探究学習

探究学習の課題設定方法8パターンを解説

これから探究学習の授業を作っていきたいけど、最初の課題設定が難しい!

生徒がなにか具体的な作業を通して、自然に課題を見つけられるような方法はないかな?

私たちStudyValleyは「社会とつながる探究学習」を合言葉に、高校の先生や塾の先生方へ、探究学習を効果的に行えるICTツールの提供や、コンサルティングサービスを行っています。

その中で、先生方から冒頭のようなご相談をよくいただきます。

そこでこの記事では探究学習の課題設定方法・8パターンをまとめました。

探究学習では生徒の興味・関心に基づいて課題設定をすることが推奨されています。とはいえ、「興味のある課題を設定しなさい」といって、生徒がすぐに課題を見つけられるかというとそれは難しいのが実情です。

そこで、ここで紹介する「体験活動の比較」「シミュレーション」「ブレインストーミング」など具体的な活動や作業を通じて課題を見つけることが重要になります。与えられた課題であっても、これらの方法を活用して、「出会わせ方」に工夫をすれば、生徒の興味・関心を喚起することができます。

また、良い課題を見つけるためのこれらの事例を行うにはある程度時間の確保が必要です。カリキュラムの中に課題設定のための時間を確保することを忘れないでください。

課題設定方法8パターン
①体験活動の対比
②シミュレーション
③資料を比較
④グラフの読み解き
⑤ブレインストーミング
⑥ウェビングマップ
⑦KJ法的手法
⑧ランキング

*探究学習についてお悩みの先生はStudy Valleyへご連絡ください。コンサルタントが現状をお伺いしアドバイスさせていただきます。相談料などは一切かかりません。

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探究学習の課題設定方法8パターン

①体験活動の対比

「川の上流と下流」「同じ町の異なるエリア」など2つの事柄を比較する体験学習を行うことで「違いはどこにあるのか」「なぜ違うのか」といった問題点を知ることができ、課題設定につなげる方法です。

ポイント

体験学習の対比を行う際は過去と現在、地域間を意識して設定することがポイントです。始める前に、「私はこのように考えている」とある程度の予測を立てておけば、体験学習で実際に得た情報とのギャップに気づけます。

比較では事実のほか、自身の体験で得た感覚的な情報を集めることも大切です。気づいたことや疑問に思ったことをノートやカードなどで自由に書き出していきましょう。のちに体験学習では気づかなかった問題点が見つかることがあります。

なお、より対比を理解しやすくするためにはカメラやビデオ、ICレコーダーを活用して視覚的に情報を集めることがおすすめです。ICTも積極的に活用してみましょう。

実践例
【地域探究/SDGs探究】河川の上流と下流でフィールドワークを行い、岩石や植生、生物の違いやその理由を探究する

【地理探究】同一地域内で、発生する犯罪の種類や発生率の異なるエリアを複数取材し、その原因と対策を探究する

【地理探究/地学探求】古地図を見ながら街を歩き、地図上の変化がなぜ起きたのか、その理由を探究する

②シミュレーション

「シャッター商店街で新しく店を出すとしたら?」など実際の場面をイメージして、起こる得る問題を見つけ出し課題を設定する方法です。

ポイント

現実で起こりうることを幅広くイメージすることで、多くの問題点を見つけ出せます。イメージした状況の中で起こりうる問題点を思いつくままに書き出していきましょう。繰り返しシミュレーションを実施し、問題解決をじっくり考えることで課題がよりクリアになります。

シミュレーションを行ったあとは生徒同士で情報共有することが大切です。「なぜこれをイメージしたのか」「どのような問題点が起こるのか」を話し合い、議論することで学習の理解が深まります。

実践例
【地域探究】シャッター商店街で新しく店を出すとしたら?
【総合/地域探究】地元の中学生を招いて高校の紹介をするとしたら?
【総合】海外からの留学生に地域の魅力をプレゼンするとしたら?

③資料を比較

違いや共通点から疑問を導き出して課題を設定する方法です。多くの資料を用意することで生徒自身が様々な疑問を見つけられるようになります。

ポイント

比較する際は、わかりやすい資料選びがポイントです。文字だけでなく、写真や地図が載っている資料を活用すると、視覚の面から課題を設定しやすくなります。映像資料も活用できます。

机で並べるのではなく、黒板やホワイトボードを使うなどして提示にひと工夫加えてみることもポイントです。生徒同士で情報を共有しやすくなり、話し合いを繰り返しながら課題の設定ができます。資料をそのまま掲示しても構いませんが、プロジェクターなどのICTを活用すればさらに効果的です。

実践例
【古典探究】紫式部日記と十訓抄を比較して清少納言への評価の違いを探究する
【SDGs探究】東日本大震災前後の福島沿岸部の写真を比較して災害対策について考える
【総合】50年前と現在の農業の風景を比較して、テクノロジーが農業に与えた影響など変化について考察する

④グラフの読み解き

グラフなど統計資料を使って課題を設定していく方法です。グラフがどのように変動しているかを見ていくことで、調査対象の今後の動きを推測したり調査対象の特徴が持つ問題点を抽出したりできます。

ポイント

実際のグラフを見る前に生徒に予測を立てさせるのも有効です。立てた予測と実際のデータとの間にギャップがあるほど疑問がわき、問いや課題を設定しやすくなります。

グラフの結果を自分の体験に引き付けて考えたり、意見を他の生徒と共有することで資料の読み取りが深くなります。

グラフの読み取りから興味を持った関連項目も積極的に調べましょう。新しい疑問や気づきが生まれるきっかけにつながります。

実践例
グラフ全体の特徴を読み取る
・全体的にどのような傾向があるか?
・世代別にみたとき、変化の仕方は同じか?特徴はあるか?

