STEAMライブラリー

ひとが育つ環境をととのえる”地球の進化”、”表現”、”対話型鑑賞”をテーマに|NPO法人SOMA

*この記事は経済産業省「STEAMライブラリー未来の教室」のコンテンツ事業者様に、教材の詳しい内容や使い方のアドバイス、STEAM教育に対する思いなどを取材する連載企画です。

NPO法人SOMA(ソマ)(以下、SOMA)は、「ひとが育つ環境をととのえる」をミッションに掲げ、学びの環境づくりに取り組んでいます。その教育と場づくりのノウハウを活かして、子どもの成長のきっかけを提供するための3つのコンテンツを提供してくださっています。

このコンテンツの魅力や制作の背景について、瀬戸様に、弊社代表の田中悠樹がお話を伺いました。

瀬戸昌宣様 プロフィール

1980年東京生まれ。農学博士(農業昆虫学)。米国コーネル大学にて博士号を取得後、同大学で博士研究員として研究と教育に従事。通算13年の米国生活を経て、2017年に「ひとが育つ環境をととのえる」をミッションとしたNPO法人SOMAを設立。学校教育、公教育、私教育で横断的に教育事業を展開。現在は福岡県を拠点に「生きる、あそぶ、まなぶを自由に」をモットーとした学びの場i.Dare(イデア)などを展開。

NPO法人SOMA

NPO法人SOMAは、「ひとが育つ環境をととのえる」をミッションに、個人の癖や才能を見極め、それらを最大に活かせるようになるための教育と場の提供を行っています。活動としては、学校教育の支援、生涯学習の企画・実施、公共図書館の環境改善・運営、独自の教育プログラム、社会教育・学校外教育の環境とプログラムを行っており、子どもの人格的な成長を手助けする活動に取り組まれています。

コンテンツについて

《地球の進化》《表現》 《対話型鑑賞》に関する3つのコンテンツを提供されています。

1. 足元から自分の存在を考えるジオエクスプローラー
2. Show yourself!〜わたしを表現すると言うこと〜
3. 自分の枠組みを広げていく 〜新しい私との出会い方〜

足元から自分の存在を考えるジオエクスプローラー

タイトル 足元から自分の存在を考えるジオエクスプローラー
学年 小1〜3、小4〜6、中学
キーワード 地球、科学、理科、地震、地学、惑星、岩石、地質、火山
URL https://www.steam-library.go.jp/content/125

このコンテンツの目的

ジオエクスプローラーでは、地球史から自分たち人間のあり方を考えることを目的としています。身近な石ころや風景、地形をきっかけに、地球の進化とそのダイナミズムの扉を開き、地学への興味を誘います。石を探しにいくフィールドワークもあり、医師の多様性や地域性にも触れる内容になっています。

Show yourself!〜わたしを表現すると言うこと〜

タイトル Show yourself!〜わたしを表現すると言うこと〜
学年 小4〜6、中学、高校
キーワード アート、芸術、ダンス、表現、文字、認識、パフォーミングアート
URL https://www.steam-library.go.jp/content/124

このコンテンツの目的

時代とともに「表現」のあり方や手段は変化していきます。「表現とは何か」「わたしはどのように表現され、他者にどのように理解・解釈されているのか」「わたしはどのように自らの人生を表現していきたいか」などを問いの中心におき、表現について包括的かつ探究的に学んでいきます。「表現とは何か」を考え、「わたしの表現」を獲得するきっかけになるコンテンツです。

自分の枠組みを広げていく 〜新しい私との出会い方〜

タイトル 自分の枠組みを広げていく 〜新しい私との出会い方〜
学年 小4〜6、中学、高校
キーワード 情報、アート、芸術、対話、チームワーク、表現、認識、美術
URL https://www.steam-library.go.jp/content/126

