探究学習

学校が準備すべき探究カリキュラム・マネジメントと体制整備のポイント4つ

探究学習を推進・実施するにあたり、その根幹となるのがカリキュラム・マネジメントと体制整備です。

この記事では最も重要といってもいいカリキュラム・マネジメントと体制整備について、その全体像を解説します。

それぞれの詳細は、各章に詳細記事のリンクを紹介していますので、そちらも合わせてお読み下さい。

この記事で解説すること
1.学習活動を支えるカリキュラム・マネジメントと校長のリーダーシップ
2.体制整備の4つの視点
・校内組織の整備
・学習環境の整備
・授業時数の確保と弾力的な運用
・外部との連携の構築

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1.学習活動を支えるカリキュラム・マネジメントと校長のリーダーシップ

質の高い探究学習を行うためには、適切なカリキュラム・マネジメントが欠かせません。それには校長先生のリーダーシップをとり、組織全体の体制を整備することが不可欠です。

この記事ではこのカリキュラム・マネジメントと体制整備のポイントについて解説します。

カリキュラム・マネジメントは、以下のようなサイクルで行われます。

①地域や学校、生徒の実態等の現状を把握する
②求める生徒の姿等を目標として設定する
③目標と現状のギャップを分析し、目標の達成を促す要因や阻害する要因を考察する
④目標の達成度を測る具体性のある評価指標を決める
⑤適切なカリキュラムを編成し、それを支える体制を整備する
⑥指導計画に沿って実践する
⑦成果・効果を評価・省察してカリキュラムを改善する

カリキュラム・マネジメントの土台となるのは、校長先生のリーダーシップです。校長先生のに期待される役割は主に、以下のようなものがあります。

指導計画の作成・実施にあたり、
・全教職員が学級、学年の枠を越えた、研究実践や意見交換等を実施すること
・学校の外部との必要な連携を行うこと

探究学習は教科横断的な学びです。学級、学年、教科の枠を超えて協力し合うことが必要です。また学校内だけでは対応しきれない専門家の知見や、取材、フィールドワークなど学外のリソースを必要とする場合は、適切な外部連携を検討することになります。ここにも校長先生のリーダーシップが求められます。

2.体制整備の4つの視点

適切なカリキュラム・マネジメントを行うためには校内の体制づくりが不可欠です。校内の体制づくりに必要な4つの視点を紹介します。

・校内組織の整備
・学習環境の整備
・授業時数の確保と弾力的な運用
・外部との連携の構築

校内組織の整備

探究学習推進にあたり、1~2名程度の担当者を指名して進めている学校もあるかと思います。しかし探究の成功には時間的、人的に多くのリソースが必要です。例えば、

・学校が目指す生徒像から年間計画、指導計画、単元計画などを立てる
・幅広い生徒の探究テーマに対応し指導する
・適切な外部連携を行う

などのことを考えると、担当者1~2名程度で対応することは非常に困難で、学校を挙げて協力体制を築くことが望まれます。

また、探究にまるわる案件を多角的に検討したり、予算が発生したりすることなども考えると(教材の購入、ICTを含めた学習環境の整備、外部連携先への謝礼、校外学習の費用など)、「探究推進委員会」といった校内のワーキンググループや会議体で活発に意見交換できる体制を整えておくことも必要です。

校内組織の整備のポイント

生徒に対する指導体制
・生徒の学習集団に応じた指導体制の工夫
実践を支える運営体制
・学習を円滑に推進する教員の職務・役割の適切な分担と「校内推進委員会」の充実
・運営の中心となる「総合的な学習コーディネーター」と授業担当者による会議
校内研修などの充実
・定期的な研修の設定、効果的な研修の工夫

参考記事
>探究の成功に不可欠なのは「学校を挙げた協力体制」その理由と実現に必要なことを指導要領をもとに解説

学習環境の整備

探究学習に生徒が意欲的に取り組み、そこでさらに学習を深めていくためには学習環境が適切に整えられている必要があります。

探究学習は自分の教室の外で学習を行う機会が多くなります。例えば、図書館・PCルームの利用、学級や学年の枠を超えてのグループワーク、大人数での発表などです。すべて教室内で完結させることもできますが、校内にそれらの活動を適切に行うための学習環境があるとよりベターです。

