探究学習

プレゼンテーションどう指導する?うまくいかない理由と指導、評価、フレームワークまで徹底解説!

プレゼンテーションってどうやって指導すれば良いの?
プレゼンテーションの評価の仕方がわからない…。

総合的な探究の時間では、プレゼンテーションを実施する場面が多いのではないでしょうか。特に、課題解決型やプロジェクト型の学習の場合、外部に向けてアイデアをプレゼンすることもあります。

しかし、探究学習では調査や思考法についての指導が中心になり、プレゼンの指導は後回しになりがちです。さらに、プレゼンの指導方法は、学習指導要領でもあまり詳しく示されていません。

そこで、この記事では、プレゼンテーションの指導や評価のポイントについて解説します。プレゼンテーションの指導に悩みがある方は、ぜひご覧ください。

目次
・プレゼンテーションを通して育む力とは?
・なぜプレゼンテーションがうまくいかない理由と解決法
・プレゼンテーションのフレームワーク3選
・指導の流れとポイント
・評価のポイント
・プレゼンテーションを取り入れた授業事例

プレゼンテーションを通して育む力とは?

効果的に指導するために、まずはプレゼンテーションを通して育む力を確認することが大切です。プレゼンテーションに取り組むことで、子どもたちには以下の力が身に付きます。

・情報を読み取り、整理する力
・論理的思考力
・相手の立場で考える力

情報を読み取り、整理する力

プレゼンテーションでは、既存の情報からどんなことを主張できるか、その主張を裏付けるにはどのようなデータが適切かを考えます。この作業を通し、情報を活用する力を伸ばすことができます。

論理的思考力

プレゼンテーションでは、主張の根拠を示したり、相手に伝わりやすい話の構成を考えたりする必要があります。このため、論理的思考力を磨くことができます。

プレゼンテーションを聞く側も、発表内容に矛盾はないか等を意識して聞くことで、論理的に物事を捉える力が身に付きます。

相手の立場で考える力

「聞き手が何を知りたいか」「聞き手に伝わる表現か」を考えることで、相手の立場で考える力も伸ばすことができます。この力は、事業を立ち上げたり商品を開発したりする際など、将来働く上でも役立ちます。

プレゼンテーションがうまくいかない理由と解決法

プレゼンテーションに苦手意識がある子どもたちも多いのではないでしょうか。社会人ですら、84%が人前で話すことに苦手意識を持っています(参考)。

それでは、なぜプレゼンテーションがうまくいかないのでしょうか。プレゼンテーションがうまくいかない理由として、以下のことが考えられます。

• 自信がない
• どのような構成で話せば良いかわからない

自信がない

自分のプレゼンに自信がないと、うまく話すことができません。「自信がない状態で発表する」→「発表がうまくいかない」→「さらに自信をなくす」という悪循環に陥りやすいため、自信をつけて発表に臨むことが大切です。

そこで、本番の前にしっかりと練習する時間を取ることがおすすめです。まずは少人数単位で発表し、相互にフィードバックを行います。それから、クラス全体や本番に近い環境でリハーサルをしましょう。このように練習を進めることで、プラッシュアップされた状態で発表に臨めるため、より自信を持ってプレゼンできるようになります。

こちらの記事では、ある高校の年間探究計画(全20時間)を全コマ紹介しています。
探究学習の年間スケジュールと授業の内容を詳細解説
この高校では、年間2回ある発表会の直前に、必ず1コマ、練習の時間を設けています。

どのような構成で話せば良いかわからない

プレゼンの構成がわからないことも、うまくいかない原因の一つです。

伝えたいことがあっても、構成が論理的でないと聞き手には伝わりません。プレゼンに慣れていないと、必要な情報が抜けていたり、余計な情報まで入れてしまったりすることがあります。

