探究学習

調べ学習を効果的に進めるには?プロセスと指導方法を解説

教育現場でよく用いられる調べ学習ですが、教科の学習や探究の時間の基礎的なスキルとして児童・生徒への指導が重視されています。しかし、「ChatGPTなどのAIを使うのはどうなのか?」と調べ学習の指導方法がわからない調べ学習のテーマは何を与えれば良いのかわからないという悩みはないでしょうか?

この記事では調べ学習のプロセスからテーマ、情報収集ツール、指導方法までを徹底解説していきます。

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調べ学習とは

調べ学習とは、児童・生徒が自身が興味を持ったテーマをもとに、主体的に情報を集め、分析し、問題を解決する学習方法です。

平成14年度(2002年)の学習指導要領の改訂により総合的な学習の時間の中で、探究的な学習として位置付けられ、現在の新学習指導要領においては探究の過程として用いられることが多くあります。また、教科教育においても調べ学習で鍛えられる能力が学びの基礎となることも多いため、教員がおさえておきたい学習方法の一つでしょう。

ここでは、調べ学習の目的とは何か、探究学習との違いとは何か、更に類似する学習方法について解説していきます。

調べ学習の目的

児童・生徒は「①課題設定 ②仮説 ③情報収集 ④情報の整理分析 ⑤まとめと発表」という学習の過程を通して、さまざまな能力を身につけることができます。

21世紀型能力と呼ばれ、現行の学習指導要領で重要視される「生きる力」に重要な情報スキル, 問題解決能力, 論理的・批判的思考力の育成が期待されます。そのため、調べ学習は以下のような目的を持つことが多くあります。

  1. 主体的に学習できる児童・生徒の育成
  2. 批判的・論理的思考力の育成
  3. 情報リテラシーの向上
  4. 問題解決能力の向上
  5. 学習への動機付け

また、これに加え、調べ学習の過程で児童・生徒の視野を広げることや、AO入試など、学習内容が評価される可能性がある点でも魅了的な学習方法と言えます。

調べ学習と探究学習との違い

調べ学習と探究学習の違いはその課題の設定方法にあります。調べ学習は与えられた課題(テーマ)に対しての調査を行うのに対して、探究学習は児童・生徒の自ら立てた問いをもとに課題に対しての解決を図ります。

しかし、探究学習と調べ学習は、双方ともに情報を収集し分析するプロセスが核となっているため学習のプロセス自体は非常に似通っています。

調べ学習は探究学習のプロセスの一部であると考えるのが良いでしょう。また、他の類似する学習方法においても学習のプロセスの一部であることが多く、調べ学習はさまざまな学習の基礎となっています。

探究学習と調べ学習の関係を詳しく解説探究学習と調べ学習の明確な違いってなんなの? 探究学習が浅い調べ学習になりがちなんだけど、どうすればいいかな?このような疑問をよく先生方からいただきます。この記事では「探究学習と調べ学習の違い」、そして「探究学習が浅い調べ学習にならないためのポイント」、「調べ学習を探究学習に利用する方法」を解説します。...

表解説!類似する学習方法

調べ学習には探究学習をはじめ、様々な類似する学習方法があります。ここではそれらの学習方法がどのような特徴を持ち、調べ学習とどのような関係があるのかについてまとめていきます。

