探究学習

探究学習で使える教材9選!使うときの注意点も

高校の探究学習に使える教材はありませんか?

私たちStudyValleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、高校の先生や塾の先生方へ、探究学習を効果的に行うICTツールの提供や、コンサルティングサービスを行っています。

その中で、先生方から冒頭のようなご相談をよくいただきます。

この記事ではそんな質問に応え、高校の探究学習に使える教材を紹介します。

ただし、教材を使ったからといって探究学習がすべてうまくいくわけではありません。教材を使う際の注意点もあわせて紹介します。

この記事で分かること
・探究学習で教材を使用するときの注意点
・学習レベルにあった教材を使う・アレンジする
・ファシリテーターに徹する
・高校で使えるワークシート付き探究学習教材
・SDGs探究に活用できる教材

それでは、詳しく見ていきます。

探究学習で教材を使用するときの注意点

教材を紹介する前に、教材を使用するときの注意点を二つ紹介します。

一つ目は生徒の学習レベルにあった教材を使う・アレンジすること。二つ目は教材を教えるのではなく、先生は生徒の主体性を尊重し、ファシリテーターに徹することです。

学習レベルにあった教材を使う・アレンジする

流通している探究教材のレベルは様々です。教材によってはテーマ・課題だけではなく問いや、学習を進めていくためのワークシート、発表用プレゼン資料のテンプレート、参考情報の検索先までそろっているものもあります。

しかし、本当にそこまでおぜん立てする必要があるのでしょうか?「探究」を謳っていても、実際にはほとんど調べ学習と変わらないような教材も中にはあります。探究を初めて行う高校1年生は探究の型に慣れるためにそのような教材でもいいかもしれません。でもあまりに教材が充実しすぎていると逆に生徒の主体性が発揮されません。あくまで、その生徒の学習レベルに合った教材を使うことが大切です。

そして、教材の特徴を理解すればするほど、そのまま使うことが難しいことに気づくと思います。生徒にあった形にアレンジする、教材との出会わせ方を工夫するなど、教材に頼り切りになるのではなく、教員側の工夫も欠かせません。

「出会わせ方の工夫」については、下記の記事「2.学校・先生が与えた探究テーマに生徒が興味・関心を持つ」に詳しく紹介しています。

>面白い探究テーマを設定する具体的な方法

ファシリテーターに徹する

探究学習における先生の役割は「ファシリテーター」だとよく言われます。これは教材を使っていても全く同じです。先生が授業を主導して教材をなぞるだけでは教科の一斉授業と変わりません。あくまで生徒の主体性や対話的な学びが行われるようにファシリテーターに徹しましょう。

一斉授業では先生が生徒に一方向的に知識を伝達する「講師」としての役割が大きくなります。探究学習では、生徒が主体的に、そして対話的に学ぶことが重要です。そのため先生は、「講師」として生徒を教え導くのではなく、基本的には生徒の主体性に任せ、見守ることに徹します。

生徒が行き詰ったときにだけヒントを与えて学習を進める手助けをしたり、議論が迷走していたら中に入って整理をしたりする、というように、本当に必要な時にだけ最小限の介入をします。これが「ファシリテーター」の役割です。

教材を使用しても、生徒の学習の進捗状況を見て適切にファシリテートする役割は変わりません。

高校で使えるワークシート付き探究学習教材

それでは、探究学習教材を紹介していきます。

1.STEAMライブラリー(経済産業省)

教材の概要

STEAMライブラリーは経済産業省「未来の教室」プロジェクトが提供するSTEAM教育の教材プラットフォームです。2021年時点で86ものコンンツがあり、ベネッセ、JAL、早稲田大学など有名企業や教育機関がコンテンツ提供事業者として多数参画しています。

特徴

動画と生徒用ワークシート、先生用指導案などがすべて無料で使用できます。生徒用ワークシートだけでなく指導案もそろっているのが先生にとって非常に心強い点です。

STEAM教育のための教材ですが、ワークシートには生徒の主体性を喚起する良質な問いが設定されており、探究学習にも最適。教材はキーワード検索のほか、SDGs検索、教科検索などが可能。総合的な探究の時間だけでなく、理数探究や地理探究など教科の探究の教材を探す時にも便利です。

テーマ・問いの例

テーマ 防災教育〜災害に対してどのように向き合うか(海城中学高等学校)
問い 災害を中心において、そこから連想されることをマインドマップにまとめてみましょう。そこから、自分が災害についてどのようなことに関心があるか、探究をしたいかを探してみましょう。etc.

テーマ 技術は世の中をどう変えた?「日本のものづくりの歴史~イノベーションを通じた社会課題解決~(シャープ株式会社×株式会社エイスクール)
問い 自分が経営者だったら、この状況をどう打開する?etc.

テーマ 新型コロナde問いマンダラ(一般社団法人 知識流動システム研究所)
問い 新型コロナはどうやって広がるのだろう?etc.

