STEAMライブラリー

教科の知識と現実社会がつながるSTEAM教材|ブリタニカ・ジャパン株式会社

*この記事は経済産業省「STEAMライブラリー未来の教室」のコンテンツ事業者様に、教材の詳しい内容や使い方のアドバイス、STEAM教育に対する思いなどを取材する連載企画です。

ブリタニカ・ジャパン株式会社は創業から250年以上にわたって、百科事典のコンテンツを軸としてグローバルでサービスを展開してきた企業。百科事典のデータベースの開発、構築及び情報の提供をはじめ、電子出版物の開発や販売を手掛けています。昨年度に続き、コンテンツを制作してくださいました。

今回のコンテンツの魅力や制作の背景について、ブリタニカの石澤様に、弊社代表の田中悠樹がお話を伺いました。

石澤 洋平様 プロフィール

ブリタニカ・ジャパン株式会社 製品開発部マネージャー/カリキュラムスペシャリスト
株式会社Z会で知識構成型ジグソー法を用いてオンライン協働学習を行う「Z会Asteria総合探究講座」や、タブレットを使った通信教育サービスの開発に携わったあと、2021年8月より現職。経済産業省「未来の教室」実証事業には2018年度と2021年度の2回にわたって参画。2018年度は私立中学校と連携して「探究的な学びのプログラム」策定に携わり、2021年度は「STEAMライブラリー」に提供するコンテンツの制作に関わる。全国の学校に探究的な学び・協働的な学びを広めるべく活動中。

ブリタニカ・ジャパン株式会社

ブリタニカ・ジャパン株式会社(以下、ブリタニカ)は、アメリカやイギリスなど海外の拠点と連携し、日本語及び外国語による百科事典のデータベースの開発、構築及び情報の提供をはじめ、電子出版物の開発や販売を手掛けている会社です。その情報力を生かし、デジタル教材の開発やSDGsワークショップなども行なっています。

コンテンツについて

タイトル 「こわい」と娯楽【日本語版のみ】/「こわい」はなぜ娯楽になるのか?
学年 中学、高校
キーワード こわい、ホラー、娯楽
URL https://www.steam-library.go.jp/content/172

ブリタニカは今回全13テーマのコンテンツを提供してくださっています。対象年齢は全て中学・高校で、教科学習がどのように現実に活用されているのかを知ることができます。

1. 量子力学【日本語版のみ】/量子力学は世界の見方をどう変えるか?
2. 認知科学【日本語版】【英語版】/ 科学のチカラで個人も社会も正しい判断ができるようにするには?
3. 脳科学【日本語版のみ】/脳とコンピューターをつなぐテレパシー技術
4. 知の冒険【日本語版】/ 知の冒険に出よう! 自分の興味を発展させるには
5. 宇宙【日本語版】【英語版】/宇宙からライブパフォーマンスに挑戦するとしたら?
6. ホタルの光【日本語版のみ】/ ホタルの光を人工的に生み出せるとしたら?
7. ゲノム【日本語版】【英語版】/ 個人の遺伝情報、どう向き合う? ゲノム医療の健全な発展のために
8. 睡眠【日本語版のみ】/ なぜ、私たちは眠るのか? 問いからはじまるミステリー
9. 自律型致死兵器【日本語版】【英語版】/ 自律型致死兵器の開発は倫理的に許されるか?
10.ポジティブ・ディビアンス【日本語版のみ】/ 身近に潜む「良い逸脱」を見出すには?
11.生分解性プラスチック【日本語版のみ】/生分解性プラスチックは人々のどのようなニーズに応えられるか?
12.不凍タンパク質【日本語版のみ】/ 凍ってもおいしいのはどうして? 冷凍物の品質を向上させる技術
13.「こわい」と娯楽【日本語版のみ】/「こわい」はなぜ娯楽になるのか?

今回これらのテーマを選んだ背景

(田中)今回はなぜこの13のテーマでコンテンツを作られたのでしょうか。

(石澤)現実社会で今まさに解決が望まれている課題に取り組んでほしいという思いから13のテーマを選定しました。今回制作したコンテンツに限らず、現実社会で解決が望まれている課題を解決するには、様々な領域の知識が必要になります。このコンテンツに取り組む皆さんには、ぜひ、これまで学んできた教科の知識を活かし、また、新たな知識を獲得して、課題を解決する学びに協働的に取り組んでほしいと考えています。

学校現場ですぐ活用できるコンテンツ


「こわい」と娯楽 2コマ目 指導案より引用

(田中)昨年度もコンテンツを制作されていますが、その経験を生かして今回意識した点はありますか。

(石澤)今年度のコンテンツでは、学校現場ですぐ使えるようにすることを意識しました。昨年度のコンテンツの中には、指導案や授業用スライドに記載されている情報量が多く、先生や生徒の皆さんにご負担をおかけするものもありました。現場の先生方からのフィードバックを踏まえ、今回はシンプルかつ具体的な指導案や授業内容の要点をおさえたスライドを制作しました。

(田中)なるほど。指導案はどのように改善されたのでしょうか?

(石澤)時間配分を記載するなど、具体的にいつ何をすれば良いのかを示しました。学校の先生方からのフィードバックを受けて、生徒同士のディスカッションや情報収集の時間の目安を指導案に記載しております。もちろん、指導案に記載されている時間はあくまでも目安ですので、クラスの状況に応じて、先生方にカスタマイズしていただければと思います。

コンテンツについて

▲生分解性プラスチックは、SDGsにも通じるテーマ。(生分解性プラスチック【日本語版のみ】/生分解性プラスチックは人々のどのようなニーズに応えられるか?より)

コンテンツは一部だけ使っても良い?

