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【詳細レポート】1日完結型の探究ワークショップ「ひなた探究Camp」

2022年11月12日(土)、株式会社テレビ宮崎(本社:宮崎県宮崎市、代表取締役:寺村明之)と株式会社Study Valley(本社:東京都江戸川区、代表取締役:田中悠樹)は、宮崎県内の高校生と企業を対象にした「ひなた探究」の一環として、1日完結型の探究ワークショップ「ひなた探究Camp」を開催いたしました。

「ひなた探究」とは・・・宮崎県の企業様10社と、宮崎県下の高校10校の学生のみなさまが協働で行っている探究学習です。高校生は、企業様の抱える「活きた課題」に取り組むことで、社会で生き抜く力を身につけるとともに、地域の魅力、地元企業の事業内容や取り組みを知ることができます。

詳細:地方創生の要は高校生?宮崎県の「ひなた探究」とは

この記事では「ひなた探究Camp」の当日の様子をご紹介します。地域探究や、企業の広報・CSR、地方創生の取り組みにご興味のある方はぜひお読みください。

ひなた探究Camp概要

開催概要日時:2022年11月12日(土)
方法:オンライン(Zoom)
主催:株式会社テレビ宮崎、株式会社Study Valley
参加企業・協賛(順不同)株式会社ハナビヤ様/株式会社緒方塗装様/宮崎電子機器株式会社様
参加学校(順不同)宮崎日本大学高等学校、都城西高等学校、小林高等学校、宮崎南高等学校、宮崎富島高等学校、高鍋高等学校、飯野高等学校、五ヶ瀬中等教育学校、三田国際学園高校
実施内容1. 企業による事業紹介
2. 他校の生徒とチームを組み、企業から与えられた課題にチャレンジ
3. 成果発表と企業からのフィードバックを通したディスカッション
実施のねらい・生徒と企業の直接的なつながりの創出
・生徒同士の交流によるシナジー効果

「ひなた探究Camp」は、ひなた探究の一環で、1日完結型の探究ワークショップとして行われました。他校の学生との混合チームを編成し、企業の課題に取り組みます。

開催はZoomにて。総勢34名の高校生たちが集まりました。

主催者のテレビ宮崎様とStudyValleyから挨拶があった後、ブレイクアウトルームに分かれます。
学校がバラバラになるようにチーム分けされているので、最初は少し緊張の中からはじまります。

アイスブレイクでチーム名決め

最初に行ったのは、チーム名決めです。自己紹介もかねて、それぞれ学校で行っている探究や、好きな食べ物、最近あった楽しかった出来事などをシェアし、共通点などからチーム名を決めていきました。宮崎の方言を活かした「てげ同盟」、塗装がテーマのチームは、メンバーの好きな色から「サンペインターズ」と名付けるなど、楽しく個性的なチーム名が付けられました。はじめは固かった表情が、マスク越しにも笑顔が見え始めます。

▲TimeTactのあいであるボード機能を使って

企業の課題を踏まえた「生きたお題」が出される

さて、探究の本題へと入っていきます。それぞれの企業から出たお題はこちら。

「どんなホームページやWebページを作れば、東京の高校生にクリエイティブの力で宮崎の”オモシロサさ”を魅せられるのか?」(株式会社ハナビヤ)
→企業のWebサイトや、テレビ番組、CM制作などを幅広く手掛ける「クリエイティブエージェンシー」である、株式会社ハナビヤ様ならではのお題です。

「確かな技術力!私たちの生活を支えている職人の魅力を伝えるキャッチコピーを考えよう」(株式会社緒方塗装)
→「汚れる」「大変な仕事」などのイメージが先行しがちな塗装職人ですが、身近な生活を支える重要な仕事です。塗装職人の魅力を知ってもらえるキャッチコピーを作ってほしい、というお題です。