そこで、プレゼンテーションのフレームワークを子どもたちに示すことが効果的です。具体的なフレームワークについては、次のセクションでご紹介します。

プレゼンテーションのフレームワーク3選

ここでは、プレゼンテーションの構成に役立つ3つのフレームワークをご紹介します。子どもたちが1から構成を考えると、プレゼンの作成に時間がかかりすぎる、必要な内容が抜けるといった問題があります。特にプレゼンに慣れていない段階では、ぜひ以下のフレームワークを参考にしてみてください。

・SDS(エスディーエス)法
・PREP(プレップ)法
・TAPS(タプス)法

SDS(エスディーエス)法

SDS法では、「Summary(概要)」「Detail(詳細)」「Summary(結論)」の流れでプレゼンを行います。様々な場面で活用できる基本的なフレームワークで、短時間で要点を伝えられるのが特徴です。

以下は、SDS法を用いた説明の例です。

Summary(概要)
今日は、トマトの魅力についてお話しします。トマトの魅力は、「栄養満点であること」「調理方法が多様であること」の2つです。

Detail(詳細)
まず、「栄養満点であること」についてです。トマトはリコピンやビタミンCが豊富であり、…。さらに、スープやパスタソースなど、「調理方法が多様であること」も魅力です。

Summary(結論)
このように、「栄養満点であること」と「調理方法が多様であること」がトマトの魅力です。

PREP(プレップ)法

引用:https://nexer.co.jp/weiv/sds/

PREPとは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(例)」「Point(結論)」を表しています。SDS法の「D(詳細)」を「R(理由)」と「E(例)」に分けており、より詳しく伝えられる方法です。

以下は、PREP法を用いた説明の例です。

Point(結論)
トマトは、最も健康に良い野菜の一つです。

Reason(理由)
まず、リコピンが豊富に含まれているため、生活習慣病の予防につながります。さらに、ビタミンCも豊富であるため、美肌にも効果があります。

Example(例)
私の父は食生活が荒れていましたが、トマトを積極的に食べるようになってからは、生活習慣病になることなく、肌の調子も良くなりました。

Point(結論)
このように、トマトは私たちの健康に欠かせない野菜です。

TAPS(タプス)法

引用:https://media.mar-cari.jp/article/detail/1502

TAPSは「To Be(理想)」「As Is(現状)」「Problem(問題)」「Solution(解決策)」のことです。理想と現状の差を示し、その差の原因である問題の解決策を提示します。聞き手がプレゼンを自分ごととして捉えやすくなる方法であり、何かを提案する際におすすめのフレームワークです。

以下は、TAPS法を用いた説明の例です。

To Be(理想)
韓国アイドルのようなツヤツヤの肌に、誰もが憧れているのではないでしょうか。

As Is(現状)
しかし、どんなにスキンケアをしても肌が荒れてしまう方もいると思います。

Problem(問題)
忙しい生活では外食や中食が増え、野菜が不足しがちです。すると、ビタミンCも不足し、肌が荒れてしまうのです。

Solution(解決策)
そこでおすすめしたいのが、トマトを食べることです。トマトはビタミンCが豊富であるため、美肌効果があります。さらに、様々なレシピがあるため、意識しなくても摂取しやすいです。

指導の流れとポイント

続いて、プレゼンテーションを指導する流れ・各段階でのポイントについてまとめます。プレゼン指導の流れは以下の通りです。

• 題材の調査・テーマ設定
• 目指すべきプレゼンについて解説
• テーマに関する情報収集・資料の作成
• 発表・振り返り

題材の調査・テーマ設定

いきなりテーマ決めを促しても、子どもたちは何から始めれば良いかわからない可能性があります。このため、まずはプレゼンの題材に関する情報を調査するよう指導しましょう。

その中で、「重要なのにあまり知られていない情報がある!」「こんな課題がありそうだから、解決策を提案したい!」と、テーマの設定につながる手がかりを掴むことができます。

