探究学習

【解説あり】SDGs探究の事例5つを紹介

SDGs探究の事例をお探しの先生へ。

2022年から本格的に始まる「探究学習」。探究でSDGsで扱いたいけど、どうすればいいかわからない・・・そういったお悩みをよくいただきます。

そこで本記事では「SDGsの探究学習事例」を調査してまとめました。

テーマやねらい、実践のプロセスや結果なども掲載しています。授業の参考にぜひお使いください。

この記事で紹介するSDGs探究事例
1.ガーナ製ポーチを用いてフェアトレードを学ぶ
2.模擬国連を通して各国の立場を学び、地球規模課題の解決に向けて議論する
3.和歌からジェンダーを読み解く
4.瀬戸内海の海底ごみ問題解決のための実践と発信
5.途上国の女子学生が学校へ行きやすくするために、サステナブルな生理用品を発案

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、「持続可能な開発目標」を指します。2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、世界全体で取り組むべき目標です。

具体的には、「貧困をなくそう」「全ての人に健康と福祉を」「ジェンダー平等を実現しよう」といった17の目標の中に、「何を」「いつまでに」「どうするのか」といった細かいターゲットが定められています。

SDGs探究のメリットと実施の注意点

はじめにSDGs探究のメリットと実施の注意点を簡単に確認しておきます。

SDGs探究のメリット
・社会との接続を意識できる
・将来役に立つ可能性が高い
・資料が豊富にある
・企業や外部機関の協力を得やすい

SDGs探究実施の注意点
・関心がない生徒への興味付けが必要
・大きすぎる課題を設定しない
・紋切り型のまとめにならないよう注意する

SDGs探究にはメリットも多い反面、このような実施の注意点もあります。これらを意識した上で事例をご覧になると、より理解しやすいかと思います。詳細についてはこちらにまとめてありますので、本格的に実施を検討される場合はあわせてお読みください。

>SDGs探究のメリットと実施の注意点まとめ

それでは、SDGs探究の事例を紹介していきます。

【解説あり】キャリアの探究学習事例5つを紹介

1.ガーナ製ポーチを用いてフェアトレードを学ぶ

SDGsゴール 1.貧困をなくそう
10.人や国の不平等をなくそう
12.つくる責任 つかう責任
学習期間 全7回
実施校 大同大学大同高等学校
対象学年 2年生

学習のねらい

・リサイクル素材で作られたガーナ製のポーチを活用し、ガーナの課題について理解する。
・ガーナの聾学校と交流を行い、世界と繋がることの喜びを感じる。
・世界の様々な問題を学んだうえで、自分にできることを発見し、実行する。

*フェアトレード(公平・公正な貿易)とは・・・開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易のしくみのこと。

課題・実施の流れなど

まずはガーナや貿易について学び、その後にガーナ製ポーチを活用してフェアトレードに挑戦します。詳細は以下の通りです。

1回目
写真や動画を用いてガーナについて学び、ガーナと日本の共通点・相違点を探す。

2回目
新・貿易ゲームを通して、世界の経済活動を疑似体験する。

※新・貿易ゲーム…「貿易」を中心に、世界経済の動きを擬似体験することによって、そこに存在するさまざまな問題について学び、その解決の道について考えることを目的としたシミュレーションゲーム(開発教育協会ホームページより)

3〜5回目
フェアトレードに挑戦する

・ガーナ製ポーチを実際に手に取り、ポーチが作られた背景を考える。また、ポーチの材料を基にガーナの課題について考える。
・材料費やガーナの物価を踏まえ、ポーチの適正な価格を考える。
・文化祭にてポーチを販売する。

6回目
英語の手話を学び、ポーチを作ったガーナの聾学校の生徒にビデオメッセージを送る。

7回目
これまでの学習を踏まえ、取り組むべき国際協力を考える。また、国際協力において自分たちができることを考え、模造紙にまとめる。

結果

・フェアトレードの体験は、「自分にも国際協力ができた」という自信につながった。

・多様な個性や意見に対し、寛容に向き合える生徒が増えた。

ポイント

フェアトレードというグローバルなテーマを扱った授業例です。グローバルな問題を扱いながらも、ゲームや文化祭を活用することで、学校の中で国際問題を体感できるように授業が設計されています。

SDGsというと大きなテーマが多く、扱いにくいように感じるかもしれません。しかし、身近なツールや行事を活かせば、フィールドワークができなくても問題に触れる機会を作ることができます。

詳細:高校生によるフェアトレーディングプロジェクト

2.模擬国連を通して各国の立場を学び、地球規模課題の解決に向けて議論する

SDGsゴール 13.気候変動に具体的な対策を
16.平和と公正をすべての人に
学習期間 3年間
実施校 創価高等学校
対象学年 1〜3年生

学習のねらい

地球規模の課題からテーマを設定し、ディベートやグループディスカッション等を通して幅広い教養と問題解決力の育成を図る。

課題・実施の流れなど

各学年・各学期でテーマが設定されており、それぞれのテーマについて調査やグループワークを行います。以下では、3年生の取り組みを紹介します。

1学期 テーマ:国際社会①
・模擬国連①
模擬国連の進め方を学び、議題について学習したり、国別に立場をまとめてスピーチの準備をしたりする。

・模擬国連②
6人1組のチームをつくり、「気候変動枠組み条約(COP)」を議題に15ヵ国の担当に分かれ、各クラスで模擬国連を開催する。

2学期 テーマ:国際社会②
・模擬国連③
「核軍縮」をテーマに架空の国の大使となり、模擬国連の開催に向けた準備を行う。

・模擬国連④
「核拡散防止条約」「核実験禁止条約」の採択に向け、大使たちでクラスごとに模擬国連を開催する。

3学期 Final Project
・Final Project ポスターセッション
アジェンダ2030・SDGsの中からテーマを選び、日本語・英語によるポスターセッションと論文作成を行う。