学習法特徴調べ学習との関係
調べ学習設定されたテーマのもと、仮説の設定、情報の収集、整理、まとめ、発表を行う。
探究学習自らの疑問や興味に基づいて学習活動を進め、自主的に課題や問題を発見し解決する。情報を分析するプロセスが学習の核となる点で類似しており、探究学習の課題は自身で立てるという点から、調べ学習は探究学習のプロセスの一部と捉えられる。
プロジェクトベースドラーニング:PBL実世界の複雑な問題を解決するために、児童・生徒がプロジェクトを通じて知識やスキルを学習する。課題の完成を最大のゴールとしている。それぞれのゴールが、課題の完成(PBL)と課題のまとめ(調べ学習)という点で異なっており、PBLの課題の完成に向け、その過程で情報収集・まとめ(調べ学習)の過程がある。
サービスラーニング地域社会へのサービス活動を通じて学習が行われる方法で、社会的な問題解決を実際に行いながら学習する。サービスラーニングは課題が社会のリアルな文脈の中に設定されている点で調べ学習と異なっており、ゴールが社会的利益の創出にある点でも異なっている。サービスラーニングの利益創出のプロセスとして調べ学習を用いることがある。
STEAM型学習実社会、実生活の文脈で、各教科の知識や教科以外の教養を横断的に活用して探究的に学習する。探究学習の形態の一つで、よくPBLの形式で行われる。そのため、STEAM型学習のプロセスとして調べ学習を用いることがある。

このように調べ学習は様々な学習方法の基盤となっているため、その学習プロセスや指導方法について抑えていきましょう。

探究学習とプロジェクト型学習(PBL)の違いー両者の関係と具体例を紹介この記事では探究学習とPBLの違いをまとめました。両者の共通点や具体的な事例も紹介しています。探究学習・PBLのそれぞれの定義・関係を確認し、今行っている学習やこれから行いたい学習がどちらに当てはまるのかの参考にしてみてください。...

調べ学習の進め方

調べ学習について、「期待される効果や学習の意義については理解しているけど、実際にどのようなプロセスで進むのかが分からない」といったことはないでしょうか?

ここでは、調べ学習のプロセスに沿ってそのポイントを解説していきます。

①課題設定(テーマ決定)

調べ学習の最初に、どのようなテーマに興味・関心があるのかを設定します。テーマ設定をする上で、テーマの難易度も重要で、「興味関心があり、モチベーションが高い状態で、時間内に調べ切ることができる」ことを意識することが大切です。

また、テーマを設定する上でもう一つ大切なのが、課題を明確にしておくことです。もしテーマが具体的でないと、何を調べて良いのかが分からなくなります

自身の興味のあるテーマが決まれば、そのテーマを明確にしておきましょう。

具体的なテーマのネタについては以降の項目で解説するので参考にしてください。

②仮説を立てる

課題(テーマ)が決定した後に、仮説を立てます。仮説の真偽を確かめるように情報収集をすることで、集めるべき情報の方向性が決まり、テーマに対して一直線に学習することができます。

ここで注意すべきは、「一つの仮説に囚われてはいけない」ということです。

情報収集をする中で、仮説は必要に応じて変更し、柔軟に考えることによって課題(テーマ)にあった情報収集をすることができます。

③情報を収集する

情報を収集する上で大切なのが、「多種類の情報源を利用すること」「情報の選定をすること」の2点です。

「多種類の情報源を利用すること」に関して、書籍、インターネット、学術論文、専門家からのインタビューなど、多角的な視点で情報をまとめることが重要です。それぞれの情報媒体には独自の特徴があり、情報の種類が偏らないことがポイントとなります。

例えばインターネットは広い視点で情報を集められるメリットがありますが、専門的なことや、情報の信頼性に欠ける部分があります。一方で学術論文では、専門的な知識が得られたり、情報の正確性が担保されているものの、情報をスピーディーに入手することが難しいでしょう。例えば、インターネットで広義に内容をとらえ、専門的な知識を学術論文を使用するなど、組み合わせて的確で網羅的な情報収集をすることが大切です。

「情報の選定をすること」に関しては、情報の信頼性と関連性を意識することが大切です。まず、情報の信頼性が低いものを根拠として調べ学習を進めてしまうと、作ったまとめ自体も信頼性の低いものになってしまいます。そのため、情報を収集する段階で信頼性がどの程度あるのかを確認しておきましょう。