目指すべきプレゼンについて解説

プレゼンの構成に取り掛かる前に、目指すべきプレゼンのあり方を説明しましょう。目標が明確になることで、プレゼン準備の質を高められます。

例えば、評価基準を予め子どもたちに共有することで、どのような点に注意してプレゼンを準備すれば良いかが明確になります。

テーマに関する情報収集・資料の作成

テーマが決まったら、テーマについての情報収集に取り掛かります。その際、適切な情報源であるか、内容に誤りがないか等、情報が信頼できるかを確認するよう促しましょう。

資料の作成では、Googleスライドを用いると子どもたちの進捗をリアルタイムで確認することができます。文字の量や大きさは適切かどうかに注目し、作成された資料をチェックしてみてください。

発表・振り返り

発表本番では、相互評価を取り入れるのがおすすめです。この後詳述しますが、プレゼンの評価では「聞き手に伝わりやすいか」が重要なポイントとなります。このため、プレゼンが聞き手に伝わったかを確認する意味で、生徒同士での評価が効果的です。

発表後は、相互評価の内容を振り返り、次に意識すべきことを整理しましょう。

評価のポイント

ここからは、プレゼンを評価する際のポイントを解説します。プレゼンの評価では、以下の点に注目してみてください。

• 発表の構成
• 発表資料
• 発表の姿勢

発表の構成

発表の構成については、「伝えたい内容は明確か」「わかりやすい構成か」などの点を評価すると良いでしょう。

内容が拡散して主張が曖昧だったり、聞き手が理解できなかったりするプレゼンは多々あります。結局何を伝えたいのか、聞き手に伝わっているか等を評価の基準にしてみてください。

発表資料

発表資料も評価の項目に入れることができます。具体的には、「強調したい箇所がすぐにわかるか」「文字の量や大きさは適切か」といった基準で評価します。

資料作りではつい情報量が多くなったり、投影すると文字が見づらくなったりしがちです。聞き手にとってわかりやすい資料になっているかに注目しましょう。

発表の姿勢

発表の姿勢についての観点は、「声の大きさ」「話すスピード」「アイコンタクト」等です。聞き手に伝えるのに適した姿勢でプレゼンを行っているかが評価のポイントとなります。

プレゼンテーションを取り入れた授業事例

最後に、プレゼンテーションを取り入れた授業の事例をご紹介します。

2回のプレゼンでPDCAを回す

学習期間 1学年を通して行う
実施校 宮城県気仙沼高校
対象学年 1年生

概要

気仙沼の海に関わる研究テーマを班ごとに設定し、「フィールドワーク→グループ研究→発表」のサイクルを繰り返す。

テーマ例:「気仙沼の海に商業施設を作って利用できるか」「津波から海と陸の豊かさを守る強いまちをどうやってつくるか?」

4〜6月:論文ポスターの見方や統計などに関する動画を配信。
6〜7月:防災や地域の課題に関する講演を聞き、研究テーマ決定に向けた準備を進める。
8〜9月:研究テーマを決定して班に分かれ、意見交換や研究計画書の作成を行う。
10月:フィールドワークを行い、市内の施設(気仙沼市役所、病院や幼稚園)を見学する。
11月:中間発表を行い、今までの成果を報告する。生徒や大学教員からアドバイスを受ける。
12月:再びフィールドワークを行い、研究テーマに関連する施設や大学で指導を受ける。
1月:学年発表会にてポスターセッションを行う。地域社会研究担当教員が審査し、各テーマの領域から優秀賞・優良賞を1班ずつ選出する。
2月:資料やデータの整理を行う。

ポイント

テーマの設定までにじっくりとインプットを行っているため、本当にプレゼンしたいテーマを見極めることができます。これにより、想いがこもったプレゼンになると期待できます。さらに、プレゼンの機会が2回あることもポイントです。PDCAを回すサイクルが確立されているため、プレゼンの能力が磨かれます。

まとめ

プレゼンテーションの指導や評価に関するポイントをまとめました。

プレゼンテーションの指導・評価では注目すべき点が多く、先生だけで対応するのはとても大変です。フレームワークや生徒の相互評価を活用しながら取り組みましょう。

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この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。