テーマ Drones(ドローン)(ブリタニカ・ジャパン株式会社)
問い 日常生活でドローンを利用することへの障壁となっているのは、どんなことだろうか。etc.

テーマ 食育×FoodTech(株式会社Z会)
問い 20年後「肉」が食べられなくなる?肉を食べるのをやめずに、肉の消費量をへらすにはどうしたら良いだろうか?etc.

STEAMとは・・・Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(人文社会・芸術・デザイン)、Mathematics(数学)の頭文字を取った言葉です。AIと第四次産業革命の世紀に価値を生み出す力を養うために、学びを「より学際的で、創造的社会的な学び」へとシフトさせていく考え方です。

2.Edu Town SDGs(東京書籍)

教材の概要

Edu Town SDGsは東京書籍が運営しているSDGsの教育ポータルサイト。イノベーションや途上国支援など15のトピックから豊富な事例を扱っています。

特徴

特徴は豊富な取り組み事例を映像で紹介している点で、全て無料で利用可能。どの事例も専門用語はあまり使わず、SDGsの知識がない生徒にも理解しやすい内容になっています。映像の時間も5分程度と、限られた時間でいろんなテーマを勉強できることも魅力の一つ。
付随のワークシートも合わせて使えば、より理解が深まります。

SDGsの入門としてだけでなく、探究学習の経験が浅い生徒にもおすすめと言えるでしょう。

テーマ・問いの例

・あなたはどんなまちに住みたいですか。
・10年後にあなたはどんなまちに住みたいですか。
・これからの時代に求められる,エコで持続可能な住まいとはどのような家でしょう。材質作り方、使い方、装備など、思いついた関連することばをつなげてイメージマップにまとめてみましょう。

ワークシート例

・気になる目標を調べてみよう!
・住み続けられるまちづくり
・持続可能な住まい

3.探究ナビ(ベネッセコーポレーション)

教材の概要

探究ナビはベネッセコーポレーションが開発した高校向け探究学習教材。

探究学習のやり方を解説したテキストに加え、PL(パターンランゲージ)という専用の探究学習振り返り教材がついています。教材は1セット1,900円で販売されています。

特徴

特徴は先生間での評価のバラツキを抑えられること。PLカードを使って探究学習の振り返りをすれば、どのような能力が鍛えられているか、課題が残っているかを36パターンまで絞れます。

そのため、評価のブレも少なくなり、より公平に探究学習の成果を評価できるでしょう。

また、探究ナビは複数の高校でプロトタイプの検証をしているため、より教育現場に即した教材になっています。

4.「総合的な探究」実践ワークブック―社会で生き抜く力をつけるために(学事出版)

教材の概要

「総合的な探究」実践ワークブックはユマニテク短期大学副学長の鈴木建生教授と、コーチング専門の高校教諭の池田靖章の共著。能動的学習のノウハウを通じて、実践的なコミュニケーションと社会スキルを身に付けるために開発されました。値段は770円(税抜)でアマゾンでも購入可能です。

特徴

社会との接点を意識した構成になっていること。例えば、学生の内では珍しい名刺の作り方がテーマ盛り込まれています。また、家計収入から社会的知見を得るワークも扱われています。このように、実践的な社会的テーマにそって探究を促す教材になっています。

テーマ例

・好きなことプレゼンテーション
・他己紹介(インタビュー)
・リフレーミング(ポジティブ思考)
・エゴグラム(性格を分析する)
・3年間をイメージする(進路実現に向けて)
・名刺作り
・家計を考える~収入から見える社会~
・一人暮らし~未来をイメージする~

5.高校生のキャリアノート(全国高等学校進路指導協議会)

教材の概要

高校生のキャリアノートは全国高等学校進路指導協議会が監修した、進路指導特化型の探究教材。学習指導要領のホームルーム活動に示されている学習項目に沿った進路教材として活用できます。価格は各テーマ170円(税込み)で全テーマの合計金額は、4250円です。

特徴

学習テーマが、生徒のレベルや進路目標に合わせて細分化されていること。「適応」「自己理解」「職業理解」「職業体験」「将来設計」「進学先理解」「進学先体験」「スキル」の8項目、さらにそれぞれに初級・中級・上級の3つのレベルが用意され、全25テーマが用意されています。

各テーマに関するワークも10分程度で終わるため、ホームルーム等の短い時間でも行いやすいのが魅力です。

テーマ例

・入門 自分発見
・インタビュー 職業人
・企業とその仕事を知る
・進学先をリサーチしよう
・自己PRスキルズ

活用事例

青谷高等学校のキャリア教育と『高校生の進路ノート スタンダード』の活用
鳥取県立青谷高等学校 但井健二 教諭/小山 弘 教諭

本校のキャリア教育と『高校生のキャリアノート』を使用した授業実践について
群馬県立玉村高等学校 豊島理恵子 教諭

総合学科のキャリア教育の一例と『高校生のキャリアノート』の活用
東京都立王子総合高等学校 下井量子 主幹教諭

6.自宅de地域探究(一般社団法人教育ソリューション研究協議会)

