地元・江戸川区の魅力創生についての探究学習を行っている東京都立篠崎高等学校(東京都江戸川区、以下、篠崎高校)は、2022年 12月19日(月)、株式会社ポポラマーマ(本社:東京都江戸川区、以下、ポポラマーマ)、江戸川区農業経営者クラブ(以下、農業経営者クラブ)とともに、第二回目となる探究学習成果発表会を行いました。文部科学省が推奨する「チームとしての学校」の実践事例として、地域・企業ぐるみの新しい教育の成果が注目されています。
篠崎高校は2022年4月より始まった「探究学習(総合的な探究の時間)」を活用し、江戸川区の地域課題に取り組み、新たな魅力創生につながるオリジナルプラン作成を目指す、地域探究を行っています。現在、高校生は下記のような、実際に地元企業や産業が抱えるリアルな課題に挑戦しています。
生徒が取り組んでいる探究テーマ▼
①生パスタを使った新メニュー開発
②時と場所を鑑みた広告宣伝アイディア
③食材ロスを減らすアイディア
④農家の人手不足を解消するためのアイディア
⑤小松菜のブランディングアイディア
⑥農のある風景を継続していくアイデイア
弊社、株式会社Study Valleyは、探究学習プラットフォーム「TimeTact」を提供、また、コーディネーターとしてこの取り組みをサポートしています。
【高校の探究担当の先生へ】
当メディアを運営する私たちStudy Valleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、全国の高等学校様へ、探究スペシャリストによる探究支援と、社会とつながるICTツール「高校向け探究学習サービス『TimeTact』」を提供しています。
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第二回 探究学習成果発表会 概要
▲東京都立篠崎高等学校(公式HPより)
日時:2022年 12月19日(月)10:50~12:30
会場:東京都立篠崎高等学校(江戸川区東篠崎1-10-1)
発表者:篠崎高校2年生280名
専門家:株式会社ポポラマーマ社員の皆様、江戸川区農業経営者クラブの皆様、江戸川区役所ご担当者様
探究学習と地域連携
探究学習は、変化の激しい社会に対応できる、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にした学習で、①問題設定、②情報の収集、③分析、④まとめ・表現、というプロセスを繰り返すプロジェクト型の学習です。2022年4月から高校で必修化されています。
また、これまで文部科学省は、地域の学習環境を活用し、実社会や実生活の課題を取り上げ、教員以外のメンバーも参画した「チームとしての学校」を提唱してきました(【総合的な探究の時間編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説より )。
教育効果に加えて、教員の働き方改革の文脈でも注目を集めている学校の地域連携は、探究学習においても、重要とされています。
篠崎高等学校は、地元企業の株式会社ポポラマーマと、江戸川区農業経営者クラブに、企業の活きた課題を提供していただき、フィールドワークや、探究成果発表会でのフィードバックなど各種協力の元、探究学習を実施しています。
第二回 探究成果発表会の内容
今年6月に行われた第一回の成果発表会では、テーマのインサイト(背景)を探究。生徒が高校生目線で課題の背景にあるものを分析、発表しました。
第二回は、それを踏まえて、実際に課題を解決する方法を提案。夏休みにはフィールドワークを行うなど情報収集を本格化させ、具体的なプランをパワーポイントにまとめ、発表しました。
「生パスタを使った新メニュー開発」では、つけ麺にヒントを得た「夏に食べたくなる、冷たいつけパスタを開発する」「味と見た目を両立させたバニラアイスのせパスタ」など高校生らしい提案がありました。前回の企業担当者からのフィードバックを活かし、アイデアにとどまらず、実際に調理を行って検証したり、新メニューのニーズがあるか校内アンケートを行うなど、各グループが仮説検証を行っていました。
「食材ロスを減らすアイディア」では、「食品ロスを減らすために、閑散期にキャンペーンを行いクーポンを積極的に発行する」「一番おいしく食べてもらうため、提供時間の目安をメニューに表示する」などの提案がありました。インターネットで公官庁のデータを調べ分析に用いたり、プレゼン用にタブレットでキャンペーンポスターのサンプルを制作するなど、ICTを積極的に活用するシーンが見られました。
「小松菜のブランディング」では、一般消費者にとって、野菜と産地がそもそも結びつかないため、農家の人と協力して、江戸川や小松菜のことを継続的に発信する」等の提案がありました。
食材ロスを減らすアイディア 発表事例
SDGsにも通じるテーマ「③食材ロスを減らすアイディア」の発表例を紹介します。
③食材ロスを減らすアイディア
このグループは、食品ロスについて探究を行いました。
食品ロスに関する現状を、以下のように分析。
・お客様は完食したいが、提供量が多く、残してしまうと、罪悪感を感じてしまう
・しかし、提供量は決まっているため、食べ残しが発生することを完全になくすことはできない
それに対して生徒は、持ち帰り用のパックを準備し、テイクアウトすることで食べ残しを無駄にせず、お客様に気持ちよく利用してもらうというアイデアを考えました。
グループでは、このアイデアが実現可能かどうか、以下のような実験を行っています。
・学校でパスタを調理
・食べ残しを想定して、調理後1時間、パスタを放置
・パスタをプラスチックパックに入れて自宅へ持ち帰る
実際にやってみると、冷えてパスタがくっついてしまい美味しく食べられなかったこと、食べかけのものを持ち帰ることへの衛生面への不安があることがわかり、持ち帰りの実現は難しいとの結論に達しました。
実験の結果を踏まえ、別の切り口から食品ロスの削減方法を再検討し、小盛サイズや、さらに100円以内のごく少量のお試しサイズの料理提供が、お客様にちょうどいいサイズや、本当に食べたい料理を提供することにつながり、食品ロス削減を実現できるのでは、という提案で発表は締めくくられました。
企業担当者からのアドバイス
実際に、実験まで行っていたことに驚きました。確かに、持ち帰りパックは、「ドギーバッグ」と呼ばれ、アメリカや中国などで一般的ですが、みなさんも気づかれたように、「衛生面」での課題があります。日本では衛生上のルールが厳しいこともあり、普及のハードルは高いです。ポポラマーマでも検討していますが実現には至っていないのが現状です。
少量お試しサイズは、価格設定をどうするかなどの課題が残ります。また、食材ロスを逆に増やしてしまう可能性にも繋がりますので、文字や写真などで味をもっと具体的に表現したり、量をもっと分かりやすく示せるような工夫が必要だと思いました。
▲企業からフィードバックをいただく(株式会社ポポラマーマ 木村様)
時間が限られた探究授業において、課題の解決提案は「アイデア勝負」になりがちな側面があります。しかし、少ない時間の中でも実験と振り返りを行って、次の探究サイクルの入口に立つことができたのがポイントではないでしょうか。
また、企業担当者の方から、「持ち帰り」について、自社の事例のみならず、海外事情や、普及の背景にある法律のこと、価格面の現実性など、新しい観点を提示されたことも、企業と連携して行う探究学習ならではの風景でした。
いずれのグループも、このように企業担当者から丁寧なフィードバックを受け、3月に予定されている最終成果発表会に向けて、引き続き探究を継続します。
今後に向けて
第一回成果発表会では課題の背景分析、今回は、解決プランを発表してきた生徒たち。今後は、2023年3月上旬開催予定の、最終成果発表会に向けて、探究学習を継続します。
関連リンク
江戸川区・篠崎高等学校の地域探究プロジェクトがメディアに多数掲載されました
東京都立篠崎高等学校
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【この記事の監修者】
田中 悠樹|株式会社Study Valley代表
東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。