探究学習

授業支援システムおすすめ5選!失敗しない導入手順とポイント解説付き

プリントを作って印刷して配って採点して・・・このアナログ作業なんとかならない?
コロナが落ち着いてオンライン授業がなくなり、使わなくなったタブレット。活用したいんだけど・・・

GIGAスクール構想とコロナ禍でにわかに注目された、オンライン授業などが行える授業支援システム。しかし普段通り登校が始まると、タブレット端末の利活用もされなくなり、元に戻っている学校も多いのではないでしょうか。

しかし、オンライン授業だけが授業支援システムのメリットではありません。

・教員の負担が減り、働き方を改善、教員本来の仕事に専念できる
・生徒一人ひとりに合わせた個別最適学習ができる

先生だけでなく生徒の学習の助けになるのが授業支援ツールです。この記事では、授業支援ツールの機能とメリット、おすすめの授業支援ツール5選を紹介、さらに導入時の手順とポイントまでを解説します。

授業支援ツールを探している先生はぜひご覧下さい!

目次
授業支援システムとは?
授業支援システムのメリット
・メリット1.効率化
・メリット2.付加価値
授業支援システムおすすめ5選
失敗しない!授業支援システム導入の手順とポイント
1.導入の目的を明確にする
2.仕様を決定する
3.導入テストを行う
4.全校で展開する
5.効果を検証する
まとめ

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授業支援システムとは?

授業支援システムとは、先生の授業運営や生徒の学習を支援するツールです。さまざまな機能によって総合的に授業を支援します。似た言葉に「校務支援システム」「授業支援ツール」がありますが、当メディアでは以下のように使い分けています。ここで紹介するのは「授業支援システム」です。

名称特徴導入決定者
校務支援
システム
校務全般を支援。授業計画作成、生徒の個人情報管理など教育委員会
校長 等
授業支援
システム
授業全般を支援。オンライン授業、教材作成・配布、チャット機能など校長
管理職 等
授業支援
ツール
教科や探究など個別の学習を支援。英語スピーキングに特化、プログラミングに特化、デジタル辞書ツールなど管理職
教科担当 等

*授業支援ツールについてはこちらの記事をご覧ください。
>授業支援ツールおすすめ23選!失敗しない導入前チェックリスト付き

授業支援システムを検討する際には、そのシステムが持つ機能によって得られる2つの効果を意識するのがポイントです。それが以下の2つ。

●効率化(教材配信機能でプリント印刷・配布の手間がなくなる、システム上で出欠管理ができる、など)

付加価値(学習ログによって最適な課題が提案される、システムで外部の専門家とつながり、生徒が成果物にコメントをもらえる、など)

「効率化」は、システムによって先生や生徒の負担が軽くなるものです。

「付加価値」は、システムによって、人にはできない効果が得られるものです。

「この機能によって効率化が実現できるのか?それとも付加価値が得られるだろうか?」という観点で見ると、導入効果が整理されます。

授業システム導入によってどれだけ効率化でき、人件費を削減できるのかは、稟議に重要な予算を考えるうえでも参考になりますので、意識してみてください。

それでは、授業支援システムの代表的な機能を以下に紹介します。

生徒・講師管理名簿管理・編集
グループ管理
教材管理教材登録・配信
動画作成・配信
宿題配信・回収
履修状況の把握管理
授業準備サポート入退室管理
授業計画作成
スケジュール管理
授業サポートオンライン授業
メッセージ配信
チャット機能
デジタルノート
ファイルの配布・提出
カメラ機能
Webテスト
アンケート
授業記録管理指導報告書管理
面談記録
成績管理
評価

授業支援システムのメリット

授業支援システムの具体的なメリットについて、先ほど挙げた「効率化」「付加価値」の側面から、もう少し具体的に見ていきます。

メリット1.効率化

先生の業務負担が減り、コア業務に集中できる

授業支援システムを活用することで、先生の業務負担を軽減することができます。

例えば、スケジュール機能により授業計画を作成、いつでも参照可能にできるほか、出欠管理はもちろん、教材や宿題、テストをシステム上でやりとりすることで印刷・回収の手間が大幅に削減されます。もちろん、欠席した生徒への教材の送信もシステム上で行うことができます。成績情報が一括管理できれば、評価作成が正確に効率的に行えることも学期末が忙しい先生には嬉しい機能です。