(田中)次にコンテンツの使い方についてお聞かせください。全て5コマずつの構成となっていますが、一部だけ抜粋して使うことも可能なのでしょうか。

(石澤)はい、可能です。討論やプレゼンテーションのやり方、発表の注意点についての単発の動画もあるので、自由に使っていただきたいと思います。動画も3~5分程度なので、状況に応じて動画などのコンテンツを自由にお使いいただければと思います。

一学期のはじめに使うのがおすすめな理由

(田中)このコンテンツは学校でいつ頃使うべきでしょうか。

(石澤)学習状況に応じていろいろな場面で使えると思いますが、一学期の最初の頃に使うのはいかがでしょうか。グループワークを取り入れているコンテンツもありますので、年度はじめの時期に使うことでクラス内のコミュニケーションを活発にするきっかけになると思います。例えば、「『こわい〙と娯楽」では、実際に怖い音を作ろうというグループワークがあります。そうしたアクティビティーを通して、クラスの雰囲気づくりができるのではないでしょうか。

授業の導入に使えるキークエスチョンの例

量子力学【日本語版のみ】/量子力学は世界の見方をどう変えるか?

(田中)授業で生徒の興味を引くには、どのような導入が良いでしょうか?

(石澤)どのテーマも、1コマ目の冒頭で生徒の興味を引く問いやワークが設定されているので、そうした問いやワークを活用して生徒の興味を引くことができると思います。それ以外の方法ですと、「知の冒険」を例に考えると、自分が知っていて隣の席の人が知らないものをどんどん書き出すワークをすると良いと思います。そうすると、隣同士やクラス全体で相当知識のばらつきがあることに気づきます。そこで、どうして知識にばらつきが生じるのか、そもそも知識って何だろうというところに焦点化していくというのが一つのやり方だと思います。

(田中)量子力学のような難しいテーマではどうでしょうか?

(石澤)実生活との関わりから考えていくのが良いでしょう。具体的には、皆さんが家庭で使っているものに量子力学がどう生かされているのかを、調べて発表するワークが効果的だと思います。実生活との関連がわかると、生徒の皆さんは興味を引かれてコンテンツに取り組んでいけると思います。

(田中)面白いのであと2つ聞かせてください(笑)。脳科学のコンテンツではどうでしょうか。

(石澤)寝たきりの方とのコミュニケーションについて考えてみてはいかがでしょうか。寝たきりの方とでも、脳科学の技術を活用すればコミュニケーションできる可能性があります。このような例を切り口に、話を広げていただけたらと思います。

脳科学【日本語版のみ】/脳とコンピューターをつなぐテレパシー技術

(田中)最後に、トンボのコンテンツについてはいかがでしょうか。

(石澤)トンボやそのほかの生物が持っている特性が、社会の中でどのように活用されているか紹介してみてはいかがでしょうか。たとえば、新幹線はある生物のからだのつくりを参考にして作られています。自然界の仕組みを技術開発に活かすことをバイオミミクリーと言いますが、学校や家庭などで動物の特性がどのように活用されているか共有することで、興味をもってもらえるのではないでしょうか。

トンボの紫外線反射特性【日本語版】 / 科学研究を発展させるためのプロセス 2コマ目より

コンテンツを使用した時の学校現場の反応

(田中)とてもこだわって制作されているんですね。実際に学校現場でコンテンツを使われたそうですが、想定していなかった生徒の反応はありましたか?

(石澤)一見すると漠然として難しそうなテーマのディスカッションでも、生徒の皆さんがかなり楽しそうに取り組んでいたことです。大人から見ても難しいテーマだったのですが、スマホなどで調べながら楽しそうにディスカッションしていました。ただ話を聞くよりも、ディスカッションをして解を出す方が、生徒にとって学びが多くて楽しいのかもしれません。

STEAM活用事例インタビュー 兵庫県立兵庫高校〜生徒の視点から〜:ブリタニカのインタビュー記事

おすすめのコンテンツは?

(田中)13コンテンツの中で、石澤さんが個人的に好きなコンテンツはどれですか?

(石澤)「『こわい』と娯楽」のコンテンツです。ジェットコースターやスカイダイビングなど、怖さと娯楽が結びついたものを切り口に、人間の身体などを学ぶコンテンツです。多くの先生方に面白いと言っていただいたので、ぜひ色々な方にご覧いただきたいです。

石澤さんが探究されていること

(田中)石澤さんがお仕事やプライベートで探究されていることはありますか?

(石澤)趣味で吹いているオーボエのリード作りです。オーボエのリードは、削り方を少し変えるだけで音色や吹きやすさが変わります。どうすればより良い音色で自分が吹きやすくなるのかを探究しています。

先生方へメッセージ

(田中)今後コンテンツを使用される先生方に向けてメッセージはありますか?

(石澤)生徒の皆さんの興味・関心は様々だと思いますが、今回制作した13テーマのなかでどれか1つでも「これは面白そう」と感じてもらえると制作者として冥利に尽きます。どのテーマでも、生徒自身でどんどん調べて楽しく探究できるようにしました。先生方が面白そうだと思ったものをお使いいただくのはもちろんですが、生徒の皆さんが見て面白そうだと思ったものに取り組んでいただけるとありがたいです。コンテンツを具体的にどう使えば良いかわからないなどありましたら、ぜひ私たちに相談していただければと思います。

まとめ

石澤様、貴重なお時間ありがとうございました。

この13のコンテンツはそれぞれ、動画の時間が短く、細かい指導案もあり使いやすいものになっています。生徒の興味や授業内容などに合わせてカスタマイズしながら、ぜひ使ってみてください。