時に強化をする)の形式をとっています。

年間計画の中にはインターンシップや産業現場等における実習なども含まれています。

ポイント

・就労先で必要となる基礎的な能力のトレーニングを行う
・実際の進路先となる施設での実習を行い、進路への理解が深まる

詳細:高等部3年 特別活動 職場での人との接し方を考えよう

キャリア教育に使えるワークシート・資料

●指導に活用できるワークシート&知識(厚生労働省)
厚生労働省の奨励するキャリア教育に使えるワークシートが記載されています。

・自分史シート
・インタビューシート
・仕事研究シート など

探究学習のための、興味関心を見つけるワークシート(株式会社Study Valley)
探究学習支援会社が作った、興味関心を見つけ出すためのワークシートです。進路・キャリア探究だけでなく、一般的なキャリア教育における、自己分析や、これまでの振り返りに使用できます。

・モチベーション曲線
・マンダラート など

また、以下の記事では、探究の時間を利用した進路・キャリア探究事例(高校)も紹介しています。

>【解説あり】キャリア・進路の探究学習事例5つを紹介

まとめ

キャリア教育は期間も種類も多岐に渡ります。座学やワークシートを中心に実施することもできますが、学校外の人々、企業などと連携して、幅広い職業を知り、キャリア観を養うことが、より望ましいと言えます。

体験学習、職業体験、講演など、いろいろな選択肢から、学校や子どもにあった選択肢を選んでください。

ABOUT ME
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。