また、いちど登録した教材やテストは、その結果とともにデータで引き継ぐことができるため、翌年以降の改善がしやすく、作り直す手間も軽減されます。

先生の業務負担が減ることは働き方改善につながるほか、先生にとってのコア業務である、生徒と向き合う時間を増やすことができ、結果的に、より良い学びにもつながります。

実際、このようなシステムを導入した学校の71.6%が、教員の業務時間が短縮されたと回答しています。

生徒の負担が減り、学習効率が上がる

生徒側の視点も忘れてはなりません。

授業支援システム上でデジタル教科書を使用すれば、重い教科書を持ち歩く負担がなくなります。

デジタルノート機能では、画像の添付やイラスト描画をかんたんに行うことができ、学習の整理やまとめがはかどります。共有もすぐにできるので、生徒の学習成果を教室で共有するために、時間をかけてポスターを作るなどの時間が短縮。発表やディスカッションにより多くの時間を使えます。

メリット2.付加価値

授業支援システムで実現できるのは効率化だけではありません。むしろ、システムである強みを生かし、これまでは人手があってもできなかったことを実現できるのが、本当のメリットとも言えます。ここでは授業支援システム導入で期待できる付加価値に着目します。

データの活用

授業支援システムのメリットはデータの可視化・蓄積といった、データの活用が簡単にできることです。

成績データや学習データをシステムに蓄積、グラフや表で可視化することにより、先生や保護者だけでなく、生徒自身が苦手や得意に気づき、最適な学びに向かう参考となります。

AIで生徒の学習ログを解析し、苦手克服につながる適切な課題をレコメンドする機能は、学びの個別化につながります。

総合的な学習、総合的な探究の時間では、毎年同じテーマに取り組む学校があります。先輩たちの探究成果をデータとしてシステム上に蓄積していけば、次の学年が先行研究としてすぐに参照することができます。

オンライン対応

2020年から2022年にかけて、最も注目を集めたのはこの機能ではないでしょうか。

動画配信機能を備えるシステムでは、システム上で授業のオンライン配信が可能です。単に映像を流すだけではなく、ホワイトボード機能、アンケート機能、小グループでディスカッションを行うためのブレイクアウトルーム機能などを備えるものもあります。

授業を録画してアーカイブとして保存すれば、ほかの先生に共有して授業研究に活かすことも可能です。

登校できない生徒も授業参加できる

オンライン授業はコロナ禍だけの緊急対応だったという学校も多いと思いますが、オンライン授業にはそれ以上の意味があります。

まず、何らかの理由で登校できない生徒が参加できることが挙げられます。不登校の生徒や、けがや病気で学校へ行けない生徒もオンライン授業であれば参加が可能です。

学校外と連携できる

また、学校外からの授業参加が可能になります。総合的な学習、総合的な探究ではテーマが多岐にわたることから、外部の専門家の助けを借りる場合も多くみられますが、気軽に出張授業を依頼できるとは限りません。そんなときにオンライン連携の仕組みがあれば、たとえ海外であっても、授業してもらったり、成果にフィードバックをもらったりすることが可能になります。学生同士の国際交流なども行えます。

授業支援システムおすすめ5選

ここからは、おすすめの授業支援システム5選をご紹介します。

おすすめの授業支援システム5選一覧

多機能なシステム6選Google Workspace for Education
Microsoft teams for Education
school Takt(スクールタクト)
Classi(クラッシー)
MeraMoji ClassRoom

1.Google Workspace for Education

引用:Google Workspace for Education

ここがポイント
・Googleが提供するさまざまなアプリケーションを教育現場で無料で活用
・Google Classroomで課題配信やクラスコミュニケーションを行える
・有償プランで高度な機能の利用も可

Google Workspace for Educationは、検索エンジンで有名なGoogle が提供する教育機関向けパッケージです。Google Classroomでは課題配信やクラスコミュニケーションなどオンライン授業に対応した機能が利用できます。

数百人のWeb会議や無制限の独自レポートの作成などが可能な有償プランもあります。

システム名Google Workspace for Education
ジャンル授業支援システム
提供会社Google Japan Inc
対象すべて利用可能
導入実績多数
費用無料~有料(要問合せ)