「全てをデジタル化するのが正解なのか?」(宮崎電子機器株式会社)
オフィスをハード、ソフト両面から支える宮崎電子機器株式会社様は、デジタルに関してもプロフェッショナルです。様々なものがデジタル化する中、あえて「全てをデジタル化するのが正解なのか?」というお題が出されました。

これらは、高校生向けに作られたものではなく、実際に、それぞれの企業が取り組んでいる「生きたお題」です。

小さな問いから答えに近づいていく

まず高校生たちは、StudyValleyスタッフのファシリテーションの元、お題の取り組むための小さな問いに取り組みます。例えば、緒方塗装様のお題「確かな技術力!私たちの生活を支えている職人の魅力を伝えるキャッチコピーを考えよう」では、まず以下のような問いに取り組みました。

・塗装職人ってどんなイメージ?
・高校生から見た塗装職人の魅力は?

これらについて、「肉体労働だ」「一人前になるのに時間がかかる」「正直、ピンとこない」「ものづくり・作ったものが残る」「感謝される」「機械に代わられない」等のコメントが出、そこからキャッチコピーのコンセプトを固めていきます。

企業の方との対話で新しい発見が生まれた

▲最後には、あいであるボードがびっしり埋まった

ディスカッション後半には、企業の方も加わります。「塗装は、芸術に興味がある人なら感性を生かせるのではないか?」という疑問を持った生徒さんは、緒方塗装の方から「たしかにその通りで、とても器用で、趣味のプラモデルやフィギュアの彩色が得意な人もいます」と回答をもらって、自分の意見に確信を深めていました。一方で、「細かな作業が得意な人もいれば、細かいのは得意じゃなくても、広い面を速く塗るのが得意な人もいて、適材適所なんです」「一人でする仕事のイメージがありますが、実はたくさんの人と一緒に仕事をするので、コミュニケーション能力も大切なんですよ」と言った、これまでの生徒のイメージを覆すコメントもいただくことができ、対話的に探究を進めることができたようです。

独創的な発想で質問をしたグループもあります。

宮崎電子機器様の「全てをデジタル化するのが正解なのか?」に取り組んだグループでは、「デジタルに慣れた私たちが縄文時代にタイムスリップしたら、どうなると思いますか?」という質問が飛び出しました。社員の方からは、「何もできなくて生きていけないかもしれないね」との回答のあと「成長している会社は、デジタル化をしっかり進める一方で、職人さんの技術とか、そういうものも大切にしているんだよ」という、ビジネスの現場感覚を踏まえた意見もいただき、実際に仕事をされている方からの生の声をいただく貴重さを実感できたのではないかと思います。

企業の方からのコメントが、アイデアにつながったグループもあります。

▲企業の方からのコメントを熱心に聞く

ハナビヤさんの「どんなホームページやWebページを作れば、東京の高校生にクリエイティブの力で宮崎の”オモシロさ”を魅せられるのか?」に取り組んだグループでは、企業の方から次のようなアドバイスがありました。

「大人は『このビールは美味しいです』よりも、『このビールは、ライムなしでは飲めないです』と言われた方が興味を惹かれます。面白さは、ストレートに伝えるのではなく、違うやり方も考えた方が良いですよ」

そこから発想を得て、「宮崎あるあるだけど、東京の人には意外なこと」「宮崎では不満だけど、東京の人は面白いと思うこと」を通じて、宮崎の魅力を、より印象的に伝えられるのではないか、という議論へつながりました。

ディスカッションの内容を発表

最後は、ディスカッションをまとめて、探究成果の発表を行いました。発表の一例です。

「どんなホームページやWebページを作れば、東京の高校生にクリエイティブの力で宮崎の”オモシロサさ”を魅せられるのか?」(株式会社ハナビヤ)

→TikTokに興味がある東京の高校生に、シリーズものの「宮崎の恋愛あるある」のTikTokショート動画を見せて、そこから動画の続編が載っているホームぺージに来てもらう

「確かな技術力!私たちの生活を支えている職人の魅力を伝えるキャッチコピーを考えよう」(株式会社緒方塗装)