情報の関連性については、集めた情報が信頼性があるものであったとしても、まとめたい内容と関連していなければ情報として使用することが難しくなり、また情報整理の妨げとなる場合があります。情報の関連性を高く保つためにも、課題(テーマ)と仮説とのつながり、仮説に対してどのような情報を集めるべきかを確認し、情報収集に当たりましょう。

調べ学習で使う情報収集ツールについては後述するので参考にしましょう。

④情報を整理分析する

情報収集が完了したら情報の整理と分析を行いましょう。課題(テーマ)に対してどの情報が使えるのか、信頼性と関連性を守りながら情報を整理することが重要です。著作権や引用の方法も確認しておく必要があるでしょう。また、まとめる上で、集めた情報の丸写し、コピペにならないようにも注意しましょう。

情報を集める目的は自身のアイデアをまとめる材料を探すためです。そのため、情報を整理・分析し、自分なりの結論へと結びつけましょう。

⑤まとめて発表する

情報を整理・分析したら、まとめ・発表を行いましょう。まとめ、発表を行う上で重要なのが、自身の意見や考えが書かれていることです。ただ調べたことをまとめるだけでは調べ学習の効果が薄くなってしまいます。そのため、必ず調べた情報をもとに自身の意見や考えをまとめましょう。

また、まとめた成果物がどれだけ信頼性があるものなのかを提示することも重要です。何を根拠として意見や考えをまとめたかを提示することで、相手に納得感を与えることができます。情報を提示する際には、引用元を明らかにし、引用をしすぎないことにも注意を払いましょう。

具体的なまとめ方については後述するので参考にしてみましょう。

学校現場の調べ学習で使えるまとめ方3選

調べ学習をまとめる方法は多くあり、それぞれ違った特徴を持っています。まとめ方については、「発表したい相手にどの方法が一番伝わりやすいか」という基準でまとめの方法を選びましょう。

例えば、細かいデータを扱った調べ学習などはプレゼンテーションなどの視覚的にわかりやすいものよりも、レポートのように詳細を見ることができ、伝えられる情報量が多いものが適切であると考えられます。

以下の表ではその特徴と利点を挙げているので参考にしてみてください。

まとめ方特徴利点
レポート
  • 調べた情報を文章形式で体系的に記述する。
  • テーマに沿って項目を作り、それぞれの詳細な情報やデータを記述する
  • 情報やデータの詳細を丁寧に説明することができる。
  • レポートに取り組むことで批判的・論理的な思考、また表現力が身につく
プレゼンテーション
  • スライドと口頭の説明を組み合わせて調べた内容を視覚的に表現する
  • 発表相手が大人数であることが多い
  • 視覚的な情報と組み合わせて相手にわかりやすく学習の成果を伝えることができる
  • スライド、口頭、ジェスチャーなど、さまざまな表現をすることで総合的な表現力を鍛えることができる
ポスター
  • 大きいポスター1枚に調べた内容についてまとめて発表する
  • 会場の参加者に対しポスターと口頭の説明で発表する
  • 発表相手とコミュニケーションを取りながら発表することができる
  • 1枚に収まるように表現することで情報整理能力やデザイン能力を鍛えることができる
探究学習のまとめ・表現の12パターンを解説この記事では探究学習のまとめ・表現12パターンをまとめました。①レポート、論文 ②新聞 ③ポスター ④プレゼンテーション ⑤ウェブページ ⑥制作、ものづくり ⑦パネルディスカッションを行う ⑧シンポジウムを行う ⑨総合表現を行う ⑩地域社会に向けて報告会を開く ⑪社会参加や社会参画を目指す ⑫校外の大会やコンテストに参加する 番外編:eポートフォリオ...