教材の概要

自宅de地域探究は一般社団法人教育ソリューション研究協議会が支援している、大学生主導型の探究プロジェクト。中高生のアイディアを地域に還元しようというコンセプトで、このプロジェクトが始まりました。2021年度には、パナソニック教育財団の助成団体にも選ばれています。

特徴

全ての探究学習がオンラインで完結すること。自宅de探究学習のホームページで公開されている学習サポート動画に従ってワークを進めるので、コロナ禍等で学校へ行けない時にも学習を継続できます。

作成したワークは地域アイディアコネクトEXPOというコンテストに出せるため、生徒のモチベーションアップにもつながります。

オンライン授業が普及している現代で、効率的に探究学習を進められるのが魅力と言えるでしょう。

活用事例

鹿児島県薩摩川内市 Enjoy everything!!薩摩川内市(濵田史佳さん れいめい高等学校・鹿児島県)

静岡県静岡市 由比を愛しすぎた男たち(佐川新さん・佐川拓さん 青稜高等学校・東京都)徳島県美馬町 アウトドア王国 (釜谷駿さん 脇町高等学校・徳島県)

7.修学旅行探究ノート(JTB)

教材の概要

修学旅行探究ノートは大手旅行会社のJTBと東京学芸大学が共同開発した、フィールドワーク型の探究学習ノート。修学旅行前後と旅行中の学びを体系的にまとめられる教材で、文科省が目指すアクティブラーニングに準拠した構成になっています。値段は240円(税抜)。

特徴

特徴は、修学旅行での学びが、そのままポートフォリオにできる点です。旅行前に興味のあるテーマを洗い出し、現地で情報を収集して旅行終了後に得た成果をまとめる流れになっています。

また、この教材に対応したeポートフォリオ(*要・別契約)の利用もできるため、大学入試や、後輩への参考資料としても活用も可能。

一過性の体験になりがちな修学旅行を探究的な学習にできると評判の1冊です。値段は240円(税抜)とリーズナブルなので、予算的に導入しやすいこともポイントです。

8.SDGs副教材 「私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~」(日本ユニセフ協会)

教材の概要

私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~は、日本ユニセフ協会が開発したSDGsの教材。SDGsの17目標を国内の課題に焦点を当てて作成されました。教材は日本ユニセフのホームページから、無料でダウンロードできます。

特徴

国際問題を「自分ごと」に考えられる構成になっています。各テーマの冒頭にSDGsの17目標に関連した国際問題が紹介され、ページの下に日本でも発生している社会問題と取り組みが解説されています。

ワークシートは、17の目標に優先順位をつけて、何ができるかを考える、という内容になっています。年間を通しての探究に利用するというよりは、SDGsについて関心を持ってもらう導入としてのワークに活用するとよいかもしれません。

ワークシート・問いの例

「持続可能な世界にしていくために、これから何をするのかを考えよう。」
(17のSDGs目標から)優先的に取り組んでいきたいと思う目標を、1~3まで順位をつけてみよう。 また、その理由も書いてみよう。
・班やクラスの仲間とそれぞれが選んだ目標や、その目標を選んだ理由を話し合ってみよう。
・これからの社会を、持続可能でよりよいものとするためにはどうしたらよいだろう。話し合った内容をもとに、これから解決策を考えたいと思った目標や課題を書き出してみよう。

SDGs探究に活用できる教材

授業で使えるショート映像集(JICA)

教材の概要

授業で使えるショート映像集は、JICA(国際協力機構)が制作している社会問題関連の映像集で、国立教育政策研究所が監修。テーマはイスラムや難民、SDGsなど多岐に渡ります。

映像集は無料でYouTubeから視聴可能。授業でまとまった映像集が必要な場合はDVDも送付してもらえます。

特徴

映像集の内容が社会問題でありながら、自分ごとに捉えやすいコンテンツになっていること。水道のない町で生活している子供の1日を追うなど、年代が近しい子供を主人公に扱っているものが多いです。

そのため、社会問題が他人事でないことを自覚できます。このように、生徒自らが問題意識を醸成できるため、探究学習のポイントである「主体的な学び」につながる教材と言えるでしょう。

テーマ例

日本に暮らすイスラム教徒
逃れた後の生活
海を渡るプラスチックゴミ など

まとめ

探究学習をゼロから設計するのは大変です。テーマ・課題は何にしようか?どのような問いを用意するか?あるいは生徒に考えさせるか?どうすれば主体性が引き出せるか?グループワークはどこで入れるか?発表はどのようにするか?などなど、考えることはたくさんあります。

教材を使うことでその手間を大幅に削減できます。しかし生徒が主体的に、対話的に学び、深い学びに到達できるか、という学習の成果は教材だけではなく先生が教材の特徴を把握して、生徒のレベルに合わせて探究を実施、ファシリテートできるかにかかっています。教材を上手く活用して、よりよい探究学習を実現しましょう!