各自の課題を明らかにする
・90年代から高齢化率が急上昇しているのはなぜか?
・労働人口が減少することで起こる問題は何か?

関連して調査する項目を検討する
・出生率との関連は?
・外国人労働力の推移は?

⑤ブレインストーミング

生徒同士で自由に意見を出し合って課題を見つけ出す方法です。カードや付箋を使って思いつくままアイディアを共有することで、生徒たちは新たな気づきを得られます。ブレインストーミングはビジネスの世界でも使われることの多い手法で、チームとしてまとまる、信頼感が醸成されるなどのメリットもあります。

ポイント

まずはブレインストーミングのルールを生徒へ周知することが大切です。基本的には「すぐに結論を出さない」「相手の意見を批判しない」「質よりも量を重視する」「相手のアイディアに付け足しや発展を行う」などが挙げられます。

互いの意見をぶつけ合って議論するディスカッションのようにならないよう注意しましょう。

チームとして探究学習をスタートさせる前に、ブレインストーミングを行うと効果的です。互いに意見を出しやすい空気が生まれて、今後チーム一丸となって探究学習を進めやすくなります。

⑥ウェビングマップ

イメージマップ、マインドマップと呼ばれることもあります。中心にテーマを置き、関連のある言葉を線でつないで問題点の発見、課題を設定する方法です。連想・関連するキーワードをテーマの周りに散りばめていくことで、具体的な課題解決方法を模索していきます。

ポイント

まず何について探究するのか脱線しないよう、最初にしっかりテーマを決めることがポイントです。設定すべきテーマは、学習対象になる事柄や問い、課題づくりのきっかけになるような体験学習などが挙げられます。同じ内容を線で囲み、特に重要なものに印をつけることで見やすいウェビングマップができあがります。

ウェビングマップで課題を設定する方法は主に下記の2パターンです。

 明確化された全体的な問題から課題を見つけ出す。
 一部の具体的な問題から課題を見つけ出す。

なお生徒同士で話し合い、それぞれの考えの違いを知ることでも課題は明らかにできます。

課題設定のためのウェビングマップ実践例
・探究のテーマを真ん中に置く
・テーマに関する課題や、問い、仮説、検証のアイデアなどを思いつくままに書き込んでいく
・同じカテゴリを丸で囲む
・関係するワードを線で結ぶ
・重要なものを目立たせる
・他の生徒のものと比べて特に重要な課題を絞り込んでいく

⑦KJ法的手法

体験活動や調査でわかったことや疑問に思ったことなどをカードや付箋に書き出して課題を設定する方法です。KJ法的手法は課題設定を行う以外にも、学習の整理・分析などで用いられます。課題の本質や核心を知るために最適な手法です。

ポイント

わかりやすくするため、1つのカードや付箋に対して書く情報は1つに絞りましょう。さらに単語ではなく文章で書くことで情報が整理・分析しやくなります。文章を書いていくので、正方形よりも長方形のカードのほうが望ましいでしょう。

つながりがありそうな情報同士は、グループ分けすると視覚的に情報が整理・分析しやすくなります。ただし生徒が自由にカードを触ると情報がばらばらになってしまいます。そのため事前に進行を担うリーダーを設定しておきましょう。

意見を出し合うブレインストーミングと組み合わせて行うとさらに効果的です。その際はカードや付箋のサイズや書き方を統一するようにしましょう。

進路・キャリア探究のKJ法実践例
・各自が持っている進路に対する悩みや課題をカードに書き出す
・黒板にカードを貼り、内容によってまとまりを作る
・まとまりにタイトルをつける(『給料や待遇』『やりがい』『仕事の探し方』etc.)
・タイトルをもとに話し合い課題を選定する

⑧ランキング

基準を決めて順位付けすることで、より現実的な課題を設定できる方法です。個々の課題をカードに書いてランキング形式で並び替えると、これから解決するべき課題がわかるようになります。ランキングは課題設定のほか、情報の整理・分析でも役立つ方法です。

ポイント

ランキングするときのポイントは、「実現可能性」「社会的価値」「テーマとの整合性」など基準を決めることです。これらの視点を考慮して何度も並べ変えを実施すれば、今すぐにできる課題が見つけられます。

なおカードを並べる際は黒板やホワイトボード等を使いましょう。入れ替えを全員でチェックしながら意見交換ができるような環境づくりが大切です。

【地域探究】アユが住む川を取り戻そう実践例
・河川に行く、自治体へ取材するなどして河川の環境の現状を調査
・調査を踏まえて考えた課題を書き出す
・「環境改善へ与えるインパクトの大きさ」を基準にランキングを作る
・上位に残ったものをさらに「実現可能性」で並べ替える
・さらに「実行に必要な時間」で並べ替える
・探究の時間内で実行可能な課題を設定する

まとめ

探究学習の課題設定方法8パターンを解説しました。良い課題設定ができると、そのあとの探究も充実したものになります。

課題設定方法8パターン
①体験活動の対比
②シミュレーション
③資料を比較
④グラフの読み解き
⑤ブレインストーミング
⑥ウェビングマップ
⑦KJ法的手法
⑧ランキング

また、このように形式化された方法で課題設定を行うと、取り組む課題だけではなく、テーマに関する課題の全体層をつかむことができます。私たちはピンポイントで取り組むべき課題を思いつけるわけではありません。まずは可能性を広げたうえで、優先順位をつけて絞り込むというプロセスを経るとよい課題が見つかります。ぜひ、これらの事例を活用してみてください。


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代表:田中
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