調べ学習の事例を紹介

ここまでは、調べ学習のポイントやその発表の仕方をまとめました。ここでは実際に学校現場で行われた調べ学習の事例を見ることで、調べ学習のイメージをつけていきましょう。

事例1:中学校2年生歴史に関する調べ学習

引用元:https://help.loilonote.app/中2社会%20ロイロノートを活用した歴史調べ学習%E3%80%80A(1)私たちと歴史【実践事例】岡山県新庄村立新庄小中学校%E3%80%80藤原%E3%80%80琢巳-624227b1751f2b001d6fe95a

調べ学習の過程

①テーマ設定
教師主導で「私たちと歴史」というテーマ設定をした。

②情報の収集
図書館の本や、生徒所有のタブレットを使用して歴史について情報やまとめで使用したい画像を収集した。

③ロイロノートを使用して情報の整理・まとめ
教師が用意した年表形式のプリントに沿って調べた情報を整理・内容をまとめた。

④発表
作成した年表を提示し、プレゼンテーション方式で発表。

中学2年生歴史に関する調べ学習

事例2:小学校4年生社会科に関する調べ学習

引用元:https://kyoiku.sho.jp/239871/

調べ学習の過程

①テーマ設定
教師が児童の自主学習の「埼玉県の日本一」を紹介し、他の児童からの声から、自分が気になった県の日本一についてまとめることをテーマとした。

②情報の収集
各個人の調べ方に合わせ、どのようにChat GPTを活用すれば良いか教師とともに学習した

③児童個人の自主学習ノートを使用し情報の整理・まとめ
各個人で気になった県の日本一について情報を整理し、各個人の自主学習ノートにまとめた。

④発表
まとめたノートをもとに社会科の授業でポスター発表と似た形式で、一斉に見せ合うように発表した。

小学校4年生社会科に関する調べ学習
これらの事例を参考に、調べ学習に取り組んでみましょう。

調べ学習でおすすめのテーマ

調べ学習の学習効果を最大のものにするためには、最適な調べ学習のテーマを選ぶことが大切です。ここでは5つのカテゴリーに分けて調べ学習でおすすめのテーマを紹介していきます。

カテゴリー1:環境保護

環境保護に関わるテーマに関する調べ学習は、テーマの課題感が伝わりやすく、調べ学習の意味を強く持たせることができます。さらに取り組む児童・生徒にとっては情報の入手が簡単なため、おすすめのカテゴリーです。

さらに理科の授業や倫理観の育成につながることもポイントです。

 テーマ例

  • SDGsの各目標の具体的な達成策とその進捗状況とは?
  • 地球温暖化とその社会経済に及ぼす影響とは?
  • 再生可能エネルギーの可能性と挑戦
【全37サイト】SDGsの基本と日本の重要課題について学べる資料サイト集SDGsの基礎や、日本が重点的に取り組むべき以下の5つの目標について学ぶことができるサイトを紹介します。「5:ジェンダー平等を実現しよう」「13: 気候変動に具体的な対策を」「14:海の豊かさを守ろう」「15:陸の豊かさも守ろう」「17:パートナーシップで目標を達成しよう」について学べるサイトをご紹介します。...

カテゴリー2:社会問題

社会問題に関わるテーマに関する調べ学習は、テーマ自体が児童・生徒の身近な問題に直結している場合が多く、調べ学習の意味を強く持たせることができます。さらに取り組む児童・生徒にとっては情報の入手が簡単なため、おすすめのカテゴリーです。

さらに社会の授業や倫理観の育成につながることもポイントです。

 テーマ例

  • 少子高齢化が経済に与える影響と対策
  • 多文化共生の成功例とその要因
  • 過疎化が進む地域の問題とは?

カテゴリー3:科学技術

科学技術に関わるテーマに関する調べ学習は、テーマへの興味・関心が別れるものの、理科の学習と関連づけて取り組むことができます。生徒にとっては普段の学校の授業よりも、リアルな文脈で科学的な視点を働かせることができるため、理科に対する学習意欲向上にもつながります。

 テーマ例

  • 国際宇宙ステーション(ISS)における生活とは?
  • AIの最新技術とその社会への応用例
  • ドローンの技術発展ともたらされた効果とは?