ポイント

時間をかけて幅広いテーマを扱い、SDGsについての学びを深めています。

生徒が国の担当になりきって議論に参加したり、模擬国連を行ったりすることで、当事者として問題を捉えることができます。

また、国を限定せずにテーマについて学んでいるため、同じ問題でも国によって様々な立場があることを実感することができます。

詳細:創価高等学校 探究学習プログラム

3.和歌からジェンダーを読み解く

SDGsゴール 5.ジェンダー平等を実現しよう
実施校 京都学園中学高等学校(現:京都先端科学大学附属中学校高等学校)
対象学年 1年生

学習のねらい

和歌を基に、「男性らしさ」や「女性らしさ」、現代のジェンダーについて考察・議論することで、根拠・理由・主張の3要素を踏まえた論理的思考力を育成する。

課題・実施の流れなど

「万葉集」「古今和歌集」それぞれの歌風である「ますらをぶり)」「たをやめぶり」について、目標5の「ジェンダー」の視点から考察します。また、性別の価値観が現代ではどのようになっているかについても考察します。詳細は以下の通りです。

※ますらをぶり(益荒男振り…男性的でおおらかな歌風
たをやめぶり(手弱女振り)…女性的で優美な歌風

・クラスを男女混合の4人グループに分け、歌を割り振る。割り振られた歌を基に、当時の「男らしさ」「女らしさ」や、当時(万葉集=奈良時代、古今和歌集=平安時代)と現代の恋愛観の共通点・相違点について考える。

・新聞記事データベースを用いて「ジェンダー平等」にまつわる課題を探し、根拠・理由・主張の3要素を踏まえ、発表原稿をまとめる。

結果

当時と現代のジェンダー観を比較する中で、「イクメン」といった現代のワードについて議論が展開していき、現代のジェンダー観に対する違和感を意識的に捉えられるようになった。

ポイント

教科の学習を活用し、SDGsのテーマについて学習している例です。
SDGsはテーマが幅広く、総合的な探究の時間でなければ学習できないように感じられますが、教科の学習からSDGsに関連する話題を抽出することも可能であるとわかります。

詳細:SDGsをテーマに8教科で授業を実践<京都学園中学高等学校>

4.瀬戸内海の海底ごみ問題解決のための実践と発信

SDGsゴール 5. ジェンダー平等を実現しよう
10.人や国の不平等を無くそう
12.つくる責任、つかう責任
14.海の豊かさを守ろう
17.パートナーシップで目標を達成しよう
実施校 山陽女子中学校・高等学校
対象学年 地歴部の生徒

学習のねらい

自分たちの手で地元の海岸を綺麗にする活動を通し、生徒の環境への興味を喚起し、主体性を醸成する。

課題・実施の流れなど

瀬戸内海の海底ごみ問題解決に向け、以下の活動を行う。

・地元漁師と協働し、海ゴミの回収や分析を行う。回収時にはメディアや近隣府県の中高生を招き、情報発信や学びの場としている。

・海底ごみの発生を抑制するための啓発活動を行う。具体的には、啓発ビデオ教材の開発や学会での情報発信、公民館への出前授業などを行なっている。

結果

地域と連携した活動の実施により、地域住民の海底ごみ問題への意識が高まった。

ポイント

地元の人々や組織と連携しながら、地域貢献を行っている事例です。

実践を行うと同時に自分たちの活動を外部に発信しているため、取り組みを学校や地域で閉じず、SDGsを普及させることに寄与しています。

詳細:瀬戸内海の海底ごみ問題の解決に向けての女子中高生の挑戦

5.途上国の女の子が学校へ行きやすくするために、サステナブルな生理用品を発案

SDGsゴール 5. ジェンダー平等を実現しよう
学習期間 2019年6月から継続中
実施校 光が丘女子高等学校
対象学年 プロジェクトの参加者を全校に向けて募集し、2・3年生17名が参加

学習のねらい

生理用品の不足により中等教育の就学率が低いウガンダの現状を踏まえ、生理用品の普及を通じて女の子が学校に行きやすい環境を整備し、女性の社会参画を促進する。

課題・実施の流れなど

・プレゼンテーション動画を作成し、UN Womanへ提出
開発途上国では女子の中等教育就学率が低く、その背景の一つに生理用品の不足がある。そこで、竹由来のサステナブルな生理用ナプキンを開発・普及させることを提案した。

・製品化に向けて企業へアプローチ
日本の大手生理用品メーカーにプレゼンテーション動画を送ったり、竹紙メーカーにアポイントを取ったりすることで企業の協力を呼びかける。

・アイデアを発信
生徒の出身中学校での講演や、地元のラジオ番組への出演を通してアイデアやSDGsの考え方を発信する。

結果

生理用品の商品化には至っていないが、生徒の意思で外部を巻き込んだり、アイデアを積極的に発信することができた。

ポイント

プレゼンテーションの実施をゴールとはせず、生徒の発案で商品化を目指して継続的に活動している事例です。

生徒が積極的に外部の協力を仰いでいるため、SDGsの考え方が生徒から広がっていく点に特徴があります。

また、解決したい課題が明確に設定されているため、なぜSDGsが重要なのかを理解しやすくなっています。

詳細:「竹」×SDGsでジェンダー課題の解決をめざす!〜ウガンダを例に〜