このコンテンツの目的

VUCAの時代と言われる今、自分自身及びその環境への理解、そしてその双方で作られる情報を適切に理解することが重要です。本コンテンツでは、自己理解のワークを行い、自分自身のことを認識できるようにします。また、情報をどう取り扱うかを、論理的及び感性的の双方で学び、情報の取り出し方を鍛えます。さらに、自己理解を基準に情報を取り出し、様々な種類の表現を状況に応じて行い、理解し話し合うことで、自身の置かれている状況の理解を深めることができます。

コンテンツを提供しようと思ったきっかけ

(田中)今回はじめてのコンテンツ提供とのことですが、STEAMライブラリーのコンテンツを提供しようと思ったきっかけを教えてください。

(瀬戸)「アート」の要素が日本教育には不十分だという問題意識があり、そこにアプローチしたかったのがきっかけです。STEAM教育は、昔はSTEM教育だったんです。欧米はアート教育が成熟しているので、ロジカルな分野とアーティスティックな分野を混じり合わせることになり、Artsが加わってSTEAMになりました。でも、芸術教育が根付いていない日本では、STEAMのArtsの部分がほとんど取り上げられていません。そこで、アート教育に対する意思表示をしたいと思い、今回コンテンツを提供することにしました。

STEAMライブラリーは既存の学習スタイルとは異なるため、子供たちを既存の価値観の外側に連れていけることができる重要な役割があると考えています。

このテーマを選んだ理由

 

▲NPO法人SOMA 公式サイト

(田中)次に、3つのテーマ「地球の進化」「表現」「対話型鑑賞」を選んだ理由について教えてください。

(瀬戸)SOMAの「ひとが育つ環境をととのえる」というミッションに則り、コンテンツを見る人に「考える機会」を与えられるようなテーマを選びました。

考える素材に1番適しているのは自分自身なので「私」をスタートにしたコンテンツ、そして、私たちがどうやってこの地球で生きていくかを考えることが大事だと思い、「地球の進化」というテーマに選びました。次に、「私」の存在を誰かに気付いてもらうためには、表現することが必要になります。そこで、表現を通して自己理解を深められるような「表現」のコンテンツを作成しました。最後に、人は他者に依存して生きているため、「私とあなた」について考える「対話型鑑賞」にアートの要素を組み込んだテーマを設定しました。

一見するとばらついて見える3つのテーマですが、自分自身の内面や環境について考えていただく機会を提供するという点で、共通しています。

コンテンツ制作において意識した点

▲Show yourself!〜わたしを表現すると言うこと〜 1コマ目 表現を知る 動画1 より

(田中)コンテンツ制作において意識したことについて教えてください。

(瀬戸)「学びをポップにする」ことを意識しました。「学びをポップにする」というのは、学びやエンタメ業界へのリスペクトを保ちながら学びを大衆化(ポピュラーに)することです。ポピュラーなもの=雑に作られている、と勘違いされることがありますが、ポピュラーなものとは、超緻密に設計されているからこそ多くの人に受け入れられるのです。映像の制作には、プロの方の協力を仰ぎ、学びとエンタメ業界の価値を損なわないようにこだわっています。

(田中)価値やクオリティにこだわり、一流の人が制作に関わるべきという信念のもと映像を制作されているのですね。

(瀬戸)はい。エンタメ業界が教育の分野に参入するきっかけに、少しでもなったら嬉しいです。

生徒の興味を引き出すには

▲身近にある石を動画で紹介。ここ、東京駅にもたくさんの石が使われている。1コマ目 石ってどこにある?身近にある石を探そう より

(田中)授業に使う際に、導入で生徒の興味を惹きつける方法があればお聞きしたいです。

(瀬戸)「地球の進化」でいうと、まずは石ころを持って教壇に立つことですね。石の種類の話から始まるコンテンツなので、先生にも実際に石と向き合っていただきたいです。その後は、生徒と一緒に動画を通じてストーリーを旅してもらえれば大丈夫です。