カテゴリー4:歴史・文化

歴史・文化に関わるテーマに関する調べ学習は、既知の情報が多く、調べ学習がしやすいのが特徴です。また、今まで単なる知識として、ある意味暗記的に教えていた学習事項を生徒が自発的に学習することが期待されます。

 テーマ例

  • 各国の伝統的な祭りとその文化的意義
  • 昔と今の食文化の違いとは?
  • 戦争と科学技術の進歩の歴史とは?

カテゴリー5:経済

経済に関わるテーマに関する調べ学習は、テーマの課題感が伝わりやすく、聞き手にも理解しやすいテーマが多いのが特徴です。経済という視点はさまざまなテーマが考えられ、同じテーマであっても、取り組む児童・生徒の思考によって調べてくる内容に差が出ることもポイントです。

 テーマ例

  • 仮想通貨とは何か?のリスクと未来の展望
  • リーマンショックの原因とは?
  • 先進国と新興経済国の関係性は?

これらのテーマにはそれぞれ特徴があり、それらの特徴をうまく利用して調べ学習を効果的に取り入れましょう。

調べ学習で使う情報収集ツールとポイント

調べ学習において、どのような情報源を持つかということは最重要ポイントと言っても過言ではありません。どのような情報を集めるかによって調べ学習でまとめたことのクオリティーが決まります。ここでは実際にどのような情報収集ツールが使えるのか、またそのポイントについて解説しています。

情報収集ツール特徴注意点
インターネット
  • アクセスが容易である
  • テーマに対する広範囲な情報を入手できる
  • 最新の情報を手に入れることができる
  • 情報の信頼性と関連性を見定める必要がある
  • 情報量の多さから目的に合った情報を汲み取るスキルが必要であること
インタビュー
  • 直接的な意見や体験談を得ることができる
  • 専門家や経験者から詳しい情報を得ることができる
  • インタビュー相手の主観が反映されやすく、複数の意見を聞く必要があること
  • インタビューまでの準備に時間がかかること
書籍(図書館など)
  • 一定のレビューを受けて出版されているため、情報の信頼性が高い
  • 情報がわかりやすく整理さてている
  • 出版物の年代を確認し、現在の情報として有効なのかを確かめる必要があること
資料館・博物館
  • 実際の展示物から視覚的な情報を得ることができる
  • 対象物に関して歴史的・文化的な背景を深く理解することができる
  • 視覚的情報がメインとなるため、情報量が不足すること
  • 展示されているものに限りがあるため、他の媒体と組み合わせて情報収集をする必要がある
新聞・雑誌
  • ある程度の正確性を保った上で、最新の情報を得ることができる
  • 複数種類の新聞・雑誌を比較しながら情報を得ることができる
  • 発行元により情報の偏りが見られるため、複数の発行元を比較必要がある
  • 特に雑誌は内容に関して話題性や広告主の影響を受けやすいこと
辞書
  • 用語や概念の正確な定義を知ることができる
  • 言葉の使い方や文脈を理解するのに役立つこと
  • 得られる情報が基本的な情報に限られること
  • 辞書の出版年代を確認し、現在の情報として有効なのかを確かめる必要があること
学術論文
  • 最先端の研究の細かいデータまで確認できること
  • レビューされている論文に関しては情報の質が高いこと
  • 専門性が高いが故に理解が難しいこと
  • 無料で公開されていない論文も多く、情報を得るのにお金がかかること
  • 投稿年代、執筆者を確認し情報がの信頼性を確認する
生成AI
  • 短時間で大量の情報を処理し、情報を要約したり、特定の質問に回答することができる
  • 質問に対して即座に回答することができる
  • 処理された情報を提示しているため、情報源が不明確であること
  • 生成AIによる情報に依存せず、他の情報源と組み合わせて使用し、情報の正確性を保つ