2.Microsoft teams for Education

引用:Microsoft teams for Education

ここがポイント
・チャット機能、ビデオ通話機能でオンライン授業に対応
・宿題や学習アプリも一元的に活用できる
・授業以外の校務にも使用でき、働き方改善にも

Microsoft teams for Educationは、WordやExcelを提供しているMicrosoft による学習用アプリケーションパッケージ。

オンライン授業に利用できるチャット機能、ビデオ通話機能を持つMicrosoft teamsを中心に、Forms(フォーム)やPowerPoint(スライド)、デジタルノート(OneNote)などを組み合わせることで、オンライン授業に限らず、様々な授業形態、教科に活用できます。

教員用に使用することもでき、教員の働き方改善に活かすこともできます。

システム名Microsoft teams for Education
ジャンル授業支援システム
提供会社Microsoft社
対象すべて利用可能
導入実績多数
費用無料~有料(要問合せ)

3.school Takt(スクールタクト)

引用:スクールタクト

ここがポイント
・アプリのインストール不要で、学校でも家庭でも使える
・5,000以上のテンプレートや教材を随時更新
・学習行動を把握し指導に活かせる

school Takt(スクールタクト)は、学習状況のリアルタイム把握、解答の共有などの授業支援機能を備え、アプリのインストールなく、ブラウザだけで協働学習・アクティブ・ラーニングをサポートするシステムです。

PCやタブレットにインストールするタイプだと、インストールや更新の手間がかかり、さらに特定の端末でしか使えないデメリットがあります。school Taktはブラウザがあれば使用が可能。学校でも家庭でも使用できます。

教材やテンプレートも豊富で、ないものも、直感的な操作で先生が作成することが可能です。

学習行動を把握できる機能では、発言が少ない生徒や困っている生徒を見つけられるため、授業や指導法の改善に活かすことができます。

システム名school Takt
ジャンル授業支援システム
提供会社株式会社コードタクト
対象小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、大学
導入実績利用者数 30,000ユーザー以上、 導入校累計数 全国300校以上、 利用学校名 東京都小金井市教育委員会、福島県新地町教育委員会などの公立校や朋優学院高等学校などの私学 等
費用タブレット1台あたりの月額オープンプライス

4.Classi(クラッシー)

引用:Classi(クラッシー)

ここがポイント
・3,000校の導入実績
・コミュニケーション、動画、学習記録など、さまざまなシーンで活用できるオールインワンプラットフォーム
・ベネッセのアセスメントと連動し進研模試の結果につながる

Classi(クラッシー)は全国3,000校以上の高校、中高一貫校に導入されている、授業支援システムで、コミュニケーション、探究学習、学習動画、日々の学習記録など、学校生活のさまざまなシーンで活用できるオールインワンのプラットフォームです。

株式会社ベネッセホールディングスとソフトバンク株式会社であり、ベネッセのアセスメントに連動。それに沿ってAIが生徒一人一人に合った課題をリコメンドするため、進研模試の結果につながりやすいという側面もあります。

システム名Classi
ジャンル授業支援システム
提供会社Classi株式会社
対象中学校、高等学校
導入実績日本大学第三高等学校、東海大学付属高輪台高等学校、仙台育英学園高等学校、佐賀県立佐賀農業高等学校、神奈川県立山北高等学校 など
費用要問合せ

5.MeraMoji ClassRoom

引用:MeraMoji ClassRoom

ここがポイント
・充実したデジタルノート機能
・リアルタイムのモニタリングで学習状況を把握
・一斉学習から個別、協働学習まで対応

MeraMoji ClassRoomは、タブレットを活用したアクティブ・ラーニングを支援するシステムです。

デジタルノート機能では豊富なカラーバリエーションや画像取りこみ機能、2,500倍の超拡大機能などを有し、子供たちの想像力を刺激します。

またリアルタイムのモニタリング機能で生徒の学習状況を把握でき、先生はそれを見ながら児童・生徒に個別にアドバイスが行えます。

このような汎用的な機能は教科や学習形態を選ばず活用できるので、一斉学習から個別、協働学習まで幅広く対応できます。

システム名MeraMoji ClassRoom
ジャンル授業支援システム
提供会社株式会社 MetaMoJi
対象小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、専門学校、高等専門学校、短期大学、大学、企業内研修、学習塾、教員、社会人
導入実績教育委員会、中高一貫校私学、国立大附属学校、大学など
費用要問合せ