学習環境の整備のポイント

学習空間の確保
・体験活動を行う様々な場所、探究的・協働的な学習活動に対応した空間の確保
学校図書館の整備
・学校図書館の学習・情報センタ⓪としての機能の充実
情報環境の整備
・ICT環境の充実と教員のICT活用指導力の向上

参考記事
>探究に最適な学習環境、どう整える?3つの事例を元に解説

授業時数の確保と弾力的な運用

探究学習実施の根幹となるのが授業時数の確保と運用です。
現状把握からの計画作成、実施後は弾力的に運用ができるよう、余裕を持った計画が望まれます。また宿泊研修のような課外活動や、夏季休暇などをうまく活用することも検討に値します。

授業時数の確保と弾力的な運用のポイント

年間授業時数の確保
・単位の履修と習得に必要な授業時数の確保
・体験活動を適切に位置付けた、確実かつ柔軟な実施
目的に応じた単位時間等の弾力化
・生徒の実態、指導内容のまとまり、学習活動等を考慮して、効果的な単位時間・時間割を設定
一年間を見通した授業時数の運用
・各学校の創意工夫による年間指導計画等の編成
・活動の特質に応じ夏季等の長期休業日の効果的な活用

外部との連携の構築

探究学習では、適切な外部との連携がポイントとなります。

探究テーマは、生徒の興味関心に基づくがゆえに多岐にわたり、先生の専門外のテーマが選ばれる事も珍しくないため、先生だけでは適切な指導が難しいという声があります。したがって、先生は教えるのではなく、探究の方向性を確認したり、生徒が手詰まりになっているときに俯瞰した立場から別の選択肢を提示したりというコーチング、ファシリテート役に徹すことが重要とされています。しかし、より探究の効果を高めるためには学校から外へ出て、実地で体験したり、専門家から助言を受けることがより有効です。

その際は、企業や自治体、大学などの教育機関などと連携し、探究をサポートしてもらうことが考えられます。連携の選択肢は、計画や教材開発から関わってもらうパターンもありますが、まずは1コマの講演や、発表を見てコメントをもらうなど、小さく始めることもできます。

外部との連携の構築のポイント

地域の教育資源の積極的活用
・日常的な連携による協力システムの構築
・地域連携を推進する組織の設定を教師の配置
・地域資源リストの充実と活用
総合的な学習の時間の成果の伝達
・成果発表の場と機会の設定
・学校と家庭・地域との信頼関係の構築
活性化に向けた生徒の地域貢献
・生徒が提案等する体験の重視

参考記事
【前編】徹底解説!探究学習の外部連携に必要なことは?連携のパターン、メリットについて
【後編】徹底解説!探究学習の外部連携とは?連携時のポイント、連携先の探し方、事例について

まとめ

探究推進と実施において根幹となる、カリキュラム・マネジメントと体制整備について、以下のように全体像を解説しました。

1.学習活動を支えるカリキュラム・マネジメントと校長のリーダーシップ
2.体制整備の4つの視点
・校内組織の整備
・学習環境の整備
・授業時数の確保と弾力的な運用
・外部との連携の構築

検討することが多く、大変に感じられることもたくさんあるかと思います。Study Valleyは学校向けに探究学習導入・運用のアドバイス、また年間計画作成、生徒のポートフォリオ作成・保存や外部専門家からフィードバックを受けられるシステムなど、学校の探究学習を支援するサービスを提供しています。無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

*この記事は総合的な学習の時間に関する文部科学省の資料を、探究学習に臨む先生向けにわかりやすく解説したものです。資料をもとに部分的に簡略化、加筆、言い換えなどを行っています。元資料をご覧になりたい方は「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開(高等学校編)」第1編第3章-1をご確認ください。

ABOUT ME
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社StudyValleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。