これらの情報収集ツールにはそれぞれ得意不得意があります。それらの利点を最大限に発揮するためにも、的確に組み合わせて使用することが重要です。

調べ学習の指導のポイントを手順ごとに解説

ここまでで、調べ学習について学習方法やその事例について見ていきました。ここでは調べ学習のプロセスに沿って、指導にどんな注意点があるのかを解説していきます。

①課題設定(テーマ決定)

課題(テーマ)設定の段階では「テーマを具体的にし、興味関心を持たせ、モチベーションが高い状態で、時間に対する難易度が程よいテーマにする」ことが重要でした。そこで教師が指導する上では2つのポイントがあります。

  • 児童・生徒が課題の具体性を高められるような声かけをする
  • 課題(テーマ)が児童・生徒のレベルに合っているか、時間内に終わりそうかを評価し、必要に応じて調整をする

特にレベル感と時間の調整は教員が主導となって管理する必要があるでしょう。

②仮説を立てる

仮説を立てる段階では「一つの仮説にとらわれず、課題の達成に向けて仮説を立てる」ことが重要でした。そこで教師が指導する上では2つのポイントがあります。

  • 児童・生徒がどのように仮説を立てればよいか、思考のプロセスを伝える
  • 児童・生徒が立てた仮説に対して批判的に捉え、再度評価することを意識させる

仮説を立てる行為は、課題に対してどのような情報を集めるかを方向づけるプロセスになるので、その方法を教師が定着させる必要があります。

③情報を収集する

情報を収集する段階では「情報の信頼性と関連性を保たせる」ことが重要でした。そこで教師が指導する上では3つのポイントがあります。

  • 情報を収集する媒体とその特徴について説明する
  • 課情報の効率的な集め方を教えること
  • 情報の収集が発散的になりすぎないように注意すること

情報を収集する媒体とその特徴についてはこの記事で解説しているのでチェックしましょう。

④情報を整理分析する

情報を整理・分析する段階では「情報の信頼性と関連性を保ち、情報と意見を分ける」ことが重要でした。そこで教師が指導する上では以下のポイントを意識しましょう。

  • 集めた情報の特徴を説明し、その整理の方法を解説する

児童・生徒はさまざまな媒体で情報を収集します。その中でどれが信頼性が高いのか、課題との関連性が高いクリティカルな情報なのかを見分ける方法を教え、児童・生徒自身で見分けるトレーニングをさせましょう。

⑤まとめて発表する

まとめて発表する段階では「調べたことをもとに自身の考えを述べる」ことが重要でした。そこで教師が指導する上では2つのポイントがあります。

  • 集めてきた情報と、それをもとに自身で考えたことがはっきりと分かれるように注意する
  • 発表形態の特徴をもとに、相手にどのようにしたら伝わるかを考えさせる

特にプレゼンテーションの指導方法については以下の記事を参考にして見てみましょう。

プレゼンテーションどう指導する?うまくいかない理由と指導、評価、フレームワークまで徹底解説! プレゼンテーションってどうやって指導すれば良いの? プレゼンテーションの評価の仕方がわからない…。 総合的な探究の時...

保護者のフォロー

調べ学習においては、情報収集、まとめなどの作業を宿題として課す場合が多くあります。

教員はどうしても成果物ばかり見るケースが多くなるため、保護者との協力関係を築き、家庭での効果的な調べ学習を図ることも重要です。

 

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【この記事の監修者】

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

田中 悠樹|株式会社StudyValley代表

東京大学大学院卒業後、ゴールドマンサックス証券→リクルートホールディングスに入社。同社にて様々な企業への投資を経験する中で、日本の未来を変えるためには子どもたちへの教育の拡充が重要であると考え、2020年に株式会社StudyValleyを創業。
2020年、経済産業省主催の教育プラットフォームSTEAM ライブラリーの技術開発を担当。
2024年、経済産業省が主催する「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」に委員として参加している。