失敗しない!授業支援システム導入の手順とポイント

授業支援システムの導入が決まっても、導入を焦ってはいけません。きちんとした手順を、ポイントを押さえて進めないと、適切にシステムを導入できず、導入したものの十分に活用されない、効果が得られない、ということがあり得ます。

ここからは失敗しない、授業支援システム導入の手順とポイントを解説します。これからシステム導入や検討を進める先生は、ぜひお読みください。

1.導入の目的を明確にする

まず、なんのために授業支援システムを導入するのか、導入した結果、どのような状態になってほしいのか、つまり授業支援システムの導入目的を明確にします。

目的が明確でないと、何の機能が必要なのかが定まりません。また、システム導入にあたっては、使う人に、システムの操作方法を覚えてもらう、これまでと違う業務フローに慣れてもらうなどの負担が発生します。導入の目的が明確でないと、現場の協力が得られず、システムが効果的に稼働しないという事態もあり得ます。

チームを作る

この段階から、システム導入を担うチームを作ることが望ましいでしょう。システムの選定だけなく、現場へのヒアリングやシステム会社との交渉、運用ルール作成など、一人で行うより、複数人で多角的な意見を出し合いながら助け合うことが導入をスムーズに進めるポイントです。

予算を決める

予算の確保も必要です。いくらの予算をかけるべきか?学校負担にするか生徒負担にするか?使える補助金があるか?システムを使うために備品や設備が必要かどうか?などを検討します。

予算を考える際は、システム導入によって先生の業務がどれくらい「効率化」し、人件費が削減できるか、も、一つの目安になります。

現場にヒアリングを行う

どんなシステムが必要なのか、どんな機能を備えるべきかを決めるために、現場へのヒアリングも大切です。業務フローを把握するためなのはもちろんですが、現場の使用感が悪ければ、せっかく導入したシステムが浸透しない恐れもあるからです。必ずしも現場の要望をすべて盛り込む必要はありませんが、早い段階で意見を聞いておくことは重要なポイントです。

2.仕様を決定する

目的や必要な機能が決まったら、システム会社を選定し、仕様を決定します。仕様によって必要な費用も変わってくるのが通常です。予算と相談しながら、場合によっては優先順位の低い機能を変更する、などの判断も必要かもしれません。

パッケージ型のシステムなら、特にカスタマイズはなく、そのまま導入となります。

3.導入テストを行う

システムの準備が整ったら、まずは特定の一クラスなど、小さい範囲で導入テストを行うことをお勧めします。まずお試しで使ってみるイメージです。一度にすべてのユーザーで使用すると、万が一初期不良などがあったときに対応が大変になるからです。

運用ルールやマニュアルを決める

導入テストの間に、運用ルールを決めたり、マニュアル作成をしておくと本格的に導入したときもスムーズです。よく使う機能の説明や、トラブルが起こったときの対応方法などをまとめておくと便利です。

タブレット端末のセキュリティ対策や、SNSルールなども検討しておくと良いでしょう。

4.全校で展開する

導入テストが順調に進んだら、全校で展開します。あらかじめ定めた運用ルールやマニュアルに沿って、使用を開始します。導入チームは、使い方の説明や、トラブルに対応します。

5.効果を検証する

重要なのが、一定期間経過した後の効果検証です。全員が問題なく使えているか、当初設定していた目的は達成されたか、などを検証し、問題が起こっていれば校内、システム会社と連携して解決しましょう。

まとめ

授業支援システムについて解説してきました。システム活用によって、先生や生徒の負担が減り、学習効率が上がり、さらにシステムでしかできない付加価値を実現できます。

授業支援システムは多機能のものから教科特化型、オンライン授業支援、SNSまで多岐にわたります。手順とポイントを押さえて導入することにより、より良い学びが実現されるでしょう。

ABOUT ME
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。
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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

田中 悠樹|株式会社Study Valley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社Study Valleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。