→キャッチフレーズ「ワンチームでつくるみんなの鮮やかな暮らし」
理由:一人では塗れなくても仲間とならできる。ものづくり・職人としての魅力以外に、みんなで協力して作り上げる魅力も伝えたい。

「全てをデジタル化するのが正解なのか?」(宮崎電子機器株式会社)

→「半分正解、半分不正解」
理由:生活は便利になっても、全部デジタル化するとコミュニケーションが少なくなって人間的な感情が満たされなくなるし、病院のカルテ情報など何かあったときに全部消えてしまって大変なことになるリスクもあるから

ひなた探究Campの成果

全てのグループに共通していたことは、違う学校から集まったメンバーにも関わらず、みんなが自分の意見を発言して、ディスカッションできていたこと、企業の方のアドバイスやコメントを受けて、新しい発想につなげていったことです。今回のワークショップではこのような、普段の学校ではできない探究を実現できました。

たくさんの企業様が高校生を応援したい!と思っている

最後にテレビ宮崎の金石様からご挨拶をいただき、発表会は締めくくられました。

「高校生の皆様、先生方、お疲れ様でした。企業の皆様も探究活動にご賛同いただきありがとうございます。私も含め、企業の皆様も、楽しい時間が過ごせたのではないかと思います。探究は楽しいものです。そして、世の中は、探究だらけです。スマホも、駅の自動改札も、誰かの探究の結果です。

これからみなさんは、探究をどんどん発信して、羽ばたいていってほしいなと思います。

たくさんの企業様が高校生を応援したい!と思っていますので、これから一緒に活動して、宮崎から大きなものを生み出していけたらいいなと思います。

またお会いしましょう!」

高校生の感想

高校生の感想では、他校との交流や、企業からのコメントによって、普段、自分の学校で行っている探究では得られない、新しい視点や、刺激を受けられたことを新鮮に感じる感想が目立ちました。一例を紹介します。

「他校の方々や、企業の方々とリモートを通して色々話ができていい経験になりました。色々な意見があって面白かったです。ありがとうございました」

「普段、他校の生徒と関わる機会があまりないので、今日他校の生徒と探求できて楽しかったです。みんな、具体的な案をどんどん出してくれるので、自分もアイデアがたくさん出せました。今後また、自分達の探究に活かしていきたいです。楽しかったです。また参加したいです!」

大人も楽しんだ探究

イベントを通じて印象的だったのは、金石様のご挨拶にも言及されていた通り、企業の方々も、とても楽しそうに参加されていたことです。生徒さんの大人顔負けのアイデアに驚くシーンあり、学生のころを思い出しながら、高校生目線で話して下さるシーンあり、仕事愛に熱くなるシーンあり。笑顔の絶えない対話となりました。

教育の現場では、教員の方の過労問題がたびたび話題になり、教育内容の多様化も相まって地域との連携の必要性が叫ばれてきました。「ひなた探究Camp」では、新しい地域、企業と学校のあり方の可能性が垣間見えた一日でもありました。

生徒たちは、今後もそれぞれの学校で探究学習を進め、2023年3月11日(土)、宮崎県下の高校20校と、20企業が一堂に会する「ひなた探究Fes」にて、その集大成を発表する予定です。

最終発表会(ひなた探究Fes)取材、見学のご依頼はこちら

開催日:2023年3月10日 オンラインにて。詳細はお問い合わせください。
株式会社Study Valley 広報 梅澤
welcome@studyvalley.jp
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070-8522-0601

ABOUT ME
この記事を書いた人:Study Valley 編集部
探究No.1メディア”Far East Tokyo”編集部です!執筆陣は、教育コンサルタント、元教員、教育学部大学院生など、先生方と同じく、教育に熱い思いを持つStudy Valleyのスタッフ陣です。子どもたちがわくわく探究する姿を思い浮かべながら制作しています!先生方のお役に立ちますように。Twitterフォローで記事更新情報が届きます。