(田中)「表現」と「対話型鑑賞」のコンテンツではいかがでしょうか。

(瀬戸)「表現」では、教壇に乗らずに授業をスタートしてみるのが面白いと思います。コマ1の動画が、「授業ができない!」と先生が匙を投げるシーンから始まるので、動画とリンクして良いと思います。ワークシートも、正解がない形式になっています。今まで自分が考えたことがない「表現の本質」について、たくさん頭を使っていただきたいです。「対話型鑑賞」に関しては、感情をお絵描きで表現することから入るのが面白いと思います。コマ1の動画がそのような内容になっているので、そのまま使っていただけます。生徒も先生も役割にとらわれずに、自分自身との対話を楽しんでいただきたいです。

どの時期に使ってほしいか

(田中)このコンテンツを使うのにおすすめの教科や、時期について教えてください。

(瀬戸)まず、「地球の進化」に関しては理科、社会、総合的な学習の時間がいいと思います。時期はいつでも大丈夫ですが、一学期中がおすすめです。都市部でどうやって化石ハンティングをするかという内容が入っているので、夏休み前に使えば自由研究の導入にもなります。

(田中)「表現」と「対話型鑑賞」のコンテンツに関してはいかがでしょうか。

(瀬戸)「表現」、「対話型鑑賞」の順番で、年度始めに使っていただきたいです。ただ、「自分の思ったことを表現していい」というメッセージが含まれているため、従来の管理型教育にはあまり向きません。対話や一人一人の意見を大事にするようなインクルーシブな教育を目指す先生には、年度始めが特におすすめです。自分が表現したいことを自分に適した方法で表現できるような学級づくりの、大きなステップとなるはずです。さらに、他の授業での活発なディスカッションにも繋がっていくと思います。

科目でいうと、総合的な学習の時間がおすすめです。内容云々ではなく、自分で考えて表現できたこと自体を評価してもらえる科目だと思うので、より意味のあるコンテンツになるはずです。

全体を通して使うのがおすすめ

(田中)それぞれのコンテンツのコマは、部分的に抜き出して使用することも可能でしょうか?

(瀬戸)基本的には、全体を通して使うのがおすすめです。どうしても一部だけ取り出して使う場合は、流れを理解した上で切り出していただきたいです。

瀬戸様が探究されていること

(田中)最後に、個人的に探究されていることについて教えてください。

(瀬戸)長期的な探究活動でいうと、自分の子どもとの関わりですね。子育てって過去のケーススタディが全く役に立たなくて、子供が四人いるのに失敗しかしていないです。でも失敗しているからこそ、観察の精度が上がっていて、ありのままの子供たちの姿に近付いていると実感しています。

短期的なものだと、樹皮について探究しています。植物に興味をもったのですが、葉や花は枯れてしまうので、四季を通じて変わらずそこにあるものとして樹皮に目をつけました。色々な土地の道を歩きながら、樹皮を観察して樹皮との会話を楽しんでいます。

アメリカの友人と話していたら、たまたま、同じく樹皮にはまっていると言っていて驚きました(笑)

(田中)今まで聞いた中で一番癖が強いです(笑)でも、本当に好きなことを自分で極めて発信したからこそ、樹皮仲間が見つかったわけですよね。中途半端に好きだと会話にならないですから。

(瀬戸)おっしゃる通りです。自分が見たい世界を同じように夢見ている仲間が、世界にはたくさんいるはずです。その人に出会うきっかけも「表現」なんですよね。色々な嗜好がある中で「好きなものを好き」と言える世界は、すごく素敵だと思うし、そういう世の中になるために寄与したいと考えています。

まとめ

瀬戸様、本日は貴重なお時間をありがとうございました。

子ども大人問わず、自分や身の回りについて考える機会を提供できるコンテンツとなっています。探究学習にも活きる力になると思うので、ぜひ活用してみてください。

ABOUT ME
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。